【映画】感想:映画「LOOPER/ルーパー」(2012年:アメリカ)

LOOPER/ルーパー [DVD]

BS-TBS 映画 http://www.bs-tbs.co.jp/movie/
放送 BS-TBS。2018年10月19日(日)

【※以下ネタバレ】
 

ルーパー:未来の犯罪者を消す職業。―標的は必ず消す。30年後の自分であっても。近未来―タイムマシンは開発されていたが、その使用は禁じられ、犯罪組織のみが利用していた。彼らは、証拠を残さず敵を消し去りたいとき、30年前に転送する。“ルーパー”と呼ばれる暗殺者の元へ―。


凄腕ルーパー、ジョーの元に、ターゲットの抹殺指令が入る。それは、いつも通りの単純な仕事のはずだった。だが、送られてきたのは“30年後の自分”。引き金を引くことを躊躇ったジョーの不意をつき、未来から来た“自分”は街へと消えていく。「奴を殺さなければ、自分が消される!」必死に追跡する現代のジョー。ようやく未来の“自分”を追い詰めたとき、彼がこの時代へ来た、驚くべき理由が明かされる。男が過去にまで来て変えようとしているものとは?謎多き未来の独裁者“レインメーカー”とは一体―?

 

あらすじ

 2044年。犯罪組織の一員・ジョー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は、30年後の未来から組織が転送してくる人間を殺し、死体を処分する「ルーパー」という仕事を担当していた。

 30年後の未来ではタイムトラベルが開発されていたが、使用は法律で禁止されていた。また未来では技術の発達で、死体を秘密に処分することは不可能になっていた。そこで犯罪組織は、タイムトラベルを悪用し、殺したい相手を拘束して30年前に転送し、過去世界で契約している殺し屋「ルーパー」に殺害と死体の処理を任せる、という仕組みを作り上げていた。

 そしてもし30年後になってもルーパーが存命の場合は、タイムトラベルの機密を守るため、組織はルーパーを30年前に転送し、若いころの自らに殺害させる。そして若い方のルーパーは契約完了となり、30年後に殺されるまで余生を楽しむ事になる。ルーバーが自らを殺すことは「ループを閉じる」と呼ばれ、それゆえ彼らはルーパーと呼ばれていた。

 ある日、ジョーがいつものように未来からの転送を待ち受けていると、拘束されていない男が現れ、ジョーを殴り倒して逃走してしまう。ジョーは逃がした男が30年後の自分「オールド・ジョー」(ブルース・ウィリス)だった事を悟る。組織は仕事に失敗したジョーと、オールド・ジョーを血眼で探し始める。


 ジョーが無事にオールド・ジョーを殺した歴史では、ジョーはルーパーを引退した後、中国に渡っていた。しかしそこでもジョーは麻薬に溺れ犯罪に走り、どうしようもない人生を歩んでいた。しかしある時一人の女性と出会うことで立ち直り、その女性と結婚し、田舎で穏やかな暮らしを送り始める。

 だがルーパーを辞めてから30年後、組織の人間によって妻は殺され、オールド・ジョーも拉致されタイムマシンに入れられそうになる。オールド・ジョーは反撃して組織の人間を殺した後、自らの意思でタイムトラベルして30年前に戻ると、若い自分を気絶させて逃走する。


 やがてジョーとオールド・ジョーは再会し、オールド・ジョーは自分の目的を語る。30年後の未来では地下社会は「レインメーカー」なる謎めいた存在によって牛耳られていた。その正体は誰も知らなかったが、オールド・ジョーは、未来でレインメーカーに繋がる僅かな手掛かりを得ていた。オールド・ジョーはこの時代で若き日のレインメーカーを殺し、妻が殺される運命を変えようというのだった。しかしジョーとしてはオールド・ジョーを殺さなければ自分が組織に始末されてしまうため、両者は対立する。そこに組織の人間が現れたため、二人は別々に逃走する。

