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バベル・シンドローム (宇宙英雄ローダン・シリーズ576) (日本語) 文庫 2018/9/5
H・G・エーヴェルス (著), エルンスト・ヴルチェク (著), 星谷 馨 (翻訳)
文庫: 272ページ
出版社: 早川書房 (2018/9/5)
発売日: 2018/9/5
【※以下ネタバレ】
時間ダムの崩壊によりヴィシュナの脅威にさらされたテラ。言葉が意味を失う"バベル・シンドローム"が、人々を危機に陥れるが!?
未来から来たマークス原理主義者グレク336により、ヴィシュナの脅威から地球を守る時間ダムが崩壊してしまった。再構築はうまくいかない。その直後、地球と月の各所で人々の言葉が通じず、会話が成り立たなくなりはじめる。“バベル・シンドローム"と呼ばれたこの現象は、コンピュータをも混乱させ、大事故が多発する。そこに“四次元性の影"と名乗る異生命体チュトンが地球にあらわれて、地球滅亡の危機を訴えた!
あらすじ
◇1151話 バベル・シンドローム(H・G・エーヴェルス)(訳者:星谷 馨)
NGZ426年12月。地球ではグレク336に破壊された時間ダムの再構築が不可能なことが判明していた。同じ頃、地球の住民は突然見聞きする言葉が理解できなくなり、同じ現象がコンピューター同士の通信でも発生したため、地球上は大混乱に陥る。やがてブルたちの前に、実体を持たない影のような存在「チュトン」が現れ、現在地球はヴィシュナの攻撃「七つの災い」の一つ「バベル・シンドローム」に襲われており、今後も災いは続く事を伝えてから消える。この混乱の中で地球と月は「グレイの回廊」という空間に墜落し、やがてバベル・シンドロームは終息した。(時期:NGZ426年12月22日~26日)
※初出キーワード=バベル・シンドローム、四次元性の影チュトン、七つの災い、グレイの回廊
◇1152話 ゴースト・テラ(エルンスト・ヴルチェク)(訳者:星谷 馨)
NGZ427年1月。ロワ・ダントンたちはM-82銀河から故郷太陽系に戻ってくるが、地球と月に住民が誰もいないことを知る。やがてダントンたちは、現在存在している地球と月は精神エネルギーで作られたコピーであり、本物の地球と月はヴィシュナによって「グレイの回廊」という空間に運ばれたことを突き止める。直後、コピーの地球と月は崩壊して消滅してしまった。タウレクはダントンたちに、自分なら消えた地球を発見できるはずという。(時期:NGZ427年1月2日~)
※初出キーワード=なし
あとがきにかえて
・前半エビソード「バベル・シンドローム」の原文中の洒落の翻訳に悩んだ話
・ハヤカワからローダンTシャツが発売されている、という話
感想
前半エピソード … 地球住民たちに見たり聞いたりする言葉の意味が理解できなくなる現象が発生する、という、旧約聖書の「バベルの塔」にヒントを得た話ですが、この災厄がどういう原理で発生したのか皆目不明です。もうSFというより魔法の範疇のように見えますが、「進化した科学は魔法と区別できない」云々という言葉がありますから、強引に納得するべきなのかもしれません。
ところで、文中に登場する、テラニア市街の通りや広場の名前が面白い。
・ティーパ・リオルダン通り(P54)
・アンソン・アーガイリス広場(P55)
・カラク通り(P55)
・アクトロン・ムスポエルン通り(P63)
・ジョアキン・カスカル通り(P63)
・アーチスト・クイーン通り(P64)
・インターソラー通り(P64)
・ロード・ツヴィーブス広場(P81)
懐かしい名前ばかりです。しかしジョーク・カスカルは通りの名前に付けられるほどの偉人だったかな?
後半エピソード … ロワ・ダントンやタウレクたちがコピーの地球の上をさまよう話。読者としては既に真相を知っているので、もどかしいことしきりでした。最後にタウレクが消えた地球に追いついて見せる、と予告するシーンはカッコ良かったですね。