【映画】感想:映画「ミクロの決死圏」(1966年:アメリカ)

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NHK BSシネマ http://www.nhk.or.jp/bscinema/
放送 NHK BSプレミアム 2018年8月14日(火)

【※以下ネタバレ】
 

アメリカに亡命した科学者が襲撃され、脳に重傷を負い外科手術ができない状態になってしまう。医師たちが潜水艇に乗り込みミクロ化して、科学者の体内で治療することになるが、さまざまな困難が襲いかかる…。卓抜なアイデアの物語と、臓器や血液など、体内を斬新な美術と特殊撮影で表現し、今なお傑作と語り継がれるSF映画。名匠リチャード・フライシャー監督のスリリングな演出が光る。アカデミー美術賞、特殊視覚効果賞受賞。

 

あらすじ

 東西冷戦時代。情報部員グラントは東側の科学者ベネシュのアメリカ亡命を成功させたが、直後秘密組織CMDF(極小抑止連合軍)の基地に連れてこられる。司令官の将軍の説明によれば、ベネシュは東側の襲撃を受け脳に重傷を負って意識不明となってしまい、しかも外科的な手術は不可能な状態だった。

 将軍はCMDFで研究されている「物質をミクロ化する技術」を使用し、医師チームを乗せた潜航艇をミクロ化してベネシュの体内に送り込み、内部から治療する、という作戦を立てていた。しかし執刀医である外科医のデュバルはスパイの疑いがあり、そのためグラントは同行してデュバルを監視するように命じられる。現在のミクロ化技術では、物質は60分間しか縮小できないため、手術はその間に終えなければならない。

 グラント、医師チーム(執刀医デュバル、助手のコーラ、医療部長マイケルズ)、艦長オーエンス大佐の五人は潜航艇プロテウスに乗りこみ、ミクロ化されてベネシュの首筋に注入される。しかし一路脳を目指すはずが、アクシデントにより心臓の方に戻されてしまい、制限時間の制約と戦いながら予定外の旅を行う羽目になる。さらにグラントは、潜航艇内の誰かがスパイで、この手術を失敗させようとしていると確信する。

 やがてプロテウスは患部にたどり着くが、既に残り時間は6分となっていた。マイケルズは作戦中止を宣言するが、デュバルは手術を強行する。するとマイケルズは裏切り者としての正体を現し、プロテウスを患部に突入させようとするが、グラントに邪魔され艇ごと白血球に食べられてしまった。

 手術は成功したものの、もはやチームは予定通り回収されるのは不可能だった。チームは視神経を通って目から脱出する手段を選ぶ。そして将軍はチームの行動を正しく推測し、一行は目に現れたところを無事に回収されたのだった。

感想

 評価は◎。

 SF映画の大傑作。すでに数回視聴していますが、何度見ても飽きません。1966年公開と50年以上前の作品ですが、今(2018年)見ても文句無しに面白かった。

 さすがに「東西冷戦という設定」「車のデザイン」「コンピューターの描写」といった部分はに古さを感じますが、それは映画の本質とは無関係。

 とにかくストーリーが面白い。冒頭の亡命部分は余計な台詞無しでスピーディーに進め、グラントが任務を説明されるシーンも手際よくまとめ、すぐに本番の体内シーンに突入。ところが、ただでさえ作戦には一時間という時間制限があるのに、想定外のトラブルがこれでもかと発生して全く予定通りに進まないうえ、潜航艇内のグラント以外の誰かが裏切り者というサスペンス要素も有り、まさに「手に汗握る」という表現がぴったりの展開で、一瞬たりとも目を離せません。

 50年前の特撮技術にもかかわらず、血管内を航行していく場面は、ピンクや青い泡が通り過ぎるシーンなど十分に幻想的で、全く古さを感じさせません。またプロテウス号のデザインも50年前の物とは思えず、優れたデザインは時代を超えるのだと感心させられます。

 あと、個人的にはプロテウスを縮小するとき、二段階に分けて、巨大注射器の中にプロテウスを入れた後、さらにそれを縮小して通常サイズにまで小さくする、というあたりの段取りが妙にたまらない物がありました。

 まあ、クライマックスでの定番のツッコミ「体内に残してきたプロテウスが巨大化するのでは?」という疑問は残りますが、白血球に消化されたのでOK、なのかもしれません。
 
 とにかくめちゃくちゃ面白い映画でした。


おまけ:医療チームの足取り

1.頸動脈に注入されるが、頸静脈に出てしまう。

2.心臓に向かう。60秒間心停止させた隙に心臓を通過。

3.肺動脈で空気が足りなくなる。さらに治療用レーザーが壊れていることが発覚。肺から空気を補給するが、作業中グラントの命綱が切れるアクシデント。

4.レーザーの修理のため、無線機を解体

5.リンパ節に入る。抗体の攻撃を迂回するため、内耳の内リンパ管に入るが、エンジンに細網繊維が詰まってしまい、取り除くために一時停止。さらに外で大きな音が発生してしまい、一同揺さぶられる。コーラが抗体に襲われて危機一髪。

6.脳幹に到着。手術は成功するが、マイケルズの裏切りでプロテウスは失われる。一行は目から脱出。
 
 

ミクロの決死圏
BSプレミアム8月14日(火)午後1時00分~2時41分


【製作】
ソール・デビッド
【監督】
リチャード・フライシャー
【原案】
オットー・クレメント、ジェイ・ルイス・ビクスビー
【脚本】
ハリー・クライナー
【撮影】
アーネスト・ラズロ
【音楽】
レナード・ローゼンマン
【出演】
スティーブン・ボイド、ラクエル・ウェルチドナルド・プレザンス ほか


製作国:
アメリ
製作年:
1966
原題:
FANTASTIC VOYAGE
備考:
英語/字幕スーパー/カラー/レターボックス・サイズ

 

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