雑談:アニメ「パパのいうことを聞きなさい!」は昭和系ホームドラマだと思う


 先のアキバblogの記事を引用しているうち、ふと「パパ聞き!」論(という程大げさではない)を書きたくなりました。先日、こばいも様(id:spring-ephemeral)のblog「flower in my head」に「パパ聞き!」についてのコメントとして投稿させていただいた内容を元にちょっと書いて見ます。

●『パパ聞き!』のチグハグ感にはラノベ原作物のクリシェが根差しているのではないか? - flower in my head
http://d.hatena.ne.jp/spring-ephemeral/20120205/1328453799

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 私は「パパ聞き」は「ラブコメ」とか「ギャルゲー系ハーレムアニメ」ではなく、「細腕繁盛記」もとい「細腕子育て記」的“ド根性系ホームドラマ”だと思ってます。つまり、「世間知らずの大学生(子供)が、さらに子供三人を引き取って育てる事を余儀なくされ、四人が苦労しながら、周辺の人たちに助けられつつ生活していく『不幸系ホームドラマ』」だと。

 例えば、同居二日目に、主人公が「朝ご飯を用意していない」と慌て、コンビニで何千円も使ってパンやら何やらを買ってくる描写が有りましたが、あれは「バイトだけで暮らすはずなのに、あのお金の使い方はリアリティが無い、変なアニメだ」ではなく、「こんなお金の使い方も知らない子供が、今後三人の子供の面倒を見れるのか?」という絶望感を煽るための演出の一環と認識しています(この後、空が両親が託してくれたお金で払おうとするシーンが有りますが、それでさらに駄目押し)。

 このアニメを「女の子三人と同居ラブコメ」アニメとの前提で見れば、もうダメダメダメで、色々余分な設定・描写が多すぎで(両親がいきなり死んだとか、お金の苦労の話とか、見たくも無いですよね)、「そんな重い設定なんか不要! 楽しいイベントでブヒブヒ言わせてよ!」とDISられるのも無理の無い話です。しかし、これを『昭和風ホームドラマ的アニメ、貧困・生活苦などの障害を擬似家族の絆で乗り越えるド根性物』と見れば、そこそこの仕上がりだと思います。

(ちなみに、先行展開している漫画版を見る限り、やはりどう見てもラブコメではありません。姪っ子たちとも大学の美人先輩とも何か進展する訳ではなく、ただアルバイトに必死なだけ。主人公たちは四苦八苦しながらなんとか暮らしていますが、生活はだんだん破綻して来ています。どう乗り切るのか想像も出来ない…、絵は可愛いけど内容はめっさ暗いです…)

 と言う事で、このアニメ最大の問題点(?)は、リアリティがどうとかシリアス要素の配分を間違えたとか、そんな所には無く、「擬似家族の絆のドラマ」で有るにもかかわらず、「女の子と同居ラブコメです」「視聴者にブヒブヒ言わせるアニメです」みたいに思わせていること、に尽きるかと。ドラマの作り方はまっとうですが、宣伝の仕方が悪い。「甘〜いギャルゲーみたいな展開を楽しみたいのに、こりゃねーよ!」と文句言われても仕方ないでしょう。スタッフが批判されるのは自業自得かもしれない…

 ところで、不思議なのは、原作も当然こういう展開にも関わらず、本は多分売れていて、アニメ化もされたという事。メイン読者の中高生はこんな「小公女」とかそれみたいな辛い話を楽しく読んでいるという事なのか…

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