感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第168話(シーズン7 第19話)「市街地大爆走」

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【※以下ネタバレ】
 
シーズン7(150~171話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン7」あらすじ・感想まとめ

 

第168話 市街地大爆走 Speed (シーズン7 第19話)

 

あらすじ

時価総額1千万ドルにのぼる麻薬スピードの競争入札を企む西海岸で最大の麻薬ディーラー、ヒビングを捕らえるため、バイクに夢中だがクスリ漬けの彼の一人娘マーガレットにケイシー(リンダ・デイ・ジョー)が扮し潜入する。

※DVD版のタイトルは「市街大追跡」。
 
 
【今回の指令】
 昨夜、ストーンハースト化学工場から、3トンの「硫酸Dアンフェタミン」(D-Amphetamine Sulfate)、通称「スピード」(Speed)という薬品が強奪された。この事件の首謀者は、非合法薬品の売買では西海岸最大の業者サム・ヒビング(Sam Hibbing)であり、現在ヒビングはスピードを地下組織に売る準備をしていると思われる。IMFはスピードが売却される前に奪還しなくてはならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、バーニー、ケイシー、ウィリー
 ゲスト:警官たち


【作戦の舞台】
 アメリカ国内


【作戦】
 冒頭。ヒビングの部下が化学工場に押し入り、スピードを強奪する。

 フェルプスがテープで指令を受け取る。

 ヒビングの娘マーガレットは麻薬中毒になっており、また父親との関係も最悪である。またヒビングから麻薬の発送を請け負っているスネリングは、マーガレットに言い寄っているが、全く相手にされていない。

 IMFはマーガレットを捕まえると麻薬の治療施設に入れ、またケイシーがマーガレットに変装してすり替わり、フェルプスと共にヒビングの屋敷に乗りこむ。ケイシーはフェルプスを友達だと紹介したため、ヒビングは部下にフェルプスの身辺を調査させ、その結果フェルプスが過去に喧嘩で人を殺し10年間も刑務所にいた、と信じ込む。

 一方バーニーはスピードの競売に参加する麻薬業者に接近し、競売用の資金として1000万ドルを用意すると言って、その代わりとして競売に同行させるようにする。そしてスピードを競り落とすと、明日朝に所定の場所に品物を届けるように依頼し、時間が守られなければ契約は破棄する、と条件を付ける。ヒビングはスネリングを呼び、荷物の発送を依頼する。

 ケイシーは屋敷で麻薬でハイになったふりをして大騒ぎし、薬はスネリングにもらったとウソを言う。それを聞いたフェルプスは激怒したふりをしてスネリングに襲い掛かり、薬を注射して仮死状態にしてから、殺してしまったと慌てたふりをする。

 ヒビングはスネリングがいなければスピードの発送ができないので激怒するが、代わりにフェルプスに荷物を届けさせることを思いつき、フェルプスに対し、殺人を警察に通報されたくなかったら言うことを聞けと脅す。フェルプスは渋々従うふりをして、スピードの保管場所に向かう。

 ケイシーはふとしたことからヒビングに変装がばれてしまい、すぐに屋敷から脱出する。ヒビングは全ては罠だと悟り、すぐさま倉庫に駆け付けフェルプスに銃を突きつけるが、そこに現れたバーニーとウィリーに撃たれる。

 最後、ヒビングは起訴され、フェルプスが麻薬の療養所にいる本物のマーガレットを見舞ったあと、メンバーが立ち去るシーンで〆。


監督: ヴァージル・W・ヴォーゲル
脚本: ルー・ショウ


感想

 評価は△。

 今回はきわめて中身が薄く退屈極まりないシナリオで、全くもって外れとしか言いようが無かった。いちいち展開がかったるく、結末のカタルシスも無く、と、文句なしの△評価だった。

 今回も一応IMFはそれなりの作戦を実行するが、あまり凝った内容では無いため時間が余ってしまい、そのため無駄なシーンをやたらと挿入して時間稼ぎをしている。例えば、ヒビングの娘マーガレットはバイクが趣味という設定なのだが、序盤にマーガレットとすり替わったケイシーは、何故かバイクでサンフランシスコ市内を暴走し、父親の乗った車やパトカーに追跡されるというアクション系のシーンが長々と展開される。(※日本語サブタイトル「市街地大爆走(市街大追跡)」はここから来ている)。

 しかし、この一連のシーンは確かに派手でそれなりに見栄えがするが、実のところIMFの作戦には何の必要性も無く、このような暴走シーンを入れる意味は全くない。正直言ってカーチェイスなどはスパイ大作戦らしからぬ展開で、違和感が甚だしかった。

 また途中マーガレットにまとわりつくチンピラが現れ、何かとマーガレット(に変装したケイシー)に絡んでくるのだが、ケイシーはこの男の情報が無いため綱渡りの対応を強いられてしまう、という展開が何度も発生する。しかしこのチンピラの存在は、別段ストーリーを面白くしている訳でもなく、IMF対ヒビング一味という構図に余計な要素が追加されただけで邪魔にしか思えない。このあたりの展開もどうかという気持ちでだった。

 最後も、このチンピラのせいでケイシーの変装がばれ、その結果IMFの罠に気が付いたヒビングがフェルプスに銃を突きつけるものの、応援に来たバーニーとウィリーがヒビング以下を撃ち倒して強引に決着をつけてしまう、という、派手だがスパイ大作戦らしくないオチとなる。この辺りも全くもって気に入らなかった。

 このように、今回は最初から最後まで「らしくない」展開がオンパレードのエピソードで、全くもって低品質のシナリオだった。本エピソードのシナリオライターのルー・ショウはこの作品のみの参加となっているが、当然という気がする。

 今回の作戦の対象である麻薬「スピード」は架空の薬品ではなく、実は現実に存在しており、簡単に言えば「覚せい剤」の事である。そのあたりのことを理解すると、番組の内容も妙にリアリティが感じられた。

 今回のサブタイトルの原題「Speed」は、作戦の対象となった麻薬の事。わかりやすいサブタイトルである。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが車で列車の停車場に乗り付け、機関車の運転席に登ると、鍵のかかった箱を開けて、入っているオープンリール式テープレコーダーのスイッチを入れ、同時に大きめの封筒を取り出す。そしてテープの指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なお、このテープは自動的に消滅する」と言い、テープから煙が吹き上がる。


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。昨夜、ストーンハースト化学工場から3トンにのぼる硫酸Dアンフェタミン、通称スピードなる薬品が奪われた。首謀者は、非合法薬品の売買では西海岸最大の業者サム・ヒビングで、それを地下組織に売りさばくため、現在カプセルにパックする作業を行っていると思われる。

 そこで君の使命だが、ヒビングがスピードを売りさばく前に奪還することにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 
 

シーズン7(150~171話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

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