【ミステリー】感想:歴史ミステリー番組「ダークサイドミステリー」『人民寺院事件 本当にその道しかなかったのか』(2019年9月5日(木)放送)

人民寺院―ジム・ジョーンズとガイアナの大虐殺

ダークサイドミステリー NHK https://www4.nhk.or.jp/darkside/
放送 NHK BSプレミアム。毎週木曜夜9時放送。

【※以下ネタバレ】
 

他の回の内容・感想

perry-r.hatenablog.com
 

背筋がゾワゾワ、心がドキドキ、怖いからこそ見たくなる。世界はそんなミステリーに満ちている。未解決の事件、自然の脅威、不思議な伝説、怪しい歴史…。こうした事件の数々を徹底再検証!


人智を超えた謎に迫る「幻解!超常ファイル」を拡大スピンオフ!今度は人間や自然が生み出した謎と恐怖に満ちた事件・伝説の正体に、栗山千明志方あきこ中田譲治のダークなトライアングルで引き続き迫ります。

 

人民寺院事件 本当にその道しかなかったのか (2019年9月5日(木)放送)

 

内容

https://www4.nhk.or.jp/darkside/x/2019-09-05/10/17935/2292011/
9月5日木曜
NHKBSプレミアム 午後9時00分~ 午後10時00分
ダークサイドミステリー「人民寺院事件 本当にその道しかなかったのか」


私は大丈夫、と思ったら大間違い。900人以上の集団自殺人民寺院事件でなぜ人々は死を選んでしまったのか。生存者の証言から描く、身近なマインドコントロールの恐怖。


1978年、世界に衝撃を与えた900人以上の集団自殺。差別のない理想郷を目指す宗教団体“人民寺院”の信者は、なぜ教祖ジム・ジョーンズによって死を選ばされたのか?癒しと信頼の相手がいつの間にか、絶対服従で縛る恐怖の存在に。自分の意思が奪われるマインドコントロールの危険は、ドメスティックバイオレンスや虐待など私たちの身近にも存在する。元信者たちの貴重な証言から、人々がワナにはまる経緯と恐ろしさを描く。


【出演】栗山千明,西田公昭,平井康大,【語り】中田譲治,【アナウンサー】片山千恵子

 
 今回のテーマは「ガイアナ人民寺院事件」。


人民寺院事件

 1978年11月18日。南米ガイアナで、宗教団体「人民寺院(Peoples Temple)」の教祖ジム・ジョーンズと信者が集団自殺し、犠牲者の合計900人以上、という事件が起きた。いわゆる「ガイアナ人民寺院事件」である。


 人民寺院の教祖ジム・ジョーンズは1931年生まれ。1954年・23歳の時に人民寺院を設立する。ジョーンズは当初「貧困者の救済」「人種差別の撤廃」を掲げ、特に黒人から支持される。実際、ジョーンズは、貧困者に食料を無料で提供する「スープ&キッチン」、衣料品の配布、悩み事相談、等を行っている。公民権運動以前のこの頃、白人でこんなことを行う牧師は他にはいなかった。

 しかしその一方で、ジョーンズは奇跡が起こせると言って、足が悪いふりをしたサクラを奇跡の力で治療したように見せかけるインチキな「心霊治療」を実演し、信者の獲得に余念が無かった。


 1965年、教団はカリフォルニアに移転。その際にジョーンズは、信者に全財産を寄進させ、仕事は辞めさせ、家族友人との関係を断ちきらせて、教団内部の結束を高めるようにした。時代はベトナム戦争中であり、ジョーンズは社会を変えたいという若者たちの心をつかんで信者にしていった。

 しかし、表向きは合議制の組織は、実際はジョーンズの独裁だった。ジョーンズの側近は信者や信者になりそうな人間の家から出るごみをあさり、個人情報を掴んでジョーンズに伝えた。それをジョーンズは霊的な力で知った事の様に振るまって、自らを神秘的な存在に見せかけていた。

 また「人間浄化集会」と銘打って、集団で一人の信者を徹底的につるし上げ、友人家族から攻撃させることで信者を孤立化させ、頼れるのは教祖だけ、といった状況を作り出し、教祖の支配力を強めていった。



