【映画】感想:映画「ワーテルロー」(1970年:イタリア・ソ連)

ワーテルロー [DVD]

NHK BSシネマ http://www.nhk.or.jp/bscinema/
放送 NHK BSプレミアム。2018年11月8日(木)

【※以下ネタバレ】
 

1815年、追放先のエルバ島を脱走し、フランス皇帝として復権したナポレオン。ヨーロッパ各国はこれに対応して軍備を整え、やがてワーテルローの決戦において、ナポレオン率いるフランス軍と、イギリスの知将ウェリントン率いる連合軍が激突する。旧ソ連軍などの正規兵士をエキストラとして動員、巨費を投じた大規模なロケーション撮影により、臨場感あふれる圧巻の戦闘シーンが繰り広げられるスペクタクル超大作。

 

あらすじ

 ナポレオンは一度は全欧州を支配したものの、1813年のロシアの戦いで大敗北し、1814年には四か国連合軍によってパリまで追い詰められていた。そして部下の将軍たちに退位を迫られ、5月に1000人の兵士と共にエルバ島に追放された。

 10か月後。1815年3月。ナポレオンは兵士と共にエルバ島から脱出し、フランスに舞い戻った。そして兵士や国民から熱狂的な歓迎を受け、かつての地位を取り戻す。

 かくしてまたしても各国によるフランス大包囲網が結成された。ナポレオン率いるフランス軍は、ウェリントン元帥率いるイギリス軍とブリュッヒャー元帥率いるプロイセン軍と激突することになった。ナポレオンはプロイセン軍を簡単に蹴散らすと、部下のグルーシーに全軍の1/3の三万の大軍を託し、プロイセン軍追撃を命令する。

 そして自らはウェリントンが待ち受けるワーテルローの地に向かい、ここで英仏軍のすさまじい戦いが始まった。ナポレオンは体調不良に苦しみながらもなんとか戦いを指揮し、イギリス軍をもう一歩のところまで追い詰める。しかしそこに逃走したはずのプロイセン軍が出現、イギリス・プロイセン軍の攻撃によりフランス軍は敗北した。最後、ナポレオンが馬車で戦場から敗走するシーンで〆。

感想

 評価は○。

 歴史の教科書にも載っているレベルの超有名な「ワーテルローの戦い」を史実通りに描いた超ゴージャス映画。すんごく面白かったです。


 まず何といっても物凄い物量に圧倒されます。だだっ広い平原に、無数の兵士たちがずらりと並んでいるシーンだけでももう圧巻ですが、その兵士たちが雪崩を打って敵陣に突進していくシーンなど、もうすさまじいの一言。こんな迫力のある突撃シーンなど今までに見たことが有りません。また騎兵の突撃も両軍数千頭の馬に乗った兵士たちがどっと駆けていくシーンの凄いこと。とにかく量による迫力はすさまじい説得力です。

 また兵士たちもきちんとフランスやイギリスの当時の派手な服を着ており、服の代金だけでどれだけかかったのか、もう目もくらみそうです。

 なんでもあのすさまじい数の兵士役のエキストラは、旧ソ連軍の本物の兵士たちを動員したそうで、さすが物量のソ連軍というところですね。


 また随所にマニアにしか通じない描写が満載。例えばイギリス軍の指揮官の一人ピクトン将軍は、軍服ではなくコートにシルクハット、右手に傘、という軍人らしからぬキテレツな恰好をしていますが、これは別に映画の脚色ではなく現実にこういう格好で戦場にいたそうで、そのあたりを知っているとニヤリとさせられます。

 またイギリス軍はフランスの騎兵が突撃してくると「方陣を組め!」と言って四角い陣形に変更しますが、実際に騎兵に襲撃された時はこの陣形を取るようになっていました。

 と、軍事マニアなら大喜びの描写が山のように出てきて、その手の趣味がある人間にはたまらない内容でした。


 ナポレオンを演じたのはロッド・スタイガー。これがイメージがピッタリで、中年になってでっぶり肥満し体調もすぐれないものの、それでもここぞという時には素晴らしい采配を見せる伝説の英雄を見事に演じています。クリストファー・プラマー演じるウェリントンは、ちょっとカッコよすぎるくらいかな。しかし全員喋っている言葉が英語なので、ナポレオンが英語(グッドモーニングとか)を喋っているという様には最後まで違和感が凄かったですけど……


 まあこの映画には難点というかもありまして、それは歴史に徹底的に忠実に描いてオリジナルキャラを登場させたりしていないために、史実の知識が無いと、ストーリーの理解がかなりキツイという事でしょうか。ナポレオンが好きな人なら、無数のキャラクター(スールト、ネイ、グルーシーウェリントン、アクスプリッジ、ピクトン、ブリッヒャー、等)が登場してもするっと理解できますし、ウーグモン城館とか聞いても「ああ、これがあの有名な」と簡単に解るでしょうが、戦いの知識がゼロだと何が何だか分からないような気がします。


 ということで気楽に楽しめる娯楽映画、というのとはちょっと違う気がしますが、私はゲームなどでこの戦いにめっちゃ慣れ親しんでいたので、あの戦いはこんな風に展開したのか、と、視覚で堪能出来てめちゃくちゃ面白かったです。この小細工無しの有無を言わせぬド迫力、これこそスペクタクル超大作ってやつですよね。( ´∀`)b
 
 

ワーテルロー
BSプレミアム11月8日(木)午後1時00分~3時15分


【製作】
ディノ・デ・ラウレンティス
【監督・脚本】
セルゲイ・ボンダルチュク
【原案・脚本】
H・A・L・クレイグ
【脚本】
ビットリオ・ボニチェリ
【撮影】
アルマンド・ナンヌッツィ
【音楽】
ニーノ・ロータ
【出演】
ロッド・スタイガークリストファー・プラマーオーソン・ウェルズ ほか


製作国:
イタリア/ソ連
製作年:
1970
原題:
WATERLOO
備考:
英語/字幕スーパー/カラー/レターボックス・サイズ



ロッド・スタイガー (ナポレオン一世)
クリストファー・プラマー (ウェリントン公)
ジャック・ホーキンス (ピクトン将軍)
オーソン・ウェルズ (ルイ18世
バージニア・マッケンナ (リッチモンド公爵夫人)
ダン・オハーリー (ネイ元帥)
セルゴ・ザカリアズ (ブリュッヘル元帥)
アイヴォ・ガラーニ (スルト元帥)

 
 

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