【オカルト】感想:NHK番組「異界百名山~体験者が語る不思議な話~」

山怪 山人が語る不思議な話

異界百名山~体験者が語る不思議な話~ NHK http://www4.nhk.or.jp/P5024/
放送 NHK BSプレミアム

【※以下ネタバレ】
 
 

内容

8月15日水曜
NHKBSプレミアム 午後9時00分~ 午後10時30分


山で起こった、まか不思議で心揺さぶるエピソードの数々を、実際に体験した人々が語るドキュメンタリー。山と関わる人々が「異界」と接したという、全国7つの山を巡る。


聞こえてくるはずのない奇妙な音に翻弄された人。慣れた道にも関わらず、いつまでたっても目的地に着かない現象。絶望的な状況下で、未知の光に命を救われた人。山で起こった、まか不思議で心揺さぶるエピソードの数々を、実際に体験した人々が語るドキュメンタリー。日本人にとって、山は古くから「異界」、すなわち目には見えない何かがあると言われる場所。山と関わってきた人々が「異界」と接したという、全国7つの山を巡る。


【出演】草刈民代,石川直樹,上橋菜穂子,釈徹宗

 
 かつての日本人には西洋的な「山を楽しむ」という感覚はなく、山は異界の入り口といった感覚だった。山で起きた不思議な出来事を体験者から語ってもらって、それについてゲストが色々と感想を話し合う番組。ナレーションは池田昌子


1.白山「姿のない来訪者」
 山中で風雨に見舞われ避難小屋へ入ると、やがて錫杖の音が聞こえてきた。その相手は屋根に飛び乗って飛び跳ね始める。やがてドアが開くが誰もいなかった。


2.大峯山まぼろしの道」
 修験者が山で修行してると、歩きなれた道の筈なのにいつまでたっても目的地につかない。やがて周囲はセピア色に。そのうちその状態が解除されてちゃんと目的地に着いた。


3.鉢巻山「足音の正体」
 山の中腹にある温泉宿で、誰もいない筈の部屋で子供が駆け回っている足音がする。開けてみると一瞬子供が見えた。座敷童に違いない。しかし周囲が開発されて足音は聞こえなくなった。


4.鷹匠山「奇跡のひかり」
 息子を連れて山道を歩いていたが、暗くなってしまい、息子が崖から転落してしまう。ところが探しにいくと明るい光が見えて、それを頼りに息子を見つけることが出来た。本人は灯りなどつけていないという。蛍の光が偶然息子を助ける手掛かりになった。亡くなった祖父の霊が蛍になって助けてくれたのかもしれない。


5.森吉山「キツネの恩返し?」
 正月に神様に上げるお神酒をキツネが飲んで酔っ払ってダウンしていた。そのうちいなくなってしまったが、後から昔ばなしみたいに恩返ししてくれるかも。


6.谷川岳「死者からの信号」
 夜、山小屋の外で二人が話し合っている声が聞こえた。外を見ると誰もいない。亡くなった人たちが自分たちが死んでいることに気が付かず山のぼりを続けているのかも。またリュックだけが残って人の姿が見えない。周囲は霧で視界が全く効かない。ところが一瞬きれいに晴れ、下に遺体が有るのが見えた。そのあとすぐに霧が立ち込めた。死者は自分を見つけてほしいと信号を出しているのかも。


7.御岳山「身近な異界」
 東京から近い御岳山だが、夜中に光の玉「カネダマ」が目撃された。

感想

 オカルト/心霊系の番組ではなく、「日本人にとって古来から山は信仰の対象だった」とかそっち系のニュアンスの番組のため、別に怖くも無いし、あんまり面白くも無し。でもまあナレーションの池田昌子さんの語りが良いのでなんとなく見てしまいました。
 
 

●紹介する山とお話


白山「姿のない来訪者」
山中で風雨に見舞われ避難小屋へ
すると・・・聞こえてくるはずのない奇妙な音が。


大峯山まぼろしの道」
通い慣れた登山道のはずなのに・・・
いつまで経っても目的地につかない不可思議な現象。
 
鉢巻山「足音の正体」
山の中腹にひっそりとたたずむ温泉宿で聞こえた、
まか不思議な足音の正体とは。


鷹匠山「奇跡のひかり」
予想外の滑落事故。
絶望的な状況下で命を救ってくれた“未知の光”。


森吉山「きつねの恩返し?」
人里に下りてきたキツネと、
山で暮らす人との心温まる物語。


谷川岳「死者からの信号」
遭難救助の最前線で聞こえる“死者の声”。


御岳山「身近な異界」
都会のすぐそばにある山にも
異界の扉は開いている。




●制作者コラム
クリエイティブネクサス プロデューサー 佐藤知樹
□異界百名山との出会い

緑の稜線から湧き上がる白い雲が、真っ青な空に映える日本の夏山。
でもそんな爽やかな風景は、山のほんの一部の表情でしかないんです!


「にっぽん百名山」などの取材で、山に滞在することが多い私は、登った先の山小屋やガイドさんたちから、山で不思議な経験をしたという体験談を何度となく聞いて来ました。夜中に稜線上を飛び交うカラフルな光の玉を見たという話や森のある場所に行くと必ず綺麗な服を着た女の子が歩いてくる、など、かなりオカルトチックな話も多かったのですが、山の上という非日常のシチュエーションと語り手の真剣な顔を見ていると、まんざら嘘でも無さそうだと、なぜか納得してしまう自分がいました。


そんなある日、今回の番組のディレクターが「面白い本があるんですよ!」と嬉々として見せてくれたのが“山怪~山人が語る不思議な話”という山と渓谷社から出版されている本でした。著者の田中康弘さんはマタギの暮らしなどを撮影している写真家で、日本各地の山で聞いた不思議な体験を地道な取材によってまとめたルポルタージュでした。まさに自分がこれまで山で聞いて来たような不思議な話が、鬼気迫るリアリティと共に、かなりのボリュームでまとめられていたのです。この本で紹介されている不思議体験者の中には、昔からの知り合いもいて、本で紹介された話をベースに映像化したら相当面白いドキュメンタリー番組が出来るのではないかとディレクターとうなずき合ったのでした。


さっそく、著者の田中さんや出版社の方に連絡し映像化について相談したところ快諾を頂き、本には登場しない新たな取材先も加えつつ番組制作が始まりました。どうせなら、体験者の人物像や山での暮らしぶりなども深掘りしつつ、不思議体験を安易な再現映像にはせずに、山の風景のイメージ描写とインタビューのみで表現しようと考えました。撮影には情景描写に優れる一眼レフカメラを多用。結果、山の“異界感”の表現に成功したと思います。


日本の山は、太古の昔から、この世とあの世をつなぐ異界の入口だったというテーマのもと、日本人の死生感や自然との付き合い方、また、神話や物語の生まれる原点などについてスタジオトークも盛り上がりました。私たち日本人は、山にひかれ、山を仰ぎ見て、ご来光に手を合わせます。現代人が無意識のうちに求めている「異界の物語」の魅力とは何なのか?
都会でなくしてしまった「山」の中でしか得られない「何か」に気づく番組となりました。

 
山怪 弐 山人が語る不思議な話