 ジョーはオールド・ジョーが持っていた地図の切れ端を頼りに、サラという女性の家にたどり着く。サラはシングルマザーでシドという幼い一人息子と暮らしていた。ジョーはここでオールド・ジョーが来るのを待ち伏せることにした。やがてジョーは、シドが超強力なTK(念動力)の持ち主だと気が付き、彼こそ未来のレインメーカーだと確信する。

 一方、オールド・ジョーはレインメーカーの候補である三人の少年の内、まず一人を殺すが、やがて組織に捕らえられる。しかしすぐさま反撃して組織を壊滅させる。さらに過去の自分の記憶によって自分の記憶が書き換わり、シド=レインメーカーだと知り、サラの家に向かう。

 サラはオールドジョーからシドを守ろうとして、その前に立ちふさがる。その瞬間、ジョーは、もしオールド・ジョーがサラを殺せば、シドはそのまま逃げのび、やがて未来のレインメーカーになってしまうことを直感する。そしてその歴史を変えるため、自分自身を銃で撃って死ぬ。その瞬間オールド・ジョーは消えてしまい、ループは終わった。

感想

 評価は○。

 全体的に粗さを感じるものの、総合的にはなかなか楽しめた映画でした。


 基本的には設定がかなりずさんというかで、

2044年では特に説明も無く人口の一割がTK(念動力)を使えるという。何故?
とか

・過去に転送する前に睡眠薬の一本でも打っておけば、一々逃げられずに済むのに(オールド・ジョーの前にも未来から送られたルーパーが逃げる事件が有った)。というか、最初から転送から出る場所をガス室とか焼却炉にでも設定しておいて、完全自動で処分できるようにしておけば、ルーパーなんか必要無くね?
とか

・未来から来た元ルーパーを殺す場合、金の延べ簿を持っているだけで身元を示すものが無い。即座に殺したらこれが誰の未来の姿だとどうやって解るんだ?
とか

・30年後にいちいち見つけ出して過去に送り込んで殺させるとか凄く手間がかかって面倒くさくない? そもそも野放しにしている30年の間にタイムトラベルの事をあちこちでべらべら喋られたら機密保持もへったくれもなくない?


 など話作りの基本的な部分で無理がある、というか、映画のストーリーを無理やり成立させるための無理やりの設定で構築されていて、「緻密」という言葉とは真反対です。タイムトラベル物・タイムループ物は、何度も何度も繰り返し視聴して、細部に張り巡らされた伏線を楽しむもの、というイメージが有りますが、この作品は180度違い、勢いだけで乗り切っています。

 とは言ってもつまらないという訳ではなく、これがなかなかの優れもの。若い方のジョーの方に焦点を合わせると、組織に消されないため必死で中年ジョーを追いかけるサスペンス物として楽しめますし、逆に老ジョーを追えば、幸せな生活を取り戻すため必死に過去改変を試みるというSFドラマになっていて、これはこれで面白い。

 またクライマックスでは、オールド・ジョーが歴史を変えようとする行為そのものが、却って「レインメーカー」を生み出してしまう事になる、という皮肉な展開になっており、このあたりは時間SFとしての妙味を堪能出来て、ニヤリとさせられました。

 最後は、麻薬中毒の殺し屋が、一人の少年が裏社会のボスになる悲しい運命を、命と引き換えに食い止めた、というイイ感じの結末になっており、後味もなかなかのもの。

 ということで時間SFマニアからするといささか言いたいことも有りましたが、概ね満足の行く映画でした。
 
 

LOOPER/ルーパー【吹替】
2018/10/13(土) よる9:00~10:54


ジョセフ・ゴードン=レヴィット VS ブルース・ウィリス
任務:未来から来る犯罪者を消せ 標的:30年後の自分


キャスト
ルース・ウィリス,ジョセフ・ゴードン=レヴィット,エミリー・ブラント,ポール・ダノ,ノア・セガン,パイパー・ペラーポ,ジェフ・ダニエルズ


スタッフ
2012年/アメリ
監督・脚本:ライアン・ジョンソン

 
 

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