感想:アニメ「もしドラ もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら」第10話(最終回)「みなみは高校野球に感動した」


 アニメ「もしドラ もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら」(全10話)の感想です。

NHKアニメワールド もしドラ
http://www9.nhk.or.jp/anime/moshidora/

■原作の公式サイト
http://moshidora.jp/

 NHK総合での視聴です。

第10話(最終回) みなみは高校野球に感動した


■あらすじ

 地区大会決勝戦。程高は次郎の3ランで3−4と一点差に追いあげた。しかし9回裏、2アウトと追い込まれ、次の打者は今日はノーヒットの祐之助だった。しかし祐之助はかつてのみなみと同じく、わざと空振りして相手を油断させることで次にヒットを放ち、程高はサヨナラ勝ちで優勝した。

 夏。甲子園でインタビューを受けた二階は、どんな野球をしたいかと問われ、逆に「顧客がどの様な野球をして欲しいか知りたい」と答える。完結。


■感想

 はい、感動の最終回でした。メチャクチャありふれた展開の上に、さらに原作まで読んでいたというのに、なおあの結末にウルウルしてしまいましたよ。さすがアニメの力、有名声優の演技と盛り上げる音楽の効果に思いっきりやられてしまいました。

 さて、全10話の総括ですが、いやー、これは良かった。視聴前は「あの」本のアニメ化ということで一体どんな代物に仕上がるかと不安で仕方なかったのですが、原作を再構成といううか仕立て直しというか、とにかくそのままアニメ化するのではなく、「物語面を前面に押し出し、ビジネス要素はあくまで添え物にする」という方針が大成功でした。

 出来上がったものは、基本的には普通の野球アニメで、その合い間合い間にちょこちょこドラッカー用語(「顧客」「人は資産」「イノベーション」etc)をはさみ込む形となりましたが、それでも用語の意味はスルスル頭に入ってきました。原作とは形は変えても「物語形式でドラッカーを布教する」という精神は引き継いでいてそれに成功していました。

 さらに、原作では、みなみの性格がかなり変(「マネジメント」を読んでその内容に感動して泣いた、とかキャラクターがおかしすぎる)とか、ビジネス本のはずなのに人の生き死にでクライマックスを盛り上げようとするとか、どうも読んでいて抵抗のある部分が多かったのですが、アニメはその辺りを上手く作り直していました。

 みなみはちょっとお茶目気味の普通の女子高生に変り、お話は「野球部物語。マネージャーが病気の親友のために頑張る」がメイン、だからクライマックスで親友が死んだことで取り乱して、といった感情移入系のイベントも自然に流れていきました。ビジネス要素メインの原作では出来なかった事です。

 という事で、私としてはこのアニメは原作を越えてしまったのではないかと評価しています。あの本を読むなら、このアニメを見たほうが良いよ、とお勧めしたいですね。

 と言う事で、大満足の全10回でした。