ゲームブック「ゾンビの血」(イアン・リビングストン)の感想です。
「社会思想新社」発行の同人ゲームブック。「ファイティングファンタジー(FF)」シリーズの元祖イアン・リビングストンが「FFシリーズ30周年記念作品」として書いた新作(!)です(本国では多分2012年に発売)。まだクリアはしておりませんが、大体雰囲気はつかめましたので、感想など。
■ゾンビの血
http://gamedouzin.yukihotaru.com/bloodofthezombies.html
「ゾンビの血」
原題「Blood of the Zombies」
イアン・リビングストン 著
浅田豊健 監訳
ゴライア城では恐るべき事態が起きている…
誇大妄想に狂いしギングリッチ・ユールは、奇怪なゾンビの軍隊を世界へ解き放つ準備をしている。奴を止め、その傘下の亡者の群れを倒さねばならない。生死を決するこの冒険において君が下す決断が、世界の命運を決めるのだ。君は生きのびるか、それとも君もまたゾンビと化すか?
2012年に刊行30周年を迎えたファイティングファンタジーゲームブック。それを記念してイアン・リビングストン、彼が帰って来た! 創業者コンビの一人リビングストンがこの記念すべき節目の年に用意した舞台は現代の地球、そして戦う相手はゾンビの群れだ。現代版ゾンビ物というこれまでのFF作品になかった設定と敵、それに新たな戦闘ルールを引っ下げて、シリーズ30周年記念作が日本のファンの前にそのベールを脱ぐ。君は生き残れるか?
■あらすじ
君は大学の休暇を利用して、神話や伝説の中の怪物が実在していた証拠を見つけようと、ヨーロッパ各地を旅したが、全く成果はなかった。そして君は吸血鬼で有名なトランシルバニアで謎の男たちに誘拐され、古城の地下牢に幽閉されてしまったのだ。古城の主だという「ギングリッチ・ユール」とは何者で、君をどうするつもりなのだろうか? 君はこの地下牢から脱出することはできるだろうか? さあ、ページをめくりたまえ。
■内容紹介/感想
パラグラフ数400。パラメーターは「体力」のみ。戦闘シーンは(テーブルトークRPG風に)使う武器毎(ピストル・ショットガン・手榴弾、等)毎に異なる計算式を使用します。
タイトルと表紙絵で想像がつきますが、本作はコンピューターゲームでお馴染みの「ゾンビ退治物」で、主人公は様々な武器を手にゾンビの群れと対峙せねばなりません。
ストーリーは「剣と魔法系ファンタジー」と「現代風ゾンビ物」のハイブリッドとでも言うべきもので、舞台は内部が複雑に入り組んだ古城(=典型的ダンジョン)で、すべき事はゾンビ相手の一大バトルです。地下牢を振り出しに、廊下を歩き回って扉や箱を開けまくり、アイテムを手に入れつつ、襲い来るゾンビを迎え撃ちます。
舞台はファンタジー風ダンジョンをそのまま現代に移し変えただけなので、そこらじゅうでアイテムが手に入ります。ロッカーを開けたらピストルや弾薬が見つかった、箱を開けるとまた弾薬が、カバンを開けるとまた(以下略)、という展開には「ここの住民は銃砲類の管理が甘すぎだろ!」と突っ込みたくなります(ト書き:苦笑)。
しかしこの弾薬インフレも致し方ないことで、この作品、何かというとゾンビが襲い掛かってくるのです。ゾンビの体力点は「1」なので、一体くらいならザコ敵ですが、当たり前のように群れで出現するので、結局「体力5」とかのモンスターと戦うのと同じです。しかもこの作品は「脱出」が目的では無く「ゾンビを一体残らず始末する事」がクリア条件ですので(でないと外界にゾンビが溢れてしまうから)、他のゲームブックと違い戦闘を回避できません……
うーん、コンピューターゲームだったら「ミッションはこの城の中のゾンビを全滅させることだ! 弾薬は敵から奪え!」でも良いですけど、ゲームブックでそれは何か違う気が……、「作者が用意した最も難易度が低いルートを見つけてクリアする事」がゲームブック的だと思うのですけどね〜。
途中で同行者が出来るらしいし、話は色々イベントを盛り込んでいるようですが、「これはお薦め!」という程でもないかな、という印象でありますね。