感想:少女漫画誌「プリンセスGOLD(ゴールド)2013年9月号」(2013年8月16日発売)

 発売日:2013年8月16日(毎月16日発売)
(※以下、雑誌の内容に触れていますのでご注意ください)

秋田書店プリンセスゴールド
http://www.akitashoten.co.jp/princessgold

ヴァンパイア浪漫式 立野真琴
>大正7年、帝都。女学校に通う瑠璃の前に白鷺と黒曜という謎の男たちが現れ…!?


 舞台は大正時代。ヒロインさんが吸血鬼に襲われてゾンビ状態になってしまいますが、そこに正義の吸血鬼が現われ守ってくれます。正義吸血鬼は彼女の死んだおばあさんに頼まれて守っているとかなんとか。ヒロインさんはもう一度かまれたら完全に吸血鬼になってしまうというのですのですが…


 た、立野真琴先生?! おひさしぶりでございます。その昔は花とゆめで随分連載を読ませていただきました。昨今はボーイズラブ系で大車輪のご活躍のご様子で、もうとんと縁が遠かったのですが、まさかのプリンセスゴールド登場とは…、ホント秋田書店は自分で新人を育てるという気持ちがゼロだな(類似例 佐野まさき&わたなべ京、高橋ユキ、水都あくあ、梶山ミカ、その他多数)。

 まあ立野先生らしいというか予想の範囲内の内容で、それなりには楽しめました。でも次回掲載が二月号とか書いてあるのはどういうことなんだ…



文明開化とアンティーク〜霧島堂古美術店〜 浅田京麻

 連載二回目。主人公さんの働いている古美術品店の店主さんが外人さんの持っているお宝の鑑定をすることになるうち、色々有って主人公さんを騙したインチキ古美術商に再会し…


 プリンセスゴールドでは珍しい、秋田書店でデビューしてきちんと連載まで上がってきた人。そういう意味で応援しているのですが、話も面白い。きっちり古美術とかそのあたりを調べまくっているのが伝わってきますし、「冷たいご主人様(しかし美形)と嫌々働いている従業員」物は既に何度もやられているパターンですが今後の展開に期待が持てますし。



となりのロボット 西UKO

 SF百合ロボットショートショート。今回は三本立て。ヒロインさんはとにかくロボットのヒロちゃんが好きで好きでしょうがないのですが、ヒロちゃんはもちろんそんな気持ちには気が付きません。

 秋田書店には珍しい百合漫画。しかし、これが実に良いんですよねぇ。



夏庭待宵人 山田圭子
終戦から1年。敗戦の爪痕が色濃く残る故郷に復員してきた亮一郎を待っていたのは…!?

 終戦から一年後。良家の子息の主人公はようやく戦地から帰ってきますが、家は荒れ果て、生きていたのは出征前に身請けしてやった芸者の娘一人のみ。それでもその娘と暮らしながら、家業の商社を建て直そうと奮闘し、ようやく目処が立ってきますが…


 泣かせ系の幻想談。基本的にこの人の漫画はイマイチ面白いと思えないのですが、この作品はハート鷲掴み系の良作でした。たまにはこういうこともあるのだな。それにしても80年代にプリンセス系でデビューして、その後「キス」とか「アクション」とかに移ってしまったはずの人の漫画を、2013年になってもプリンセス系で読んでいる。不思議な気持ち。



キルトT 高橋美由紀

 最終回。いきなり東との最終決戦。で、魔を閉じ込めてめでたしめでたし。


 凄い打ち切り臭の漂う最終回。ラスボスの「東」との最終決戦をじっくり描くのかと思ったらバタバタバターっと早回しのやっつけ展開。で、魔が復活したと思ったらキルトが魔を体に封じ込めてそのまま地獄(?)に転落。で生き残ったメンバーが「キルトたちは自分を犠牲にして魔を封印したんだ…、ううっ」とか泣いていたら、実はキルトが持参していたプロレスラー人形に魔を封じ込めたのでキルトたちはあっさりこの世に戻ってきました、というギャグみたいなオチになっているし…、なんなんだろうこれは。今まで付き合ってきた人は愕然としているのでは。