【SF小説】感想「永遠の奉仕者」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 564巻)(2018年3月6日発売)

永遠の奉仕者 (宇宙英雄ローダン・シリーズ564)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150121710
永遠の奉仕者 (宇宙英雄ローダン・シリーズ564) (日本語) 文庫 2018/3/6
マリアンネ・シドウ (著), クルト・マール (著), 稲田 久美 (翻訳)
文庫: 254ページ
出版社: 早川書房 (2018/3/6)
発売日: 2018/3/6

【※以下ネタバレ】
 

命令を与える主君を待ちつづけるロボットのファミリーが、宇宙をさまよっている。ヴィシュナの具象ベリーセは彼らに目をつけた!


どこか遠い銀河間の虚無空間に、シャット=アルマロングという名のロボット文明があった。ロボットたちはその用途別にファミリーという単位でグループ分けされ、"永遠の従者"と自称している。自分たちに命令をあたえる"指令コード"を持つ主君を、長年待ちつづけているのだ。あるとき、ロボット文明から追放されて宇宙をさまよっていたクロングとパルスフの両ファミリーが、ヴィシュナの具象ベリーセの目にとまった!

 

あらすじ

◇1127話 永遠の奉仕者(マリアンネ・シドウ)(訳者:稲田 久美)

 宇宙のどこかの銀河間空間に、ロボット文明「シャット=アルマロング」が存在し、ロボットたちは自分たちを作った「主君」が戻ってくる日を待ち続けていた。長い間にロボットは十のグループに分裂して対立し、その挙句に「パルスフ」「クロング」の二グループは故郷を追放されるが、それ以後も両グループは主君探しを続けていた。やがてロボットの前にベリーセが現れて、自分を主君だと認めさせると、ロボットたちに地球侵攻を命令した。(時期:不明。NGZ426年8月頃)

※初出キーワード=シャット=アルマロング、永遠の従者、パルスフ、クロング、指令コード、パルスフォン、クロングヘイム



◇1128話 宇宙の巨大構造物(クルト・マール)(訳者:稲田 久美)

 NGZ426年9月。地球では、ついにプシオニカーたちが時間ダムを常時維持できる体制が構築されていた。直後、太陽系にサイズが数光月という超巨大物体二個が接近し攻撃を開始した。テラナーの兵器は相手に全く通用せず、テラナーは地球と月を時間ダムに退避させるが、ヴィシュナはすぐにその偽装を見破ってしまう。そして地球に猛烈な攻撃を仕掛け、一瞬時間ダムは崩壊するものの、何故かヴィシュナは攻撃を取りやめた。(時期:NGZ426年9月16日~)

※初出キーワード=凝固エネルギー、冷覆バリア、真空稲妻


あとがきにかえて

 稲田久美氏が、ローダン世界がまだ良く理解できていないという話。特に気になる「細胞活性装置」について調べたことを読者向けに説明。


感想

 前半。ロボットたち「シャット=アルマロング」たちのお話で、テラナーは一切出てきません。内容は一言で言えば「ベリーセがロボットたちを騙して地球攻撃の手駒にした」で済むのですが、実際の内容は、ロボットたちの歴史、二グループの対立関係、謀略合戦、など、別にここまで綿密に話を作らなくても、というぐらいの書き込みがされています。さすが凝り性(?)のシドウの作品。


 後半。ロボットたちの太陽系侵攻が開始されるのですが、ロボットの母船というか宇宙要塞というかのサイズが、なんと七光月から八光月(!)だという……、ちなみに太陽系の直径が十光時くらいの筈ですので、砂粒に向かって巨大な岩が突き進んでくるようなイメージで、もう侵攻とかいう前に抵抗不可能の大災害の様な感覚です。

 それだけでも絶望感が凄いのですが、さらに苦労して構築した時間ダムのトリックが、ヴィシュナの鋭い推理力であっさり看破されてしまうという……、3430年に発動したATGフィールドの方がよほどうまく敵を騙せていたような……
 
 
 

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