【SF小説】感想「アラトゥル始動」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 567巻)(2018年4月18日発売)

アラトゥル始動 (宇宙英雄ローダン・シリーズ567)

http://www.amazon.co.jp/dp/415012177X
アラトゥル始動 (宇宙英雄ローダン・シリーズ567) (日本語) 文庫 2018/4/18
H・G・エーヴェルス (著), デトレフ・G・ヴィンター (著), シドラ 房子 (翻訳)
文庫: 269ページ
出版社: 早川書房 (2018/4/18)
発売日: 2018/4/18

【※以下ネタバレ】
 

M-82にちらばる銀河系船団に呼びかけるため、ローダンはマルシェンのハイパー通信システム"大いなる知覚"を用いようとするが


ペリー・ローダンとソールドックの宇宙マスターであるカーゼル・ブーンは、ついに流刑惑星マルシェンで七つの鍵を手に入れた。これを使えばハイパー通信システム“大いなる知覚"の作動が可能になる。宇宙の拍動と呼ばれるインパルスを送信してM-82じゅうにちらばる銀河系船団に呼びかけ、再集結させることができるかもしれない。ところがローダンとブーンを阻止しようと、多数のバーノンとチェルシーが立ちはだかる!

 

あらすじ

◇1133話 アラトゥル始動(H・G・エーヴェルス)(訳者:シドラ 房子)

 ローダンたちは、ついに通信システム・アラトゥルの起動に成功し、セト=アポフィス宛の通信文と同時に、銀河系船団に向けたモールス信号のSOSを発信した。そのあとローダンはソールドックの陰謀で、アルマダ工兵ショヴクロドンとの決闘を強制されるが、ショヴクロドンはソールドックに謀殺された。ローダンも殺されかけるが、そこに銀河系船団の宇宙船が出現した為、人質として生かされることになった。ローダンは自分の細胞サンプルの処分に成功した。(時期:不明。NGZ426年10月頃)

※初出キーワード=なし



◇1134話 恒星のなかで(デトレフ・G・ヴィンター)(訳者:シドラ 房子)

 MGZ426年5月。イホ・トロトたちの乗る重巡は無限アルマダに拿捕されていたが、フロストルービン突入後の混乱の中、恒星の中にある特殊空間に出現してしまう。トロトたちは、数千年前「シルクリン」という種族がセト=アポフィスからの精神攻撃を逃れるため、中空の人工惑星を母星の恒星内に作った特殊空間に避難させたことを知る。トロトたちは半年かけて恒星外へと脱出するが、そこで何者かが発したモールスのSOSを受信した。(時期:NGZ426年5月15日~11月25日)

※初出キーワード=シルクリン種族、恒星シルク、惑星シルクロン、人工惑星シルカ


あとがきにかえて

 友人の営んでいる有機農場を訪問した話。


感想

 前半エピソード。なんとも見どころの多い話で、話の前半は廃墟の中に埋もれていた通信システムを初起動して通信をするという展開。こういう廃墟に忘れられていた機械を動かす云々というシチュエーションは大好物です。しかしローダンの「通信士ならモールス信号のSOSは知っている」という言葉はちょっと。今から二千年後の人々がモールス信号なんか知っているとは思えない……

 うってかわって、中盤以降は、なんとローダンと敵のショヴクロドンが人型巨大ロボットに搭乗して荒野で戦うという、日本のアニメの様な展開となり、なんとも驚かされました。とてもローダン・シリーズのエピソードとは思えない……、


 後半エピソード。久々のイホ・トロトたちが登場するお話。平和に暮らしているシルクリン種族の一般人が、「賢者」から隠されていた種族の驚くべき過去を知らされる、という、これまた好みのストーリー展開でした。しかし最後にトロトたちが下手なことをしようとして、シルクリン種族に迷惑をかけて追い出される、という結末がなんとも後味が悪い……、こんなオチにする必要は無かったのではないでしょうか……
 
 

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