●1978年11月18日

 しかし、1977年8月、新聞に人民寺院の内情を暴く記事が掲載された。ジョーンズと信者たちは、南米ガイアナのジャングルにジョーンズが建設していた街「ジョーンズタウン」に移り住んだ。信者は財産を全て教団に譲渡し、代わりに教団が信者の面倒を見るようになっていた。

 一方、アメリカでは信者の家族たちが被害者の会を結成。それを受けて下院議員レオ・ライアンが動き、現地に視察に赴くことになった。

 1978年11月17日、ライアンと被害者家族、報道関係者が二日間の予定でジョーンズタウンの視察を開始した。初日は和やかなムードに終始したが、翌日18日になると、視察団に「街から連れ出してほしい」と手紙を託す信者が現れ、同じように救出を求める信者たちが次々と出てきた。

 ライアンたちは急遽飛行機を呼び、信者たちを載せようとしたが、そこをジョーンズが差し向けた信者たちが襲撃し、ライアンたち5人が死亡、5人が重軽傷を負った。

 そのあとジョーンズは、信者たちに「もう平和に暮らせないなら平和の内に死のう」と呼びかけて、シアン化合物入りジュースを配り、信者たちは子供たちからそれを飲んで死んでいった。死者918人(うち18歳未満は304人)。



●ゲストのコメント

人民寺院は明らかにカルト集団。カルトとはラテン語で「儀礼・神々の崇拝」という意味であり、ネガティブな意味合いは全くないが、こういう狂的集団は「破壊的カルト」と呼ぶようになっている。


・カルトの特徴は「集団優先」「私生活の放棄」「批判の封鎖」「絶対服従


・ジョーンズのやったことはマインドコントロール。コミュニケーションで人の心のを操る手法。まず徹底的に痛めつけておいてから優しい言葉をかける。短時間でこれを繰り返されると、人はもう訳が分からなくなり、「何もしなければ責められない」と考えて従属していく。DVと同じ。


・カルトの信者たちは自分を選ばれた人間だと認識していて、他の人間より一段高い所に立っていると考えている。だから周囲の人間が騙されている云々と説得しても、聞く耳を持たない。


・人は犠牲を払ったら自分の行動を正当化しようとする。これを「認知的不協和」という。信者たちは、財産も仕事も家族も捨てているのだから、自分のやっていることは間違っていないと考えてしまった。


・今後もカルトは無くなることはない。それは理想社会が実現するという幻想・錯覚で人を引き付けるから。それに引っかからないためには、「こうこうすれば問題は解決」といった単純な答えは無い事を認識し、自分の頭で考え続けなければならない。


感想

 今回は普段の「歴史ミステリー」ネタとは趣の違う、ただただひどいだけの話でした。ニュアンス的には「フランケンシュタインの誘惑」の鬱回のノリに近かったかなと。見ていて辛かったです。

 衝撃的なのが、ジョーンズタウン視察団が襲撃を受けるシーン。テレビ局のNBCのスタッフが同行していたのですが、襲撃を受けるシーンが記録されていて、ビデオカメラの映像が途切れるシーンで終わりになるというのがなんとも……、ちなみに撮影していた人は撃たれて死んだそうです。(;゚Д゚)エエー

 教祖の息子で集団自殺に巻き込まれなかったスティーブンという人物にインタビューしているのですが、父親があんなことを引き起こした男で、さぞやキツイ人生だったと思われます……
 
 

他の回の内容・感想は以下のリンクからどうぞ

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出演者
栗山千明 (くりやま ちあき)
BIRTHDAY 1984年10月10日
BLOOD TYPE A型


ゲストトーク司会: 片山千恵子アナウンサー


テーマ曲: 志方あきこ
オープニング曲“Arcadiaアルカディア)”
エンディング曲“Leyre(レイレ)”
アルバム名/ “Turaida(トゥライダ)”


語り: 中田譲治(声優、俳優、ナレーター)
代表作 『ゴールデンカムイ』(土方歳三)、『騎士竜戦隊リュウソウジャー』(タンクジョウ)、『宝石の国』(金剛先生)、『巌窟王』(モンテ・クリスト伯爵)、『ケロロ軍曹』(ギロロ伍長)、『HELLSING』(アーカード)、『Fateシリーズ』(言峰綺礼

 
 
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