【SF小説】感想「四恒星帝国SOS」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 571巻)(2018年6月19日発売)

四恒星帝国SOS (宇宙英雄ローダン・シリーズ571)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150121850
四恒星帝国SOS (宇宙英雄ローダン・シリーズ571) (日本語) 文庫 2018/6/19
ウィリアム・フォルツ (著), H・G・エーヴェルス (著), 渡辺 広佐 (翻訳)
文庫: 288ページ
出版社: 早川書房 (2018/6/19)
発売日: 2018/6/19

【※以下ネタバレ】
 

ローダンが発信したSOS信号を受けて、ロワ・ダントンの指揮する《バジス》ほか、銀河系船団の大多数が四恒星帝国に到達した!


マークスの原理主義者グレク336は、オーストラリアの海岸町メルヴィルから逃走したのち、ふたたびチベットの町シシャ・ロルヴィクにやってきていた。プシ・トラストのメンバーたちがいる司令本部“思考タンク"を攻撃し、時間ダムを破壊するつもりらしい。テラ政府および宇宙ハンザの上層部は、宇宙駅ルックアウト・ステーションから新世代マークス12名を連れてきて、グレク336を説得してもらおうと作戦を練るが!?

 

あらすじ

◇1141話 時間ダムの崩壊(ウィリアム・フォルツ)(訳者:渡辺 広佐)

 テラナーはグレク336を説得するため、宇宙駅ルックアウト・ステーションからマークス12名を地球に連れてきた。しかし、その間にグレク336は再度思考タンクに攻撃を仕掛け、時間ダムを消滅させてしまった。テラナーはグレク336をマークスに引き渡し、グレク336はこの時代のマークスに、影マークスへ進化しない道を選択するように訴える。しかし、マークスたちは既に肉体を自由に精神化出来る段階まで変異していた。(時期:~NGZ426年12月13日)

※初出キーワード=なし



◇1142話 四恒星帝国SOS(H・G・エーヴェルス)(訳者:渡辺 広佐)

 M-82銀河。分散していた銀河系船団の艦艇は、ローダンが発信したSOSを辿り、続々と四恒星帝国に到着した。さらに、≪ソルセル=2≫を旗艦とするクランドホル公国艦隊も、銀河系船団に合流した。ローダンたちは平和裏に四恒星帝国を離れ、バジス=1星系に移動した。ローダンは、ロワ・ダントンを連絡役として地球へ派遣しようとするが、何故かタウレクが同行すると申し出る。(時期:NGZ426年11月27日とその前後)

※初出キーワード=なし


あとがきにかえて

 柴又に出かけて俳句を詠んだりした話。


感想

 前半エピソード … 「グレク336編」というべきエピソード群の完結編。この話はマークスの通訳を努めるゲストキャラの一人称形式で書かれているため、重大事項である「時間ダムの崩壊」が、伝聞による間接的な描写しかされず、かなりもどかしいというかの印象を受けます。

 しかし、それを差し引いてもクライマックスは面白かった。グレク336がマークスの宇宙駅に連れていかれて、色々なマークスの思わせぶりな言動の後、グレク336の目前でマークスたちが既に精神化していることを披露して見せ、それを見てグレク336と主人公が愕然とし、そこで終わり、という……、その後何が起こったのかは読者の想像に任せるという後味の悪い結末で、ホラー小説の様なノリでした。


 後半エピソード … 舞台はM-82銀河に戻り、分散していた銀河系船団も再集結して、いよいよ物語が再スタート!という感じの、読みがいの有るお話でした。長い間作者たちから放置されていたクランドホル公国艦隊が再登場したり、≪ソル≫が再合体したり、と、色々イベントの多い回でもありました。

 タイトルの「●●SOS」という表現は、最近は全く見なくなった、なんというか1960~70年代頃のノリですよね。まあ、こういうレトロチックなタイトルが、これはこれで味が有って、私としては好きですけどね。
 
 
 

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