感想:映画「空軍大戦略」(1969年)


 昨日、NHK−BSハイビジョンで放送した映画。


■あらすじ

 原題「BATTLE OF BRITAIN」。

 第二次世界大戦中の1940年。ドイツはフランスを征服し、次の目標イギリスへの攻撃を開始した。圧倒的なドイツ空軍の前に、わずか1/4の戦闘機しか持たないイギリス空軍は必死に防戦するが・・・


■感想

 戦争映画という、もう絶滅したジャンルの映画の超有名作の一つ。「当時のイギリス映画界のスター総動員映画」らしいのですが、にも関わらず個々のキャラクターに全く焦点を当てていない、という凄い映画です。イギリス軍の上層部にしろ、パイロットたちにしろ、或いはドイツ側にしろ、どのキャラクターもドラマが殆ど無いので、最後まで誰一人名前を憶えていなくても、映画を見る上で全く問題がありません。良くも悪くもストーリーという物は無く、あたかも戦史物を読んでいるような感じでした。ですので「映画」としては退屈じゃないでしょうか(2時間超の大作ですし)。

 しかし、「物語を楽しむ」という要素はともかく、「第二次世界大戦」というテーマに興味が有る場合、こりゃ見応えが有る気がします。「えっ、このスピットファイアってなんか本物くさいよ?」「このハインケルも本物?」「うーん、Bf109はなんか違うぽい」という兵器描写とか、空軍がドーバー海峡を模した図の上で敵味方のコマを棒で動かして状況を把握する描写とか、パイロットのローテーションがどうこうという話とか、戦史が好きな人ならたまらんものがあるでしょう。

 私の場合は、映画を見ながら、ゲーム「RAF」(ウエストエンド)だの「バトル・オブ・ブリテン」(エポック)だのを回想しておりました。

 それにしても「バトル・オブ・ブリテン」という原題を「空軍大戦略」に置き換えた人は凄い才能ですよねぇ。原題を全く無視しているし、日本語タイトルも殆ど意味がないのですが、にもかかわらず異様に力強くて、しかも聞いたら二度と忘れそうに無いんですもん。最近の映画の「安易に原題をカナに変換するだけのダメタイトル」を付ける連中に、その人のセンスを与えてあげたい。