感想:NHK番組「幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー」(NHK総合版)『File-10 東京ミステリー!平将門の首塚』(2014年7月19日(土)放送)


 NHK番組「幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー」(NHK総合版)の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)

■幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー - NHK
http://www4.nhk.or.jp/darkside/

 NHK総合での視聴です。(放送:毎週土曜 22:30〜22:50)

『File-10 東京ミステリー!平将門首塚


■内容

>大都会で「たたり」!?手出しした人々が次々と死亡!?平将門首塚にまつわる恐怖伝説を徹底検証!うわさの原点をたどるとあなたの知らない東京の意外な姿が見えてくる!

>あなたの知らない東京の意外な一面が明らかに!日本最強のたたり神とうわさされる平将門平安時代、関東の王として戦い、恨みを背負って処刑された将門の首塚(東京・大手町)は、手出しする人々を次々と呪い殺すとうわさの、恐怖のスポットとしても知られる。はたして「たたり」は本当にあったのか?うわさの原点となる記録から、事件の真相を徹底追及!何代も首塚を守り続けた人々が語る将門の驚くべき姿とは?【出演】栗山千明

 BSプレミアム版の「File-08」(2014年3月26日(水)放送)から。


 千代田区・大手町に平将門首塚がある。平将門と言えば祟りで有名。

 まず関東大震災直後。大蔵省が震災で庁舎が焼けたため、将門の首塚を潰して仮庁舎を立てたところ、大蔵大臣が急死し、さらに大蔵官僚十数人が次々と死亡。とどめで、落雷で庁舎が焼け落ちた。次に太平洋戦争終戦直後。日本に進駐してきたGHQが将門塚を潰して駐車場を作ろうとしたところ、ブルドーザーの事故が起こり運転手が死亡。その後次々と事故が起こり、ついに駐車場の工事は中止になったという。

 しかし調べてみると前述の「祟り」はほぼ根拠の無いものだった。大蔵大臣の死は大往生だったし、官僚の連続死という出来事も無し。さらに落雷は塚を潰してから17年後の話で、また落雷は当日東京各地に十数か所も発生しており、庁舎だけが狙われたというものでも無い。しかも落雷したのはそもそも大蔵省庁舎ではなかった。大蔵省が昭和三年に「鎮魂際」を行ったことは事実だが、それを当時の新聞が面白おかしく記事にして取り上げたのが「将門の祟り」話の始まりらしい。

 また終戦直後にブルドーザーの事故が1件発生したのは事実だが、連続死云々という事実は確認できなかった。そもそも駐車場工事が中止になったのは、地元の人たちが陳情したおかげだった。実は平将門はかつて神田明神に祭られていた神様だった。だから、地元の人たちが将門塚を「古代の王の墓である」と訴えて工事を中止してもらったのだった。

 地元の人たちにしてみれば、将門は自分たちを守ってくれる神様であり、「祟り」云々と言うのは自分たちとは違う視点で見ているからでしょう、と語っていた。


■感想

 祟りにまつわる恐怖話のはずが、呪い・祟り云々だけで終わらず、きちんと調べつくした末に、「将門は神田とかを守る神様でした」と意外なところに着地するという、この番組ならではの良い構成でした。