【SF小説】感想「グレイ回廊からの脱出」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 577巻)(2018年9月19日発売)

グレイ回廊からの脱出 (宇宙英雄ローダン・シリーズ577)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150121974
グレイ回廊からの脱出 (宇宙英雄ローダン・シリーズ577) (日本語) 文庫 2018/9/19
H・G・エーヴェルス (著), クラーク・ダールトン (著), 嶋田 洋一 (翻訳)
文庫: 272ページ
出版社: 早川書房 (2018/9/19)
発売日: 2018/9/19

【※以下ネタバレ】
 

グレイの回廊にとらえられた地球と月。その数日後、四次元性の影チュトンがバベル・シンドロームにつづく第二の災いを予告した!


NGZ426年末、地球と月はヴィシュナの陰謀により太陽系のポジションから引きはなされ、グレイの回廊にとらえられてしまった。レジナルド・ブルやジュリアン・ティフラーら宇宙ハンザとLFTの首脳部は脱出する可能性を探るものの、ままならぬ状況だ。その数日後、四次元性の影と名乗る謎の存在チュトンがバベル・シンドロームにつづく第二の災いを予告した。回廊に穿孔が生じ、そこから“寄生占領地"がくるという!

 

あらすじ

◇1153話 ヴィシュナ第二の災い(H・G・エーヴェルス)(訳者:嶋田 洋一)

 NGZ427年1月。ブルたちは「グレイの回廊」からの脱出手段を探すが、成果は全く上がらなかった。直後、チュトンが再度出現し、ヴィシュナの次の災い「寄生占領地」の到来を予告した。やがて地球と月の各地にキノコ状の半球が現れて、たちまち巨大化し、その周囲にいた動植物は寄生体に感染してしまう。感染者は自らを「ドルドン」という種族だと思い込み、非感染者を敵とみなして攻撃してきた。やがて人類の大半が感染者となり果てるが、偶然から寄生体は風疹ウイルスに弱いと判明し、チュトンの助けを借りて半球の中に風疹を送り込むことで、寄生占領地を連鎖的に消滅させることに成功した。直後、感染者たちも全員体内の寄生体が死滅し回復した。(時期:NGZ427年1月3日~17日)

※初出キーワード=寄生占領地



◇1154話 グレイ回廊からの脱出(クラーク・ダールトン)(訳者:嶋田 洋一)

 エルンスト・エラートは、宿っていた肉体が寄生占領地のために死亡したことで精神存在に戻った。エラートは“それ”に助けを求めるため地球を離れ、苦労して「グレイの回廊」を突破して、惑星エデンIIへとたどり着く。しかし“それ”は、セト=アポフィスとの戦いに全ての力を使用しており、地球を助けるための余力は無かった。“それ”は、ハルノを経由して、エラートの記憶の奥底にヴィシュナの最後の災いに対する情報を送り込んだ後、エデンIIから送り出す。エラートは結局何も成果も無いまま地球へと帰還した。(時期:NGZ427年1月20日~2月2日)

※初出キーワード=なし


あとがきにかえて

 2018年7月に、群馬県みなかみ町め「みなかみホテルジュラク」で開催されたSF大会「ジュラコン」の話

感想

 前半エピソード … ヴィシュナ第二の災い「寄生占領地」が襲来するエピソード。抵抗不可能と思われていた相手が、ありふれた(?)病気で死滅してしまう、という展開は「宇宙戦争」そのまんまでした。最後の、チュトンの力を借りて半球内に風疹ウイルスを送り込むあたりの、時間繭とかミニATGとかの説明は、三回くらい読み直したのですが、どうにも意味が良く解らなかったです……

 個性の強いオリジナルキャラを作りがちなエーヴェルスですが(例:オマール・ホーク)、前巻「バベル・シンドローム」に続いて、深淵の騎士になりたがっているシガ星人「デジタリス・アウラ」を活躍させており、アウラのキャラクターはなかなか面白かったですね。



 後半エピソード … 毎度おなじみの、精神体になったエルンスト・エラートによる時空放浪話。今回はエデンIIに苦労して帰って来たのに、“それ”にそっけなくあしらわれてしまい、ちょっとショックでした。あと、「宇宙の城サイクル」終盤の983話「未知なるインパルス」で“それ”と融合すると言って去っていったハルノが再登場して驚きましたが、ハルノも全然喋ってくれなくてガックリ。
 
 

550巻~600巻(「無限アルマダ」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

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