感想:NHKドラマ「怪奇大作戦 -ミステリー・ファイル-」第4話(最終回)「深淵を覗く者」(2013年11月16日(土)放送)

怪奇大作戦 ミステリー・ファイル [Blu-ray]

 NHKドラマ「怪奇大作戦 -ミステリー・ファイル-」(全4話)の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)

怪奇大作戦NHK
http://www.nhk.or.jp/kaiki/

 衛星放送・NHK BSプレミアムでの視聴です(放送日:2013年11月16日(土) 22:00〜22:44)。


■キャスト
上川隆也(牧史郎)
原田泰造(三沢京助)
田畑智子(島田梨沙)
村井良大(野村洋)
高橋真唯(小川さおり)
原田美枝子(的矢千景)

第4話(最終回) 深淵を覗く者


■あらすじ

 女性の斬殺死体が発見され、警察は凶器は刀だと考えるが、牧は現場の状況から、殺害方法は人工的に作られたかまいたちだと判断する。直後、また女性の怪死事件が発生し、検視の結果、死体は超高温で熱せられていたと解った。牧は被害者は電子レンジによって生きたまま焼き殺されたと見抜き、さらに先の事件と同一犯が別の凶器を使ったのだと言い切る。間をおかず、さらに女性が被害者の事件が発生し、今度は被害者は炭になっていた。牧は太陽光を鏡で集めて焼き殺したと推理する。

 直後、飯田橋警部(永島敏行)は牧を参考人として連行する。牧が常識外の殺害方法を次々と解明できるのは、牧が自分で殺したからだと考えたからだった。牧は警察で犯人が理解できるというような不穏な発言を行い、飯田橋にますます疑いを抱かせる。的矢は牧に「深淵を覗く者は深淵から覗き返される」という言葉で正気を失わないように警告する。

 牧は殺害現場に集まっていた野次馬の写真を調べ、複数の現場に共通して現われている、赤帽子の運転手の車を見つける。SRIは車の持ち主を特定し、住所である工場にさおりを向かわせて住民にかまをかけさせる。焦った住民はさおりを殺そうとするが、牧たちが迫っているのを知り焼身自殺した。工場からは殺害に使用された凶器が発見され、警察は死んだ男が犯人だと断定した。

 ラスト。自殺の検証中に、またも野次馬が集まってきた。野次馬の中には赤い帽子をかぶった者が何人もいた。牧は野次馬たちを眺め回しているうちに、また挙動不審になる。そしてカメラは野次馬側から牧を見る視点になり、牧が野次馬たちの方に近づいてきて、カメラに向かって「お前なのか?」と問いかけるシーンで幕。


■感想

 オリジナル(1968年)版の「かまいたち」をベースにした作品。「かまいたち」も事件の真相がはっきりしないまま終わる不気味な余韻を残す作品でしたが、こちらも似た様な雰囲気ではあるものの、ベース作品を超えています。まあ、この回に突然牧が情緒不安定なキャラになるのはどうかと思いましたが、最後の最後まで犯人(?)の姿をはっきりみせないまま進み、そして唐突な結末を迎えさせるなど、オリジナルのテイストを継承しつつよりバージョンアップしていてグッドでした。

 ラストシーンは…、「ええっ? このシーンでシリーズ全4回を締めくくるつもりなの?」と軽くショックでしたよ。手法としてはサスペンス映画とかにありそうな感じで、『度肝を抜かれる』という程ではなかったのですが、さすがにテレビシリーズの最終回がこれってのはねぇ…、凄すぎる…


■総括

 素晴らしい! 完璧! 円谷プロと言えば「過去の遺産で食っているだけの会社」というイメージしかなく、今までに放送された「ウルトラQダークファンタジー」「怪奇大作戦セカンドファイル」「ネオウルトラQ」など、どれもこれもハズレばかり、「50年前のオリジナルの『ウルトラQ』や『ウルトラセブン』とかの方が面白い」という救いがたい状況だったのですが…

 これは大ホームラン! 4作品全てシナリオが練られてて、全く文句のつけようが無し。オリジナル版を超えたと断言します。しかも俳優も主役が上川隆也、脇にまさかの原田美枝子、ゲストも森本レオ嶋田久作・永島敏行と、一般ドラマ級。有名俳優の堅実な演技、俳優に恥をかかせない上質の刑事ドラマを思わせるシナリオ、「21世紀の怪奇大作戦はこうあるべし」という理想像を見せられたという気持ちです。

 こんな豪華なキャストをもう二度と集められないでしょうから続編は無いでしょうが、この「ミステリー・ファイル」はオリジナル版同様後世に語り継がれることになるのではないでしょうか。私はそれぐらい評価しています。
 
 

他の回のあらすじ・感想

第1話「血の玉」
perry-r.hatenablog.com
第2話「地を這う女王」
perry-r.hatenablog.com
第3話「闇に蠢く美少女」
perry-r.hatenablog.com
 
怪奇大作戦 ミステリー・ファイル (角川文庫)