【SF小説】感想「宇宙ゾンビ目覚める」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 570巻)(2018年6月5日発売)

宇宙ゾンビ目覚める (宇宙英雄ローダン・シリーズ570)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150121842
宇宙ゾンビ目覚める (宇宙英雄ローダン・シリーズ570) (日本語) 文庫 2018/6/5
エルンスト・ヴルチェク (著), マリアンネ・シドウ (著), 嶋田 洋一 (翻訳)
文庫: 261ページ
出版社: 早川書房 (2018/6/5)
発売日: 2018/6/5

【※以下ネタバレ】
 

マークスの原理主義者グレク336に対処するため、影マークスへの進化への鍵を探ろうと、調査隊が使節惑星マーコラに向かった!


マークスの原理主義者であるグレク336は、テラナーが精神世界にのめりこむことを阻止するのが自分の使命と思いこんでいる。マークス種族を分裂させる原因となった“非物質化・精神化"のすべてを憎んでいるためだ。そこでテラ政府はグレク336と対処するには影マークスへの進化のきっかけを探る必要があると考え、マークスが556年前に住んでいた使節惑星マーコラにガルブレイス・デイトンひきいる調査隊を送った!

 

あらすじ

◇1139話 宇宙ゾンビ目覚める(エルンスト・ヴルチェク)(訳者:嶋田 洋一)

 ブルはグレク336を少しでも理解するため、マークスが五百年前まで駐留していた惑星マーコラに調査隊を派遣した。しかし太陽系内の宇宙空間には、ヴィシュナが散布していた分子サイズの兵器「強奪コロイド」が浮遊しており、調査隊の宇宙船に付着してマーコラまで運ばれてしまう。調査隊はマーコラで廃墟やマークスの保存された死体を発見するが、マークスの死体に強奪コロイドが憑りつき、テラナーを襲撃してきた。しかしすぐに死体は消耗して動かなくなり、調査隊は成果も無く帰還した。(時期:NGZ426年11月16日~)

※初出キーワード=強奪コロイド



◇1140話 侵入者(マリアンネ・シドウ)(訳者:嶋田 洋一)

 グレク336は、逃走中にオーストラリア沿岸で古い機雷の爆発に巻き込まれ、脳しんとう状態となってしまう。そのため、海岸近くの一軒家に押し入り、住人を脅迫して潜伏し体力の回復を図る。しかしすぐに怪しまれ、また逃走を余儀なくされた。(時期:NGZ426年11月16日~12月1日)

※初出キーワード=なし


あとがきにかえて

 スポーツ吹矢をたしなんでいる、という話。


感想

 前半エピソード … タイトルがハヤカワ版ローダン史上屈指のセンスの無さで、知らない人には内容を誤解されそうです。まさかローダン・シリーズに「ゾンビ」などというタイトルが登場しようとは。しかも劇中ではゾンビのゾの字も登場しないのに。原題は「Unheimliches Erwachen」で、翻訳すると「奇妙な目覚め」ですから、もう少しセンスの良い題名にしていただきたかったです。

 話の内容も、「マークスの死体が秘密兵器のせいで突然生き返るものの、すぐに燃料切れでバタバタ倒れて終わり」という、ほぼ何も無いもので拍子抜けでしたね。

 なお、3500年代のPDA病騒ぎ(300巻代前半)とか、宇宙駅にマークスの死体が安置されていたエピソード(300巻代後半)とかが、過去の歴史として記載されていましたが、この辺りはどちらも完璧に忘れていました。


 後半エピソード … グレク336がオーストラリアの民間人の家に押し入って家族を脅す、という、ローダン・シリーズというよりサスペンス小説の様なノリの話。現代を舞台にしたサスペンスの脱獄囚が押し入ってくる話をそのままローダンに置き換えたような展開で、こんな話がシリーズに必要なのかと何度も疑問符が浮かびました。まあ話そのものは意外に面白く読めましたが、やはり本筋とは無関係の、無くても問題無いような内容でガッカリ。
 
 
 

550巻~600巻(「無限アルマダ」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

perry-r.hatenablog.com
 

2020年の読書の感想の一覧は以下のページでどうぞ

perry-r.hatenablog.com