感想:NHK番組「宇宙白熱教室」第2回「入門編2:「物理学者の秘密のお仕事 〜物事を大ざっぱに捉える!〜」」(2014年6月27日(金)放送)


 「宇宙白熱教室」(全4回)の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)

NHK 宇宙白熱教室
http://www.nhk.or.jp/hakunetsu/cosmology/index.html

 NHK Eテレでの視聴です(放送:毎週金曜 23:00〜23:54)(6月20日〜7月11日)


■概要

>「宇宙白熱教室」は、ローレンス・クラウス教授が、宇宙に興味のある一般市民を対象に行った集中講義(全4回)を取り上げる。
宇宙研究はここ20年ほどの間に、過去1000年間の進歩よりも大きな発展をとげている。講義ではそうした最先端の宇宙論を紹介していくが、専門的な知識を持たない人でもその内容をきちんと“実感”しながら理解できるよう、前半の2回は「入門編」として、宇宙論の基礎をとりあげる。そして後半の2回は、宇宙の始まりから終わりまでの壮大な物語を、ダークマターダークエネルギー、宇宙の加速膨張など、最新の研究結果をまじえながら紹介していく。

第2回 『入門編2:「物理学者の秘密のお仕事 〜物事を大ざっぱに捉える!〜」』


■内容

>宇宙のような複雑な世界を捉えるには非常に緻密な考え方が必要かと思いきや、クラウス教授は「違う、違う!大ざっぱに捉えることこそ大事なんだ!」と力説する。物理学者たちは、例えば「牛」を研究する場合、複雑な牛の形などは無視して、「牛は球形だ!」と大ざっぱに考えるというのだ。一体どういうことか? 実は巨大なスケールを相手にする宇宙物理学の世界で肝心なのは「概算」なのだという。「概算」の手法を身につければ、太陽の形から中心付近のエネルギー源の正体まで推測することができるし、素粒子が別の素粒子に変化するまでの時間だって計算できるというのだ。それだけではない。わずか数分の思考で、例えば大昔のカエサルの臨終の間際の一息に入っていた空気分子の内の何粒を、現代の私たちが呼吸のたびに吸っているかまで導き出されるのである! 物理学者たちの秘密の思考方法を伝授する!

 物理学者は物事を大まかに考える。


 例えは牛は細かい形は無視して「球」だと考える。半径はr。すると生物学者ではなくても、今の牛の二倍の「スーパー牛」が存在しない理由が解る。スーパー牛は半径2rだとする。表面積の単位は「平方」だから二乗。体積の単位は「立法」だから3乗。スーパー牛の表面積は2の2乗だから4倍。体積は2の3乗だから8倍。つまり普通牛に比べて皮膚にかかる圧力が二倍になる。これがスーパー牛が存在できない理由。皮膚が圧力に耐えられず崩壊するから。


 世の中の数字は『K×10のn乗』という数値で必ず表せる(Kは1以上10未満)。3412なら3.412×10の3乗。大事なのは「10のn乗」という部分。その前の数値なんて1から10の間だから大した違いではない。


○232×556はいくつ?


232は2.32×10の二乗。556は5.56×10の二乗。
2.32も5.56も大雑把に2と5くらいに考えれば2×5×10の4乗。つまり10×10の4乗。
少し多めにみて14×10の4乗、
答えは1.4×10の5乗。



○1から100万まで数えるのにどれくらいかかる? 一時間? 一日? 一週間? 一ヶ月? 一年? 一世紀? 


一年の秒数は60秒かける60分×24時間×365日。
60×60はまあ4000として4×10の3乗。それに25をかけて100×10の3乗、つまり10の5乗。
一年は300として3×10の2乗。
つまり一年の秒数は3×10の7乗=3000万。なら100万は一年の1/30で、まあ一週間。



○シカゴのピアノ調律師の数は? 一人? 10人? 100人? 千人? 一万人?


シカゴの人口は500万とする。
一世帯4人として100万世帯ある。
ピアノは100世帯に一台あるとする。つまりシカゴ全体で1万台。
調律師は一日一台調律できるとする。
一台の調律は一年に一回必要とする。
年100日働いて100台調律すれば生活できるとする。
1万/100で、およそ100人になる。



 物理の単位/次元は「長さ(L)」「時間(T)」「質量(M)」しかない。しかし素粒子物理学者はもっと簡略化する。長さと時間は「光速」でまとめられる。光速を使えば長さは「光が進む時間」と置き換えることが出来る。また質量と時間は「プランク定数」でまとめて、質量も時間で表せる。つまり全て時間で表現できる。


■感想

 あんまり宇宙とは関係ないけど、フェルミ推定とか、光速で単位をまとめてしまうとか、知らない世界が開けて面白い。