【SF小説】感想「偽アルマディスト」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 552巻)(2017年9月7日発売)


偽アルマディスト (宇宙英雄ローダン・シリーズ552)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150121400
偽アルマディスト (宇宙英雄ローダン・シリーズ552) (日本語) 文庫 2017/9/7
デトレフ・G・ヴィンター (著), H・G・エーヴェルス (著), 若松 宣子 (翻訳)
文庫: 271ページ
出版社: 早川書房 (2017/9/7)
発売日: 2017/9/7

【※以下ネタバレ】
 

アルマダ種族に生まれながら、それを証明する"アルマダ炎"を持たないエーナは、拿捕された《プレジデント》と遭遇するが……!?


数万の種族からなる部隊で構成され、想像を絶する規模をもつ大艦隊、無限アルマダ。そのメンバーすなわちアルマディストであることを証明できる共通項はただひとつ、頭上に浮遊する光の玉"アルマダ炎"だ。ところが、アルマダ種族に生まれながら、このアルマダ炎を持たない者がいた。ヘルキド人のエーナ・ネジャールスだ。"偽アルマディスト"の汚名に耐えて生きのびようとするエーナが見いだした、ひと筋の希望とは?

 

あらすじ

◇1103話 偽アルマディスト(デトレフ・G・ヴィンター)(訳者:若松 宣子)

 イホ・トロトたちは、六週間前にフロストルービン宙域で乗艦ごとシグリド人に捕えられたものの、以後放置されたままだった。トロトは味方に連絡するため、戦闘機で脱出を試みるが、すぐに撃墜され連れ戻された。直後、トロトたちは無限アルマダのメンバーでありながら身分証「アルマダ炎」を持たない『偽アルマディスト』と出会うが、相手はすぐに立ち去ってしまった。トロトたちはシグリド人に尋問されたあと、アルマダの指揮を執る「アルマダ中枢」の元へと連行されることになった。(時期:不明。NGZ426年4月頃)

※初出キーワード=トップサイダー戦闘機、ヘルキド人、コルコク人



◇1104話 宇宙での反乱(H・G・エーヴェルス)(訳者:若松 宣子)

 フロストルービン宙域にセト=アポフィスの補助種族の艦隊が出現し、彼らの計略で銀河系船団とシグリド人は一触即発状態に陥った。さらに銀河系船団内で、エリック・ウェイデンバーンと彼に率いられたウェイデンバーン主義者たち十万人が反乱を起こし、船団を乗っ取ってしまった。ウェイデンバーンたちは、フロストルービンこそ自分たちが求める目的地「スタック」だと信じ、宇宙服でフロストルービンに向かおうとするが、シグリド人に捕えられてしまう。さらにシグリド人を始めとするアルマダ種族の艦隊が銀河系船団を包囲しようとしていた。(時期:不明。NGZ426年4月頃)

※初出キーワード=ハルウェサン人、サルコ=11、“名無し”


あとがきにかえて

 ツール・ド・フランス観戦のお話。


感想

 前半。アルマダ炎を持たない「偽アルマディスト」エーナ・ネジャールスのエピソードと、トロトたちの物語が半々という構成のため、このエーナ・ネジャールスが今後の重要キャラになるのかと思いきや、ラストであっさり死んでしまったため愕然。こういう「一回限りのゲストキャラのために妙に凝った話を作る」というヴィンターの作風は、シリーズ参加初期のフォルツを彷彿とさせます……

 後半。狂信集団のリーダーと思しきエリック・ウェイデンバーンが、実は「人類最初の無限アルマダの一員」という謎設定が登場し、話は混沌としてきました。あとは、バジス船長の息子オリヴァーと、クルウン人の少年クリクルとの心温まる仲良しエピソードが良い味を出してしました。しかしコスモクラート技術の超宇宙船のくせに、子供にあっさり乗り逃げされるという≪シゼル≫はセキュリティに重大な欠陥ありと言わざるを得ません。
 
 

550巻~600巻(「無限アルマダ」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

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