【ミステリー】感想:歴史ミステリー番組(新番組)「ダークサイドミステリー」『迷宮入り連続殺人事件 切り裂きジャックの謎』

決定版 切り裂きジャック (ちくま文庫)

ダークサイドミステリー NHK https://www4.nhk.or.jp/darkside/
放送 NHK BSプレミアム。毎週木曜夜9時放送。

【※以下ネタバレ】
 

背筋がゾワゾワ、心がドキドキ、怖いからこそ見たくなる。世界はそんなミステリーに満ちている。未解決の事件、自然の脅威、不思議な伝説、怪しい歴史…。こうした事件の数々を徹底再検証!
人智を超えた謎に迫る「幻解!超常ファイル」を拡大スピンオフ!今度は人間や自然が生み出した謎と恐怖に満ちた事件・伝説の正体に、栗山千明志方あきこ中田譲治のダークなトライアングルで引き続き迫ります。

 

迷宮入り連続殺人事件 切り裂きジャックの謎 (2019年4月4日(木)放送)

 

内容

4月4日木曜
NHKBSプレミアム 午後9時00分~ 午後10時00分
[新]「迷宮入り連続殺人事件 切り裂きジャックの謎」


背筋がゾクゾク!人間の心の闇が起こした事件の謎に迫る新番組が登場。第1回は「切り裂きジャック事件」を徹底検証。劇場型犯罪の元祖とされる連続殺人、衝撃の真相とは?


背筋がゾクゾク!世界は謎の事件がいっぱい!栗山千明がナビゲートする大好評「幻解!超常ファイル」から、今度は人間の闇に迫る新番組が登場!第1回は、映画などで取り上げられいまだ謎多い「切り裂きジャック事件」を徹底検証。130年前のロンドンでの連続殺人は、なぜ未解決となったのか?猟奇殺人の代名詞、劇場型犯罪の元祖とされる事件の真相は?現代の私たちが「今と同じだ!」とゾッとする、恐ろしい真実が明らかに!

 
 今回のテーマは19世紀末の連続殺人者「切り裂きジャック」。


●第1・第2の殺人

 19世紀末。イギリス・ロンドンの東側「イーストエンド」は悪名高いスラム街で、殺人は日常茶飯事。そして特に立場の弱い娼婦が犠牲となっていた。

 1888年8月31日(金)。娼婦メアリー・アン・ニコルズが殺害される。死体はナイフで首を20センチも切られ、頸動脈が切断され致命傷となっていた。しかし死体は下腹部も何か所も傷つけられており、動機は金目当てとも怨恨とも思えなかった。

 1888年9月8日(土)早朝、娼婦のアニー・チャップマンが殺害される。首が切り裂かれ、また下腹部の臓器が持ち去られていた。さらに異常なことに、腸が引き出され死体の右肩にかけられていた。検死をした医師は、犯人は解剖学の知識が有ると推測した。



トークコーナー

・被害者たちは後ろから首を斬られている。娼婦は客を非常に警戒するはずなのに、犯人には背中を見せていたことになる。犯人は一体どうやったら娼婦をそこまで安心させられたのか? 謎の一つ。

・「切り裂きジャック」が史上初の連続殺人犯なのか? 多分違う。それ以前には連続殺人が有ったとしても「化け物の仕業」と扱われていたのでは。そしてそれが後世に怪物伝説として伝わったのではないか。



●警察の捜査

 警察は第二の殺人の証拠としてレザーエプロン(革製の前掛け)を見つけていた。また被害者が殺される前に男と会っていたのが目撃されていたが、男は「外国なまり」との証言が得られていた。当時イギリスは各国から移民が押し寄せていたが、中でもユダヤ人は商売上手で成功していたため、貧しい市民の妬みと憎しみの対象で、市民がユダヤ人が犯人だと騒ぎ出す事態となった。そして警察は靴職人ジョン・パイザーを捕まえるものの、アリバイが有ったため釈放せざるを得なかった。



●犯人からの挑戦状、そして第3・第4の殺人

 1888年9月27日。ロンドンの通信社セントラル・ニューズ・エージェンシーに手紙が届くが、それはなんと連続殺人犯が書いたものだった。内容は警察の無能さをあざ笑い、また次の殺人を行うと予告するものであった。そして犯人の署名には「Jack the Ripper」(切り裂きジャック)と書かれていた。

 手紙から3日後。1888年9月30日(日)。娼婦エリザベス・ストライドが殺害されるが、ジャックは人の気配に気が付き、すぐさま逃走した。警察は周辺の野次馬を片っ端から拘束しジャックを捕まえようとした。

 ところがジャックはそこから徒歩20分ほどの場所で、娼婦キャサリンエドウズを惨殺していた。被害者は首を切られ、鼻をえぐられ、目はつぶされ、耳の一部を切り取られていた。下腹部はめちゃめちゃに切り裂かれ、臓器が持ち去られ、腸が引き出されて右肩にかけられていた。

 9月27日の手紙に「被害者の耳を切り取る」という内容が有ったことから、警察はこの手紙が犯人からの物と考えて、一般に公開した。これをきっかけに世間は切り裂きジャックの話題で大盛り上がりとなった。また警察や新聞社には「自分こそ切り裂きジャック」という手紙が殺到、その数は一か月で1000通にもなったが、全て本物とは関係のないイタズラであった。


トークコーナー

・何故犯人は腸を引きずり出したのか。人体の解体の際、臓器を取り出そうとすると腸が邪魔になる。そのため引きずり出して肩にかけたと思われる。犯人は解剖の知識が有ったと推測される。

切り裂きジャック事件は史上初の劇場型犯罪劇場型犯罪はメディアが無いと成立しないので、ジャック事件がそのはしりと言える。

・いたずらの手紙が殺到した理由は? 当時は殺人は娯楽の一種。劇場型犯罪に参加してスリルを味わいたかったのでは。



●手紙は偽物か?

