【アニメ】インタビュー『「ガンダム」を描いた“職人”大河原邦男のメカニックデザイン論』

装甲騎兵ボトムズ 1/20 スコープドッグ(ペールゼン・ファイルズ版)

2019.4.5 Fri 18:30
ガンダム」を描いた“職人”大河原邦男メカニックデザイン論 「重要なことはいつの時代も同じ」【インタビュー】 | アニメ!アニメ!
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【※以下ネタバレ】
 

4月16日まで東京・3331 Arts Chiyodaにて開催されている展覧会「ラフ∞絵」。
秋本治さん、天野喜孝さん、高田明美さんと共に参加するのは、メカニックデザイナー大河原邦男さんだ。

機動戦士ガンダム』や『装甲騎兵ボトムズ』、『タイムボカンシリーズ』をはじめ、数多くのメカニックデザインを手がけてきた大河原さんは、どのよう経験や環境を経て多彩なデザインを生み出すに至ったのか?

その原点やデザインを生み出すプロセスなど、パーソナルな部分を語ってもらった。

 
 秋本治が元アニメーターとはこの企画で初めて知りました……、という話はともかく、大河原御大のデザイン論とか面白いですよ。引用しまくりでお送りします。
 

大河原
メカというのは、形自体の魅力が大事であるということもタツノコプロで学びましたね。
アニメというのは、アニメーターが1枚1枚描いて絵を動かすので、1本線を増やすことでアニメーターには負担がかかるということも同時に知りました。


だからこそ、黒くシルエットにしただけで、これは何のメカかわかるような個性的な形が必要なんです。
ディテールに関しても、ロボットものの場合は、最初は素のままで出てきて、戦いが進んでいくうちにいろんなオプションが付いて、最終的にフル装備状態になるという流れがある。
そういうマーチャンダイジング的な意識も仕事の中で学びました。

 
 
 
超合金魂 GX-65 無敵鋼人ダイターン3 リニューアルカラー

――大河原さんといえば、立体でギミックを提案してそれをデザインに生かすというお仕事も特徴的ですが、それもマーチャンダイジング的な部分を考えた作業ということでしょうか?


大河原
サンライズの当時の企画室長で、後に社長にもなる山浦栄二さんが「『無敵超人ザンボット3』では3体合体をやったから、『無敵鋼人ダイターン3』では、3段変形にしよう」という話があって、その案を通すのに最初から変形機構を考えたモックアップを作ってスポンサーにプレゼンするという方法をとったんです。
私自身、変形や合体のパズルを解くのが好きだったので、そうした提案をすることで、サンライズ初期の作品で多くデザインをさせてもらいました。


――先ほどお話しいただいた、いろんな機械をバラバラにして、新たに何かを作ると楽しいという考えが、いわゆる子どもがどうギミックを楽しむのかという考え方に繋がっていったという感じでしょうか?


大河原
そうですね。だから、変形のための変形ではなくて、必然性のある変形、このギミックがないとこういう形にならないという、単純なところを探り出すのが好きだという感じがうまくはまったということはあります。

 
●コメント
 『変形のための変形ではなくて』これよ。何か良く解らないものが、何か良く解らない別の物に変形するとかいうのが意味が無さ過ぎてムカつく。とりあえずZガンダムのガブスレイとか。
 
 
 
リボルテックヤマグチ No.02 ダグラム

――これまでの仕事で、とくに心が躍ったデザインはなんですか?


大河原
装甲騎兵ボトムズ』のスコープドッグですね。
ボトムズ』の前に、ガンプラブームを受けてプラモデルを売りたいということで、『太陽の牙ダグラム』という作品を高橋良輔監督と一緒に担当したんです。


第1話に登場する有名な「朽ち果てたダグラム」というビジュアルがあるんですが、当時発売された商品では、デザイン的にあのポーズをとることができなかった。
さらに、全高9mという中途半端な大きさとロボットとしての活躍の少なさを見て、放送開始直後から『ダグラム』のメカデザインは意図していたものがうまく表現できていないなと思っていたんです。


そこですぐに次に提案するメカをイメージして、ギミックや形状を伝えるモックアップを作り始めたんです。
当時、模型マニアがガンダムの腰部は分割アーマーにすると足を大きく開くことができると改造していたので、それを最初からデザインに盛り込みたいということ、人が乗り込んで動かすには最低限必要な大きさを提示すること、そして乗り込みやすいように降着ポーズをとれるギミックなどを盛り込んでデザインしていたんです。
ところが『ダグラム』が予想以上に人気が出て放送が1年半にのびて、そのモックはずっと眠っていたんですね。


――『ダグラム』の放送開始直後からずっとスコープドッグのデザインを練っていたんですね。


大河原
良輔さんも『ダグラム』の後の作品では、もうちょっとスピード感を出した演出ができるジープみたいな小さいロボットが活躍する作品にしたいと思っていたようです。
お互いに同じようなことを考えていたということですね。


そこにプロデューサーから「良輔さんがこんな企画をやりたいと言っている」と打診があったわけですが、こちらじゃ「もう出来ていますよ」って感じでした。
それが『ボトムズ』になったわけですから、タイミングが良かったですよね。

 
●コメント
 ボトムズメカの特徴「腰回りの可動するアーマー」はそういう経緯で誕生したんですねぇ。
 
 
 

――「ラフ∞絵」展は大河原さんのファンであり、メカニックデザイナーを目指す人も見に来ると思いますが、メカニックデザイナーになりたいと思っている方にアドバイスはありますか?


大河原
先ほども言いましたが、魅力あるシルエットを作れるかどうかですね。
今は3DCGが一般的になっているので、その辺りを忘れがちですが、やはりひとつの作品の主役を張っていくのであれば、形の魅力がやはり必要なんです。


ザクなんて兵器として見たら隙だらけですが、あの動力パイプがあるのとないのでは脳裏に残るインパクトが全然違う。
やっぱり、誰でもマネをして描くことができて、魅力があるというのは一番難しいことですが、重要さで言えばいつの時代も一緒かもしれません。

 
●コメント
 ディティールじゃなくてシルエットにこだわれと。さすがこの世界で40年以上飯食って未だ現役の人のいう事だから重みが有るわ。「だからザクは今でも通じてるだろ」とか言われたら平伏するしか無いし。
 
 
 
ガンプラ HGUC 1/144 MS-06 量産型ザク (機動戦士ガンダム)