小説「風前の灯! 冥王星ドーム都市」(キャプテン・フューチャー全集別巻)の感想(ネタばれ無し)です。
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風前の灯!冥王星ドーム都市 (創元SF文庫 ハ 6-22 キャプテン・フューチャー全集 別巻) (文庫)
野田 昌宏 (著)
文庫: 325ページ
出版社: 東京創元社 (2008/06)
ISBN-10: 4488637221
ISBN-13: 978-4488637224
発売日: 2008/06
商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.4 cm
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■データ(個人的補足)
「キャプテン・フューチャー」シリーズの翻訳者でありSF作家でもあった野田昌宏氏が、1983年に発表した完全オリジナル作品。「SFマガジン」誌の増刊号「キャプテン・フューチャー・ハンドブック」に掲載された。
■粗筋
冥王星の無線送信施設が何者かによって次々と爆破された。爆破現場で必ず発見されるミイラの破片の様な物体。噂通り、古代冥王星人が墓場から蘇り、他惑星人を追い払おうとしているのか? 太陽系政府主席の依頼を受け、フューチャーメンは冥王星に向かうが?!
■感想
まずは「ムチャクチャ懐かしい」です。「キャプテン・フューチャー・ハンドブック」は当然購入して、この作品も読みましたが、25年の間にどこかに行ってしまい既に読み返すことも出来なくなっていましたし、何よりこのハンドブックは物凄く豪華で、このオリジナル作品すら「うりの1つ」程度の存在だったので、あまり印象に残っていなかったのです。
今ここに単独の小説として読み返してみると、「ハミルトン風味」をかなり忠実に再現していると感じます。最初期の「恐怖の宇宙帝王」の頃の様な「荒唐無稽、しかし痛快無比」な勢いには欠けますが、最終盤の頃の「箸にも棒にもかからない」ような作品と比べると、遥かに上です。
シリーズでお馴染みの「カーティスが危機に陥り、さてその頃オットーは・・・」という読者をじらす手法を上手く真似していますし、フューチャーメン同士のやり取りも本家そのままで、キャプテン・フューチャー・シリーズの味わいを本当に上手くかもし出しています。また勢いだけで突っ走り「あれ、こんなに長いはずなのに、もう終ってしまったの?」と感じさせるところまでそのまんまでした。
という事で、キャプテン・フューチャー全集の締めくくりとして本当に豪華で嬉しいプレゼントでした。この小説を出してくれた東京創元社には大感謝ですね。
■評価
(5段階評価の)5点。