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アルマダ王子現わる (宇宙英雄ローダン・シリーズ578) (日本語) 文庫 2018/10/4
アルント・エルマー (著), H・G・フランシス (著), 若松 宣子 (翻訳)
文庫: 271ページ
出版社: 早川書房 (2018/10/4)
発売日: 2018/10/4
【※以下ネタバレ】
囚われのウェイデンバーン主義者十万人は銀色人のもとで重労働させられている。その宙域に「アルマダ反乱軍」部隊がやってきた!
猛威をふるった寄生占領地のショックも冷めやらぬテラを、ふたたび銀色の光現象が襲った。謎の異人チュトンによれば、これはグレイの回廊にあらたな穿孔が生じる前兆だという。すなわち、ヴィシュナの第三の災いが予告されたのだ。助けをもとめて“それ”のもとへ行ったエルンスト・エラートはまだもどらず、レジナルド・ブルとジュリアン・ティフラーは不安をつのらせるが、テラでは一見平穏な日々がつづいていた…!?
あらすじ
◇1155話 死の支配者(アルント・エルマー(新))(訳者:若松 宣子)
地球でまたヴィシュナの災いの前兆の発光が観測されるが、その後数日経過しても何も異常は発生しなかった。同じ頃地球各地で、「死の支配者」を名乗り、死者を復活させるチベット僧「ルソテ」が話題になっていた。ブルたちはルソテがトーラとクレストを蘇らせたため、ルソテを“それ”が送り込んだ味方だと信じ込む。しかし実はルソテこそ第三の災いで、人類をヒュプノで支配し、殺し合いや集団自決を行わせ始める。唯一ヒュプノに抵抗できたガルブレイス・デイトンは、月の研究所からヒュプノ・クリスタルを持ち帰りルソテにつきつけると、ルソテと死者たちは消滅した。ルソテの正体だった精神生命体「キッシュ」は、グレイの回廊の外に逃亡した。(時期:NGZ427年2月13日~26日)
※初出キーワード=心理量子
◇1156話 アルマダ王子現わる(H・G・フランシス)(訳者:若松 宣子)
M-82銀河。無限アルマダ内には、遥か昔からアルマダ中枢に敵対する組織「アルマダ反乱軍」が存在し、組織の指導者「ローランドレのナコール」、またの名「アルマダ王子」は不死と噂されていた。アルマダ反乱軍は、アルマダ工廠「モゴドン」を攻撃するため、その内部に潜入した。一方、惑星バジス=1では、エリック・ウェイデンバーンが突然モゴドンの位置を思い出し、ローダンは調査のため銀河系船団で出発した。(時期:不明:NGZ427年頃)
※初出キーワード=ケチョ、グリッド・プラス、グリッド・ネガティヴ、ぺラック(種族名)、ローランドレ、数兆共生体、携帯転送機/転送トランク
あとがきにかえて
初登場のアルント・エルマーの紹介。
感想
前半エピソード … 初登場の作家「アルント・エルマー」のデビュー作。しかし、内容はSFというよりオカルト物のノリでちょっとびっくり。何しろ「怪しげな僧が現れ、死者を次々と蘇らせ、民衆から救世主と崇められるものの、実は蘇ったのはニセ者で、最後は護符的なアイテムを突きつけられて退散する」という、このあらすじだけ読んだらとてもペリー・ローダンの一エピソードとは思えません……
デビュー作で勢いが余ったのか、話の展開があちこちでおかしく、例えばヴィシュナは全人類の奴隷化を目指しているのにルソテは人類を自滅させてしまおうとするし、またデイトンがルソテを倒すために月からヒュプノ・クリスタルを持ち帰りますが、何故ルソテがクリスタルに弱いと解ったのか説明が全くありません。このクリスタルを武器にするくだりは、読んでいて訳が分からず唖然とさせられました。
しかし、トーラにクレスト、モデュラIIのヒュプノ・クリスタル、など、懐かしいキーワードが次々と出てくる話ではありました。
後半エピソード … 舞台はM-82銀河に戻り、ついに噂の「王子」である「ローランドレのナコール」が登場。基本的にアルマダ反乱軍と、捕らわれのウェイデンバーン主義者たちの視点で話が展開し、ローダンたちはほぼ脇役でした。アルマダ反乱軍の登場に加えて、M-82銀河の現地種族(セト=アポフィスの補助種族)が活動を再開するなど、プレイヤーたちが増えて、テラナー&アルマダ工兵も加えた四つ巴状態になり、先行きが楽しみです。
さて、劇中でナコールが便利に使う携帯転送機「転送トランク」は、テレポート的に転送機が目標の地点まで勝手に移動した後、その中からナコールが悠々と登場するという、反則級に使えるアイテムで、しかも折りたためばトランクサイズになって持ち歩ける程度の重さ。これは是非とも一台欲しい。