感想:映画「パニック・イン・ロンドン 人類SOS!襲いかかる肉食植物(前・後編)」(2009年:イギリス・カナダ合作)(2012年12月31日深夜放送)

 BSジャパンでの視聴です(放送:2012年12月31日(月) 深夜 2:00〜5:30)。
(※以下、結末まで書いてありますのでご注意ください)

■BSジャパン シネマポータル
http://www.bs-j.co.jp/cinema/d121231_2.html

>世界 は“最期の日”を迎えた。神が定めた運命のように、破滅の日は突然訪れた。ジョン・ウィンダムSF小説を現代的解釈で完全映像化!


>遺伝子操作によって開発された肉食性植物トリフィドは、樹液が石油に代わる新しいエネルギー源になると注目されていた。そんなある日、太陽風現象が発生。猛烈な閃光が人々の視力を奪ってしまう。トリフィドにも異変が起り、人間を襲い始める。世界各地で地獄のような惨事が発生していた頃、ロンドンでは未曾有の危機を打開しようとトリフィド研究者メイスン、女性レポーターのジョーたちが立ち上がっていた。


■概要

 現代が舞台のSF破滅物。原作はジョン・ウィンダムの超有名SF小説「トリフィドの日」(THE DAY OF THE TRIFFIDS)ですが、内容を現代風にアレンジしています。劇場公開映画ではなく、イギリスBBCが製作したテレビムービーの前後編で、おかげで合計3時間半もありました。


■あらすじ

 人類は凶暴な肉食植物「トリフィド」を遺伝子改良して栽培し、採取できる樹液を石油の代替資源として活用していた。ある日、太陽風により世界中の空がオーロラのように輝くという天体現象が発生した。人々はその様を楽しんでいたが、その最中発生した強烈な閃光により、空を見ていた人間は全員失明してしまった。さらにその大混乱の中、トリフィドは栽培施設を脱出し、人間を襲い始めた。

 トリフィド研究者のメイスン博士は、偶然空を見なかったため視力を失わずに済み、同じように視力を失わなかった僅かな者たちと共に、ロンドンに集まる。しかしそんな状況でもなお、目の見える者たちの間で権力闘争が発生した。結局権力に飢えた悪党とその部下たちはトリフィドに殺され、メイスンたちがトリフィドがいないという孤島に渡るシーンで終わる。


■感想

 原作は子供の頃にジュブナイル版を読んだのですが、「流星雨を見て失明する」以外はほとんど覚えておらず、オチも「なんか凄い救われなかったな」程度にしか記憶していません。

 本作品はテレビムービー、つまり「超長いテレビドラマ」という出自のため、ハリウッド映画と違ってテンポがめっちゃ悪く、相当間延びした感じを受けました。それだけに視聴はちょっと苦痛でしたね。

 ただし、映像の質の方はかなりのもので、崩壊したロンドンのセットは安っぽさは無かったし、雪のシーンではマジに降雪しているときに撮影しているし、と贅沢さてんこ盛り。また、肝心の食肉植物トリフィドですが、前編では触手(というか根っこ)が人の手足に絡むシーンくらいしか写さないので「技術がなくてこういう逃げ方をしたか…」とか侮っていましたが、後編では全身を見せて大活躍します。

 姿としては「高さ3メートルくらいのチューリップとかあれ風の、花壇に生えている的な草」で、その葉っぱの縁をぎざぎざにして不気味感覚をつけて、さらに移動するときに(草のクセに)「ギュギュギュ」とかうなり声を上げながら這いよってくるので、結構良い感じを出していました。「草が人間を襲う」と聞くとかなりマヌケっぽいのですが、映像的にはかなり納得いくものに仕上げていましたね。

 すんごい長さにちょっとめげそうになって、字幕の無いシーンは早送りしまくるなど「たるい」映画ではありましたが、映像的には結構評価しています。どこかの上手い人に再編集してもらって、「90分バージョン」を作ったら評価も上がりそう、とか思いました。