小説「コンピューター検察局」(エドワード・D・ホック)の感想です。
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■データ(公式)
http://www.amazon.co.jp/dp/4150735018/
コンピューター検察局 (ハヤカワ・ミステリ文庫 67-1) [文庫]
エドワード D.ホック (著), 風見 潤 (翻訳)
文庫: 287ページ
出版社: 早川書房 (1980/03)
ISBN-10: 4150735018
ISBN-13: 978-4150735012
発売日: 1980/03
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■データ(個人的補足)
・SF+推理小説。
・原題は「THE TRANSVECTION MACHINE」。1971年作品。
・「サム・ホーソーン」「怪盗ニック」「サイモン・アーク」等の名探偵で知られるホックの数少ない長篇作品の一つ。21世紀を舞台にしたSFミステリシリーズ「コンピューター検察局」物の長編1作目。コンピューター犯罪を専門に扱う「コンピューター検察局(CIB)」の局長カール・クレイダーと副局長アール・ジャジーンが主人公。
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■あらすじ
アメリカ・カナダ合衆国の閣僚の一人が、コンピューター制御の自動手術マシンによる盲腸の手術の最中に死亡した。原因は機械の暴走か? はたまた何者かによる殺人か? 大統領は直属の組織「コンピューター検察局(CIB)」の局長カール・クレイダーに捜査を命じるが・・・
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■感想
20世紀後半を代表する本格推理小説作家のホックによる「SF」小説。はっきり言ってSFとしての設定は物凄く安く、「自動車→電気自動車」「外国→金星植民地」等、現代社会の言葉を未来っぽいに単語にただ置き換えただけですし、そもそも「コンピューター検察局」のわりに別にコンピューターがお話に重要な役割を果たしているわけでも有りません。
殺害トリックも、20世紀人の知識で解明できるもので、そこは推理小説としてフェアなのかもしれませんが、そのため余計に「何故SF?」と思ってしまうわけで・・・
容疑者は、浮気している妻、その愛人、手術担当の看護婦、反機械を掲げるテロ組織、など山の様に出てきて幻惑されますが、真相は恐ろしく安っぽいので「えっ、この程度の結末?」と拍子抜けしました。
まあ、一種の「不可能犯罪物」ではありますが、長編一作を使い、しかもSF設定をまぶすほどのものでもないな、というのが正直な気持ちです。ホック作品全制覇の様な気持ちが無い場合は読まなくてもいいのでは、というところですね。
★おまけ
原題「THE TRANSVECTION MACHINE」(トランスヴェクション・マシン)とは、作中で開発されたばかりの物質転送装置のことです。いかにもSFめいたアイテムですが、真相への関わり方が面白いと言えば面白いかも。
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■評価
(5段階評価の)2点。
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- 作者: エドワード D.ホック,風見潤
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1980/03
- メディア: 文庫
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