 通信社に届いた手紙は捏造という説がある。当時「通信社」が何か知っている人間は少なかった。通信社に働いていた誰かがでっち上げた偽物という意見である。つまり「切り裂きジャック」という名前も捏造なのかもしれない。


トークコーナー

・当時のメディアは今のインターネットと同じノリ。報道規制とかは無く、大衆紙は有ること無い事なんでも書いていた。手紙が当時のメディアのでっち上げの可能性大。



●第5の、最後の殺人

 1888年11月9日(金)。娼婦メアリー・ジェイン・ケリーが借りていた自室で殺害されているのが発見される。遺体は人の形をとどめないほどバラバラにされていた。

 その後も娼婦殺しは発生し、その度にジャックの犯行かと思われたが、手口が微妙に違っており、結局のところジャックの犯行は11月で終わったと思われる。そして、1892年に警察は捜査打ち切りを宣言した。


 ジャックは一体誰だったのか? 容疑者は20人以上上げられている。例えば、以下のような人物たちである。


・トマス・ニール・クリーム
 娼婦を毒殺して死刑になった。処刑の瞬間「自分が切り裂きジャックだ」と叫んだという。


クラレンス公アルバート・ビクター
 エリザベス女王の孫。スキャンダル潰しのため猟奇事件を起こしたとも。


・モンタギュー・ドルイット
 教師。ロンドン警視庁副総監メルヴィル・マクノートンは彼をジャックだと推理。ドルイットは最後の事件から三週間後に失踪し、のちにテムズ川で遺体が発見され自殺と判断された。マクノートンは、ドルイットが自殺したからジャックの殺人が終わったのだと主張。


・ウォルター・シッカート
 当時の有名な画家。2002年、有名推理作家パトリシア・コーンウェルは、私財を投じ、現代の捜査の手法を投入してジャックの正体暴きに挑戦。シッカートを犯人とした。


 しかし結局ジャックが誰だったのかはもはや永遠の謎である。そして現代ロンドンでは、切り裂きジャックが殺人を行った現場を深夜に巡るツアーが大人気となっている。


感想

 一部オカルトスキーに大人気だったオカルト検証番組「幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー」から、スピンオフで新番組「ダークサイドミステリー」が誕生しました。

 基本的には「幻解!」の番組構成を流用していて、

・テーマ曲(オープニング&エンディング曲)が同じ
・ナビゲーターが同じ栗山千明
・ナレーションが同じ中田譲治

なのですが、扱うテーマは全く違いまして、オカルトといううさん臭い物ではなく(笑)、どうやら歴史をネタにしつつ、真面目な番組(例:歴史秘話ヒストリア)では取り扱わないような、そう、コンビニ向け本「あなたの知らない怪奇な歴史事件100」とかなんとかいう感じのネタを放送していくようです。

 あと、片山千恵子アナウンサーが、番組の丁度キリの良い所で、ゲストに呼んだ識者二人とトークをしていく、というのが歴史番組ぽかったです。扱う内容は猟奇でしたが(笑)


 さて、初回のお題は、いきなり連続猟奇殺人者切り裂きジャックジャック・ザ・リッパー。ジャックと言えば、シャーロック・ホームズと対決したり、タイムマシンを盗んで現代にやってきたり、サーヴァントになったり、とフィクション業界の大人気キャラですが、本物はどういうキャラだったのかを徹底検証。結構ためになりました。


 しかしなぁ、やはりオカルトネタでない以上、視聴しても「幻解!」みたいな高揚感は有りませんね。まあせいぜいが「歴史秘話ヒストリアのはっちゃけ版」というくらいの印象しかありません。ためにはなるけど(?)、興奮はしない。でもまあ悪い番組では無いので、今後もきっちり視聴して行く予定ですよ。
 
 

他の回の内容・感想は以下のリンクからどうぞ

perry-r.hatenablog.com
 
 

出演者
栗山千明 (くりやま ちあき)
BIRTHDAY 1984年10月10日
BLOOD TYPE A型



ゲストトーク司会: 片山千恵子アナウンサー


テーマ曲: 志方あきこ
オープニング曲“Arcadiaアルカディア)”
エンディング曲“Leyre(レイレ)”
アルバム名/ “Turaida(トゥライダ)”
※詳細については、志方あきこ関連のHPをご覧ください



語り: 中田譲治(声優、俳優、ナレーター)
代表作 『ゴールデンカムイ』(土方歳三)、『騎士竜戦隊リュウソウジャー』(タンクジョウ)、『宝石の国』(金剛先生)、『巌窟王』(モンテ・クリスト伯爵)、『ケロロ軍曹』(ギロロ伍長)、『HELLSING』(アーカード)、『Fateシリーズ』(言峰綺礼

 
 
図説 切り裂きジャック (ふくろうの本)