感想:小説「不確定世界の探偵物語」(鏡明)

不確定世界の探偵物語 (創元SF文庫 か 2-1) (文庫)
鏡 明 (著)
出版社: 東京創元社 (2007/07)
ISBN-10: 4488727018
ISBN-13: 978-4488727017

http://www.amazon.co.jp/%E4%B8%8D%E7%A2%BA%E5%AE%9A%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E6%8E%A2%E5%81%B5%E7%89%A9%E8%AA%9E-%E5%89%B5%E5%85%83SF%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%81%8B-2-1-%E9%8F%A1/dp/4488727018/ref=pd_bbs_sr_1/249-6580025-1295569?ie=UTF8&s=books&qid=1188095282&sr=8-1

■粗筋

 20年前から世界はすっかり変ってしまった。ある大富豪の所有する世界唯一のタイムマシン「ワンダーマシン」が過去を自由に改変し始めたからだ。知人が見知らぬ人間に変わり、街並みが変わり、起こった筈の事件が無かった事になる。にもかかわらず人間は改変前後の記憶を失わないため、世の中の変貌に耐えつづけなければならない。

 そんな時代を舞台に「おれ」こと私立探偵ノーマンの活躍を描く連作短編集です。

■感想

 このタイトルを見ると、どうしてもゲーム「不確定世界の探偵紳士」を先に連想しちゃいますよね。当時は「ヘンテコなタイトルのゲームだこと」としか思いませんでしたが、元ネタが有ったんだ。

 内容はSFの匂いは少なく、ほぼハードボイルド探偵物です。まあ、知人がある日突然別人になることが当たり前の世界、という点で十分SFなのですけどね。そんな世界を舞台に、ノーマンが殴り合い・撃ち合い絡みの調査を行い、最後は事件が何らかの形でワンダーマシンに結びついていた、という事を知るのが基本的な展開です。

 最終話では(解説によれば)”全ての伏線が回収され”、”ひねりの効いた結末を迎える”ことになるのですが・・・、私にはとてもそうは思えなかったなぁ(私の読み込み不足かもしれませんけど)。

 とは言え、探偵物として謎解きを楽しむのも良し、時間改変SFとして読むのも良し、またハードボイルドですから大人のお色気も結構ふんだん、ということで、とにかく私としては結構楽しめ、最後まで一気に読み通してしまいました。

 何回も読み返すほどのパワーは感じませんでしたが、一読する分には損は無い作品だと思います。

■評価

7点(10点満点で)