【ミステリー】感想:歴史ミステリー番組「ダークサイドミステリー」『幻のニホンオオカミを追え!』(2019年9月12日(木)放送)

ニホンオオカミは生きている

ダークサイドミステリー NHK https://www4.nhk.or.jp/darkside/
放送 NHK BSプレミアム。毎週木曜夜9時放送。

【※以下ネタバレ】
 

他の回の内容・感想

perry-r.hatenablog.com
 

背筋がゾワゾワ、心がドキドキ、怖いからこそ見たくなる。世界はそんなミステリーに満ちている。未解決の事件、自然の脅威、不思議な伝説、怪しい歴史…。こうした事件の数々を徹底再検証!


人智を超えた謎に迫る「幻解!超常ファイル」を拡大スピンオフ!今度は人間や自然が生み出した謎と恐怖に満ちた事件・伝説の正体に、栗山千明志方あきこ中田譲治のダークなトライアングルで引き続き迫ります。

 

幻のニホンオオカミを追え! (2019年9月12日(木)放送)

 

内容

https://www4.nhk.or.jp/darkside/x/2019-09-12/10/23113/2292012/
9月12日木曜
NHKBSプレミアム 午後9時00分~ 午後10時00分
ダークサイドミステリー「幻のニホンオオカミを追え!」


今、ニホンオオカミが熱い!目撃情報、新資料発見、最新DNA研究など新展開が続々!絶滅から100年以上、改めて注目される日本独自の犬の仲間、孤高の魅力を完全復元!


日本を代表する犬の仲間なのに、生きた写真が一枚もなく、謎のまま絶滅したニホンオオカミが、今熱い!各地での目撃情報、世界的に貴重なスケッチや定説を覆す写真の発見、そして最新科学によるDNA研究など、驚きの新展開が次々に起きている。知られざる最新情報の数々を紹介する一方で、恐竜など生物復元図の第一人者が、徹底分析をもとにニホンオオカミの再現に挑む。美しく誇り高いニホンオオカミ孤高の魅力がよみがえる!


【出演】栗山千明今泉忠明山根一眞,【語り】中田譲治,【アナウンサー】片山千恵子

 
 今回のテーマは「ニホンオオカミ」。


●100年以上前に絶滅したはずだが……

 ニホンオオカミは、かつては本州・四国・九州の山々に生息していたが、1905年・明治38年奈良県の発見を最後に、以後生きた個体が見つかっていないため、一般には絶滅したと考えられている。

 ところが、2003年に新資料が発見された。1910年に福井県で一頭が殺されたという記録があり、写真も残っている。しかしその個体の標本は空襲で焼失してしまったため、真偽は不明。


 また明治どころか昭和・平成になっても目撃報告が相次いでいる。

・1963年(昭和38年)静岡県御殿場市。元自衛官が、富士山ろくで夜間訓練中に犬型の獣を目撃。
・1999年(平成11年)山梨県甲州市。山を駆け上がる獣を目撃。
・2013年(平成25年)埼玉県秩父市秩父山中で獣の吠える声。


・1996年(平成8年)秩父ではニホンオオカミらしい個体の写真が撮影されており、専門家もオオカミの可能性が高いと分析した。イヌ科の動物は鼻から額にかけて「ストップ」という段差があるが、オオカミは犬に比べてそのストップが緩やか。そして撮影された個体もやはり緩やか。また背中や尻尾の先が黒かったが、これもオオカミの特徴である。


・2000年(平成12年)大分でもやはりオオカミらしい個体の写真が撮影されている。


※ゲストのコメント

・種の絶滅は50年間生きている証拠が見つからない場合に宣告される。ただしダイトウウグイスという鳥は1922年に絶滅したと思われていたが、2001年に生きている個体群が見つかっている。ニホンオオカミも生き残っていてもおかしくはない。


・2000年(平成12年)大分で撮影された個体は、尻尾の先が黒い上に、尻尾から1/3くらいのところに黒い「スミレ腺」が確認できる。さらに口の周りが白く、下唇が黒い。これらの特徴を合わせるとニホンオオカミそのものに見える。



ニホンオオカミの姿は

 オオカミの仲間は北半球の国々に約30種が生息しており、大きさは1メートルから2メートルまでいろいろ。ところでニホンオオカミはどのような姿をしているのかというと、実ははっきりわからない。生きている姿を撮影した写真は一枚も無く、絵は残っているが正確かどうか分からない。

