【ミステリー】感想:歴史ミステリー番組「ダークサイドミステリー」『闇の神話を創った男 H.P.ラヴクラフト』(2019年9月19日(木)放送)

クトゥルー〈1〉 (暗黒神話大系シリーズ)

ダークサイドミステリー NHK https://www4.nhk.or.jp/darkside/
放送 NHK BSプレミアム。毎週木曜夜9時放送。

【※以下ネタバレ】
 

他の回の内容・感想

perry-r.hatenablog.com
 

背筋がゾワゾワ、心がドキドキ、怖いからこそ見たくなる。世界はそんなミステリーに満ちている。未解決の事件、自然の脅威、不思議な伝説、怪しい歴史…。こうした事件の数々を徹底再検証!


人智を超えた謎に迫る「幻解!超常ファイル」を拡大スピンオフ!今度は人間や自然が生み出した謎と恐怖に満ちた事件・伝説の正体に、栗山千明志方あきこ中田譲治のダークなトライアングルで引き続き迫ります。

 

闇の神話を創った男 H.P.ラヴクラフト (2019年9月19日(木)放送)

 

内容

https://www4.nhk.or.jp/darkside/x/2019-09-19/10/28509/2292013/
9月19日木曜
NHKBSプレミアム 午後9時00分~ 午後10時00分
ダークサイドミステリー「闇の神話を創った男 H.P.ラヴクラフト


今なぜ?静かなブーム“クトゥルー神話”とは?平和な日常に忍び寄る恐怖の怪物・邪神たち!有名な映画やアニメに大きな影響を与えた伝説のホラー作家。魅力と実像に迫る。


今、映画やアニメ、マンガ、小説など世界のクリエイターたちに多大な影響を与えている暗黒伝説“クトゥルー神話”!100年前の作家がなぜ、現代人も恐れる宇宙的恐怖“コズミック・ホラー”を生み出せたのか?平和な日常に忍び寄る恐怖と混とん。代表作の数々を紹介しながら、伝説の作家ラヴクラフトの創作と魅力の秘密に迫る。ラヴクラフト作品を愛してやまない俳優・佐野史郎が、貴重な映像とともに、尽きない魅力を熱く語る。


【ナビゲーター】栗山千明,【出演】佐野史郎森瀬繚,【語り】中田譲治,【アナウンサー】片山千恵子

 
 今回のテーマは「クトゥルー神話&作者H.P.ラヴクラフト」。


クトゥルー神話とは

 1979年の大ヒットSFホラー映画「エイリアン」。その映画の脚本家ダン・オバノンや、デザイナー・H・R・ギーガーが強く影響を受けたのが、怪奇作家ハワード・フィリップス・ラヴクラフト(1890~1937)。死後80年以上経っても、現在の映画、アニメ、小説、漫画、ゲーム、他に影響を及ぼしているレジェンドである。

 ラヴクラフトが作品を執筆したのは1920~1930年代。当時の怪奇ジャンルの恐怖の対象は、吸血鬼や恐竜、キングコングといった現実の延長線上の存在。それに対してラヴクラフトが描いたのは全く異質な「コズミック・ホラー」(宇宙的恐怖)と呼ばれるもの。日常で起きる出来事の背後に、人間では理解できないような宇宙的謎が隠されていた、という物である。

 そんな恐怖の代表作が「クトゥルーの呼び声」(1926年 執筆 36歳)。主人公の青年が、おじの死をきっかけに事件に巻き込まれていき、最終的に「クトゥルー」という強大な力を持つ邪神が復活しようとしていることに気が付く、という内容。

 ラヴクラフトが書いた、こういった邪神の物語は、やがて「クトゥルー神話」と呼ばれて大人気を獲得するに至る。



ラヴクラフトの生涯

 ラヴクラフトは1890年にアメリカ・ロードアイランド州プロビデンスに生まれた。祖父は地元の名士で、裕福な家庭で育つ。子供の頃から読書好きだったが、8歳の時、怪奇・幻想小説の大家エドガー・アラン・ポーの作品に触れて、理解不能・不条理な恐怖、という作風に影響を受ける。

 1917年(26歳)、ラヴクラフトは自分の見た悪夢を元に「ダゴン」という作品を書き上げる。『海を一人ボートで漂流する男が、海底から上昇してきた泥の陸地にたどり着く。そしてそこで人類以外の何者か作った石柱を発見し、さらに巨大な魚の様な怪物を目にする。やがて男は病院で目覚めるが、悪夢にうなされるようになり、ついに投身自殺を決意する。ところが窓に近づいた途端、半魚人のような手が外から窓に張り付き……』

 しかしこの作品は当時のパルプ雑誌の主流である解りやすい怪奇モノとはかけ離れており、雑誌に掲載されるまでに二年もかかった。またマニア受けの作風のため、ラヴクラフトは作家としてはやっていけず、他の作家の作品の代作や添削をして食べていた。

