【SF小説】感想「シンクロニト育成所」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 562巻)(2018年2月6日発売)

シンクロニト育成所 (宇宙英雄ローダン・シリーズ562)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150121664
シンクロニト育成所 (宇宙英雄ローダン・シリーズ562) (日本語) 文庫 2018/2/6
エルンスト・ヴルチェク (著), トーマス・ツィーグラー (著), 林 啓子 (翻訳)
文庫: 287ページ
出版社: 早川書房 (2018/2/6)
発売日: 2018/2/6

【※以下ネタバレ】
 

アルマダ工兵はドッペルゲンガー"シンクロニト"によりアルマダ部隊の有力者を操ろうとしていた。ローダンが次の標的になるが!


無限アルマダに所属する戦闘種族スレイカーの司令官ヴランバルはある日、部下から驚愕の事実を知らされた。自分の細胞組織がいつのまにかアルマダ工兵の手にわたり、シンクロニトがつくりだされているというのだ。どうやらアルマダ工兵は、諸種族の重要メンバーのシンクロニトを使って無限アルマダを支配しようとたくらんでいるらしい。ヴランバルはそれを阻止するため、シンクロニト育成施設ムルクチャヴォルに向かう!

 

あらすじ

◇1123話 シンクロニト育成所(エルンスト・ヴルチェク)(訳者:林 啓子)

 アルマダ工兵は、各アルマダ種族の重要人物の「シンクロニト」を「シンクロドローム」で作成しており、いつの日にか無限アルマダを支配するつもりだった。しかしローダンの細胞は何故かシンクロニトが上手く作成できずにいた。アルマダ種族の一つ「スレイカー」の司令官は、自分のシンクロニトを破壊するためシンクロドロームの一つに潜入し、その結果ローダンのシンクロニトは死亡するが、アルマダ工兵の攻撃でスレイカー部隊は全滅した。(時期:不明。NGZ426年8月頃)

※初出キーワード=スレイカー、忍び足、一倍体、ヴァレイラー(全て種族名)、アルマダ筏、筏乗り



◇1124話 アルマダ筏(トーマス・ツィーグラー(新))(訳者:林 啓子)

 ロワ・ダントンが惑星ナンドで入手したデータから、シンクロドローム一つの位置と、アルマダ工廠に資源を運ぶ輸送船「アルマダ筏」のコースが判明した。ローダンたちは、シンクロドローム攻撃と、アルマダ工廠発見の二作戦を同時に実施することにした。(時期:不明。NGZ426年8月頃)

※初出キーワード=ヒルクト(種族名)


あとがきにかえて

・2018年の新年にアニメ映画「君の名は」のテレビ放送を見た話(ネタバレ)
・この巻から参加した新作家トーマス・ツィーグラーの紹介


感想

 前半。アルマダ種族の一つ・スレイカーのコマンド隊が、シンクロドロームに潜入して大暴れするものの、結局壊滅してしまうお話。強化外骨格「スレイカー強化装置」は、一回きりの使い捨てにするには惜しいくらい魅力的な設定でした。またスレイカーたちがロボット「アルマダ作業工」の胴体の中身に空間を作ってそこに潜り込んで敵基地に潜入するところなど、往年のテラナーがやっていたような作戦が展開されて、なかなかに面白い話でした。終盤、アルマダ工兵たちが映像で一堂に会して会議をするシーンも結構しびれました。

 ちなみに、今回ロナルド・テケナーもアルマダ工兵に捕まって細胞を取られた、という事が遠回しに語られます。なんとも懐かしい名前ですが、テケナーも銀河系船団に参加していたんですね。後から出てくるのでしょうか?


 後半。新作家トーマス・ツィーグラーのデビュー作。内容はほぼ本編とは関係が無く、「アルマダ筏」という宇宙船の船長的な立場の「クルドゥーン」と、クルドゥーンの退屈しのぎのために拉致されて来たテラナー一人を含む三体の生物との対立話。結局テラナーも含めて三人ともが死んでおしまい、という結末は結構意表を突かれました。

 それにしても、こういう「ローダン世界の話ではあるが、ほぼ本編と関係ない話でデビュー」というのは、ウィリアム・フォルツの時とそっくりです。今後もこういう有っても無くても良いような話でお茶を濁していくのでしょうか……?
 
 
 

550巻~600巻(「無限アルマダ」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

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