 日本国内にはニホンオオカミの剥製が三体存在する。ところがこの三体、それぞれが微妙に印象が異なっている。実は剥製というのは作り手の個性が大きく出るもので、作り手がどういうイメージを持っていたかで完成品は大きく異なってしまう。

 骨から推測すると、ニホンオオカミはわりと小さく、全長1メートル程度と思われる。

 2014年。イギリス・ロンドンでニホンオオカミの絵が発見された。明治初期に動物園で飼育されていたニホンオオカミのカラースケッチが残っていたのである。生きていたときの姿をうかがい知ることのできる貴重な一枚である。



●生態

 ニホンオオカミがどこに住み何を食べていたのか、全く分かっていない。推測すれば、シカやイノシシを食べていたと思われる。そしてシカ・イノシシが住んでいる低山帯で暮らしていた可能性が高い。

 江戸時代、畑を荒らすシカ・イノシシを狩るオオカミは神の使いとして崇められていた。その一方で、オオカミに馬や人が襲われたという記録もある。



※ゲストのコメント

・何故ニホンオオカミが滅びたのか解っていない。伝染病(狂犬病、ジステンパー、フィラリア、等)が蔓延したため、という説もある。


ニホンオオカミの生態が不明なのは、「いて当たり前」だったので、誰も詳しく知ろうとしなかったから。それは現在でも同様で、タヌキやキツネの事は学者も良く知らない。調べてもお金にならないから。獣医学部では経済動物(牛とか豚とか)のことしか教えない。



●ヤマイヌ?

 新種を発表する際に登録された標本の事を「タイプ標本」という。実はニホンオオカミのタイプ標本はオランダ・ライデンに存在する。何故日本ではなく遠い異国のオランダなのかというと、あのシーボルトが日本で手に入れた標本を母国のオランダに送り、それがヨーロッパの学会に発表されたからである。


 ところがこの標本、台座には「jamainu(ヤマイヌ)」と書かれているのである。これはニホンオオカミではないのか? 可能性は三つ。

可能性1「ヤマイヌという別の動物」
 昔の日本には「オオカミ」の他によく似た別の生き物「ヤマイヌ」が存在した。つまりこれはニホンオオカミではない。


可能性2「ニホンオオカミとヤマイヌは同じ動物」
 昔の日本では、平地に住んでいる普通の犬を「サトイヌ」、山に住んでいるオオカミを「ヤマイヌ」、と呼んでいた。つまりヤマイヌ=ニホンオオカミ


可能性3「オオカミと犬の交雑種」
 犬とニホンオオカミの交雑種をヤマイヌと呼んだ。


 最新のミトコンドリアDNA鑑定で、ニホンオオカミの骨からDNAを取り出してニホンオオカミ固有の特徴を見つけ出し、それをオランダの標本の骨のDNAと比較したところ、オランダの物にもニホンオオカミの特徴が見られた。とりあえずオオカミの血を引く何かであることは解った。



●復元画

 最後に、古代生物復元画家の小田隆氏に依頼して、骨や毛皮からニホンオオカミの復元画を描いてもらって〆。


感想

ニホンオオカミは消えたか?

 今回のネタは「歴史ミステリー」とは全く言えないジャンル、どちらかというとUMA探しに近いようなニュアンスの回でしたが、これはこれでとても面白かったので良し。

 ところで、「メタルカラーの時代」で有名な山根一眞氏がニホンオオカミを30年も追っているとは知りませんでした。オランダの標本に「ヤマイヌ」と書いてあるのを見つけたのは山根氏なんだそうです。へー。
 
 

他の回の内容・感想は以下のリンクからどうぞ

perry-r.hatenablog.com
 
 

出演者
栗山千明 (くりやま ちあき)
BIRTHDAY 1984年10月10日
BLOOD TYPE A型


ゲストトーク司会: 片山千恵子アナウンサー


テーマ曲: 志方あきこ
オープニング曲“Arcadiaアルカディア)”
エンディング曲“Leyre(レイレ)”
アルバム名/ “Turaida(トゥライダ)”


語り: 中田譲治(声優、俳優、ナレーター)
代表作 『ゴールデンカムイ』(土方歳三)、『騎士竜戦隊リュウソウジャー』(タンクジョウ)、『宝石の国』(金剛先生)、『巌窟王』(モンテ・クリスト伯爵)、『ケロロ軍曹』(ギロロ伍長)、『HELLSING』(アーカード)、『Fateシリーズ』(言峰綺礼

 
 
幻のニホンオオカミ
幻のニホンオオカミ