 それでもラブクラフトは自分のスタイルを崩すことなく作品を執筆していく。


「神殿」(1920年 執筆 30歳)
 潜水艦の乗員が次々と正気を失っていき、やがて海底で人間以外が作った都市を発見し……


ナイアルラトホテプ」(1920年 執筆)
 エジプトからやってきた謎の超能力者は、実は邪神ナイアルラトホテプだった……


 そしてラヴクラフトは「クトゥルーの呼び声」(1926年 執筆 36歳)で、人間の価値観が通用しない宇宙から恐怖がやってくる、というアイデアにたどり着く。


 しかし、ラヴクラフトがいくら作品を執筆しても人気は出ず、個人名義の作品集も出版されなかった。そんな彼を支えたのが、作家仲間たち。そして他の作家たちと連絡を取り合って、自分が考えた設定(登場人物・書物・邪神)を使ってもらうように頼み、逆に他の作家が考えた設定を自作内で使わせてもらった。こうして「神話」が作られていった。


 1931年(40歳)、ラヴクラフトは初の長編である「狂気の山脈にて」を執筆する。
 『1931年、南極に向かった探検隊が、人類とは全く異なる生物によって作られた都市を発見する。都市の建設者は超空間生命体『旧支配者』と呼ばれる、地球の生命が誕生する前に超古代に宇宙からやってきた種族だった。地球の生命は、人類も含めて旧支配者によって創造されたものだったのである。だが旧支配者は、奴隷種族の反乱や宇宙から来た敵対種族との戦いに突入する。旧支配者は今は一体どこにいるのか……?』


 ラヴクラフトは同じ1931年に長編「インスマスを覆う影」を執筆する。
 『主人公の若者が海辺の町「インスマス」を訪問するが、住人たちは深海に住む邪神「ダゴン」を崇拝していた。実は住民たちは間ではない存在「深きものども」の血を引く存在で、ダゴン復活に備えて地上に暮らしているのだった。やがて主人公も自分が「深きものども」の血を引いていることを知る。そして肉体がどんどん人間離れしていくと同時に、心も人の物ではなくなっていく……』

 この作品は、1992年にはTBSで、日本を舞台に作り替えたテレビドラマ版が作られた。主演は番組ゲストの佐野史郎


 1937年、ラヴクラフトは46歳で小腸ガンで死亡。結局生前彼は一冊の本も出ることなく終わった。2年後に作家仲間たちがラヴクラフトの代表作を収めた本を発表。そして以後、ラヴクラフト作品は後進のクリエイターたちを刺激し続けている。


感想

 今回はサブカル業界でもはや常識となっているクトゥルー物がテーマ。「歴史上のミステリー」では全然なく、文芸系番組の作家と作品の紹介みたいな内容でしたが、面白かったのでまー良いです。

 番組中に作品のあらすじ紹介が有るのですが、漫画版(世の中はそういう物が有るのです)の絵に合わせて、ナレーションの中田譲治氏がいつものあのノリで雰囲気たっぷりに紹介してくれるので、実に良い感じでした。

 ゲストの一人で俳優の佐野史郎氏が来てまして、この方、番組中でもラヴクラフト役でラヴクラフトの残した言葉を朗読してくれたりしていたのですが、コメントとしては「ラヴクラフトそっくりの嶋田久作とゲームをやりまして云々」(多分クトゥルフTRPGのこと)とか「ぼくはゴジラ映画に出演しましたが、ゴジラダゴンだと思うんですよね」とか、マニアにはウケるけど、それ以外の人は理解できないような事ばかり言っていました(笑) おかげで、司会の片山千恵子アナウンサーがめちゃくちゃ困惑して、まともに話が返せなかった(笑) まあ~、好きなことが喋れて舞い上がったオタクという感じで、微笑ましくも有りましたよ(笑)

 「ダゴン」のオチが、もはやギャグ扱いされてている「窓が! 窓が!」だったのでワロタ(笑) てっきりオーガスト・ダーレスが発明したオチだと思っていたのですが、始めたのはラヴクラフト先生でしたか(笑)
 
 
 

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perry-r.hatenablog.com
 
 

出演者
栗山千明 (くりやま ちあき)
BIRTHDAY 1984年10月10日
BLOOD TYPE A型


ゲストトーク司会: 片山千恵子アナウンサー


テーマ曲: 志方あきこ
オープニング曲“Arcadiaアルカディア)”
エンディング曲“Leyre(レイレ)”
アルバム名/ “Turaida(トゥライダ)”


語り: 中田譲治(声優、俳優、ナレーター)
代表作 『ゴールデンカムイ』(土方歳三)、『騎士竜戦隊リュウソウジャー』(タンクジョウ)、『宝石の国』(金剛先生)、『巌窟王』(モンテ・クリスト伯爵)、『ケロロ軍曹』(ギロロ伍長)、『HELLSING』(アーカード)、『Fateシリーズ』(言峰綺礼

 
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