感想:ドラマ「刑事コロンボ」殺人講義

■NHK
http://www9.nhk.or.jp/kaigai/columbo/

 NHK−BSハイビジョンでの視聴です。

殺人講義  COLUMBO GOES TO COLLEGE


■あらすじ

 大学生二人が、担当教授にテスト問題を盗んだ事がばれたため、巧みなトリックを使って殺害する。しかも捜査を担当するコロンボに協力者のふりをして近づき、別の人間に罪をなすりつけようと画策するが・・・


■感想


 「新コロンボ」シリーズは、変化球的作品が多いとかエロを押し出すとか、正直好きじゃないのですが、この作品もやはり変則的で余り好きではないです。以前一度民放で見た時嫌なイメージがこびりついていましたが、改めて見直しても印象は変らずでした。

 なんといっても、コロンボ物最大の面白さである、細かい手がかりから矛盾を見つけ出し、犯人の回りにまとわりついて追い詰めていく過程の描写が無いのが一番イヤ。正当派作品では、コロンボは最初は風采の上がらないダメ警官にしか見えず、犯人は最初侮っていますが、コロンボは次々と鋭い指摘を繰り返し、犯人はやがて「こいつは侮れない」という気持ちに変っていきます。

 でもこの作品では、基本的に(傲慢な)犯人たちの側の視点なので、コロンボは最後までアホのままで、最後に捕まってしまってもコロンボが名警官だとは認識していません。視聴者側からすると、中盤からは犯人たちは、コロンボを騙しているつもりで、実は手のひらの上で転がされているだけなのですが、劇中でコロンボの鋭さの明確な描写というかそういうのが無いので不満なのですな。

 だから最後に犯人が「参りました」と潔く罪を認めるでもなく、証拠をつきつけられて反論が出来なくなり黙りこんでしまうでもなく、『弁護士』云々と喚き散らしながら連行されるシーンを見ながら、『違うだろ、負けているだろ、参ったといえ!』と妙にもどかしい気持ちにされてしまうんですよね。それと犯人たちの身勝手ぶり・アホぶり・小利口ぶっている傲慢ぶり、にいちいちイライラしたりしたわけですけどね。

 まあ、普段の作品では謎になっている「コロンボはどの段階から犯人を疑い始めたのか」が明確に描写されていたり、「どんなトリックで殺したのか」で最後まで引っ張ったりと、ちょっと面白いところも有るのですが、所詮は変則話という印象の方が強いですね。

 それはそれとして、「ロバート・カルプが出ていた」のと「犯人役の声が大塚明夫山寺宏一」にはビックリでした。

■蛇足

 4月からは放送時間帯が18:55開始に変更になるとの事。