2019年6月27日 19時0分
誰も読めない謎の古文書!『ヴォイニッチ写本』研究の最前線を慶應義塾大学で聞いてきた。 - ライブドアニュース
https://news.livedoor.com/article/detail/16680382/
1912年、古本屋業を営んでいたウィルフリッド・ヴォイニッチは、イタリアの寺院で奇妙な本を見つけた。
そこには、どこの国のものでもない言語がびっしりと書き記されている。文字に添えられた植物のイラストもまた、現実の世界には存在しないものばかり。
放射性炭素年代測定によると、15世紀に書かれた文書であるらしい。だが、発見から100年以上が経った今も、何が書かれているのかは不明のまま。世界の大いなる謎として語り継がれ、オカルト的な関心を集め続けてきた奇書。
それが「ヴォイニッチ写本」である。
しかしなんと、そんなヴォイニッチ写本に関する最先端の研究を行う人物が、慶應義塾大学にいるらしい。今回お話を伺うのは、安形麻理教授。いったい、真の解読はどこまで進んでいるのか。2019年現在の到達点を聞いてきた。
ハイ、このように世紀の奇書として知られ、オカルトスキーにとっては一般常識であるヴォイニッチ写本(古文書)が、真面目な記事の題材になっていました。
オカルト界隈では「何が書かれているか不明の神秘的な書物。何かすんごい秘密が記されている?」みたいな扱いですが、上記の記事はオカルトは一切関係なく、真面目な学者さんが真面目に古文書の調査を行う話として話題にしています。すんごく面白いので引用多めでお送りします。
わ! ヴォイニッチ写本がある! 実物…ですか?
安形 これは、「ファクシミリ版」と呼ばれる、実際のヴォイニッチ写本に忠実に似せてつくった写真複製本(※)なんです。こういうのを専門にしてつくっている会社が海外にあるんですよ。そこから購入しました。
これ、穴があいていたり、ページの端が切れていたりしますよね。もしかしてこれは…?
安形 そうです。本物の状態を、そっくりそのまま再現してるんです。
こんなものがあるんですね。ちなみにお値段は…?
安形 だいたい、100万円ちょっとかな…(笑)。
みんな公開された写真を元に研究しているのかと思っていたら、こんなもんが有るのか……(笑)
また、アカデミックな世界だけでなく、一般の方々による解読への挑戦も種々あります。ただ、どれも一貫した解読方法は発見できていない、というのが現状です。「10個の単語が解読できた!」「2行だけ解読できた!」という報告がよくあるんですが、その解読方法では他の部分は読めないままだったりして。解読の報告は、そうした不完全なものがほとんどなんです。
少し前にも「解読できた!」とかニュースになっていましたが、世の中では認められていない模様……
なるほど、“未解読”ということ自体は、それほど珍しいことではないんですね。そんな中、どうしてヴォイニッチ写本は特別な注目を集めているんでしょうか?
安形 一番の理由は、読めそうで読めないところだと思います。ヴォイニッチ写本って、パッと見は中世によくあった写本なんです。登場する文字は一見アルファベットや数字に似ているし、挿絵の植物や天文のシンボルなども、いかにも錬金術に関係しているかのように見える。
この「わかりそう」な感じと、「でも、わからない」という絶妙な塩梅が、100年以上にわたって多くの人を引きつけているのではないでしょうか。
フェルマーの最終定理みたいに「なんとなく素人でもひょいッと解けそうな感じ」がして、挑戦する意欲を掻き立てるアレが有りますよねぇ(笑)
その結果、何がわかってくるんですか?
安形 まずは、近いページ同士の内容は似ている、ということがわかりました。4ページと5ページは似たようなことが書かれているけれど、4ページと40ページを比べるとそうではない、といった感じで。
もうひとつ、ヴォイニッチ写本をいくつかの章に分け、その中身を比べていきました。挿絵があるので、それを基に大まかなテーマごとに内容を区切ることができるのですが、そうすると前から順番に「植物」「天文」「生物」「十二宮図」「薬草」「レシピ」の6つの章に分けられます。
安形 私たちはページをひとつのかたまりにした「章」と、ひとつひとつのページとを比べていきました。そうすると、「植物の章の中にあるページ」は、ほかのどの章よりも「植物の章」と似ている。同じように、「天文の章の中にあるページ」は、ほかのどの章よりも「天文の章」と似ている。挿絵ばかりでデータが少なかった「十二宮図」を除けば、どの章でも同じことが言えたんです。
なんだか、とっても当たり前のことに聞こえます。
安形 そう、その「当たり前」というのが重要なんです。ふだん手にする普通の本を思い起こしてみてください。隣り合うページの内容は近しいし、ひとつの章の中には似たことが書かれたページが集まっているはず。
つまり裏を返せば、ヴォイニッチ写本は世の中にあるたくさんの本と同じような構造を持っている、ということです。
つまり、本の内容は解らないにせよ、適当なデタラメをそれっぽく書きなぐっているのではなく、意味のある文章を書いてある可能性が高い、という訳です。この本は「アウトサイダー・アート」説、つまり特に意味はない説も有ったのですが、内容的に意味があるとすれば……、夢がひろがりんぐ(死語)
まあ、解読できても、私の予想としては、15世紀のインテリなオタクが、自分が考えた妄想を書き記した同人誌みたいなもんじゃないかと思ってますけど(笑)