紹介:小学生向けゲームブック「ミラクル・タイム・アドベンチャー(1) 白銀の騎士と恐竜のなぞ」(藤浪智之)(2013年7月3日発売)

ミラクル・タイム・アドベンチャー1 白銀の騎士と恐竜のなぞ

■データ(公式)
http://www.amazon.co.jp/dp/4591135217
単行本: 161ページ
出版社: ポプラ社 (2013/7/3)
言語 日本語
ISBN-10: 4591135217
ISBN-13: 978-4591135211
発売日: 2013/7/3

●ミラクル・タイム・アドベンチャー(1) 白銀の騎士と恐竜のなぞ :藤浪 智之,速水 螺旋人 | ポプラ社
http://www.poplar.co.jp/shop/shosai.php?shosekicode=40980010
過去のフランスに時間移動をしたら、
そこにドラゴンがあばれているという情報が入った。
ドラゴンなんて本当にいたの?
このなぞはキミがとく!!
この本は・・・・・・
キミ自身が主人公になって、物語を読み進めていく「アドベンチャーゲームブック」だ!

データ(個人的補足)

 テーブルトークRPGのデザイン等で有名な藤浪智之氏の新作ゲームブックです。

 藤浪氏は2010&2011年に角川から
「バニラのお菓子配達便!」(http://www.tsubasabunko.jp/bookdetails/index.php?pcd=201001000564)
「バニラのお菓子配達便!2」(http://www.tsubasabunko.jp/bookdetails/index.php?pcd=201102000436)

 という小学生向けゲームブックを出しており、現役で新作ゲームブックを執筆し続けるゲームブック業界希望の星です。

 本作は「ミラクル・タイム・アドベンチャー」というタイムトラベルSFシリーズ物の1作目で、2作目「忍者軍団と吸血鬼のなぞ」も同時発売されています。

 サイズは19センチ×13センチ。ページ数161ページ。パラグラフ数は120個。


あらすじ

 主人公「ユウキ」たち3人は現代日本に暮らす小学生(多分)。彼らはある事件で未来から来た「タイムゲート管理局」の職員でメガネ美女の「トキノ」と知り合います。タイムゲートとは異なる時間をつなぐトンネルのようなもので、過去に町で起きた事件も実はゲートが原因だったのです。そしてユウキたちはトキノに協力したことをきっかけに、彼女の助手的立場となりました。

 さて、今回ユウキたちがトキノから依頼されたのは、14世紀フランスに現われたというタイムゲートの調査です。早速14世紀に飛んだユウキたちですが、現地で驚くべき噂を耳にします。なんと架空の生物のはずのドラゴンが現われ、暴れまわっているというのです。三人は早速調査を開始しますが…


第一印象

 ゲームブックを全く知らない世代向けのゲームブック。導入部の「ユウキたちとトキノとの出会い」は2ページの漫画となっており、また中にも速水螺旋人氏のイラストがふんだんに使われていて、「ゲームブック? 何それ?」という読者を引かせる要素は皆無。ごく普通の時間SF小説と同じノリで読むことが出来ます。

 パラグラフ数は120個と少な目。読む/プレイするにあたってサイコロは必要なく、選択に従ってパラグラフを追っていくだけでOK。難易度は低めで、気分のままに15分ほどプレイするだけでもうラストにたどり着けました。軽く中を見てみましたが、イラストを見るに、どうやら結末は「事件を解決してハッピーエンド」一択ですが、途中の選択次第で全く違うストーリーが展開するようです(最低3〜4パターンはある模様)。

 ゲームブックとしては初級の初級の内容ですが、一応「どこそこのパラグラフに着いたら、ここで見つけた数字を足したパラグラフに進む」という例のパターンもあり、ゲームブックの基本的な要素は押さえています(藤浪氏が書いたのですから当然といえば当然ですけど)。またいつものように「パラグラフ14番はバッドエンド」となっており、解る人はニヤリとすることでしょう。


 ということで本格的なゲームブックでは無く「若い読者にゲームブックというものをレクチャーする本」という評価が妥当なところでしょうか。当たり前ですが、凝りまくったゲームブックではないので、ゲームブック猛者世代にとっては物足りないかもしれません。とは言え、2013年に新作ゲームブックが大手ポプラ社から発売され、若い世代にゲームブックという概念が伝授されているかと思うと、ゲームブックという「滅び行くホビー」の愛好者としては嬉しくなりますね。
 
 

ミラクル・タイム・アドベンチャー1 白銀の騎士と恐竜のなぞ

ミラクル・タイム・アドベンチャー1 白銀の騎士と恐竜のなぞ