【科学】感想:NHK番組「コズミック フロント」「2050年 宇宙エレベーターの旅」(2014年9月11日(木)放送)

宇宙エレベーターの本: 実現したら未来はこうなる

 NHK番組「コズミック フロント」の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)

■コズミック フロント | NHK宇宙チャンネル
http://www.nhk.or.jp/space/program/cosmic.html

 NHK BSプレミアムでの視聴です(放送日:2014年9月11日(木) 22:00〜22:59)。


概要

アポロ宇宙船で人類が月に降り立ち、スペースシャトルでは宇宙が身近になり、今や国際宇宙ステーションから生中継も簡単にできるようになった。


しかし、私たちがいざ行こうとなると宇宙はまだまだ遠い存在だ。ところがそう遠くない将来、海外旅行に行くようなお手軽な感覚で誰もが宇宙に行ける乗り物ができるかもしれない。それが地上と宇宙をつなぎ往復する「宇宙エレベーター」だ。


ロケットのように膨大な燃料を使わず、経費的にも将来の宇宙開発の切り札になると注目を集める。


その構想を実現しようといち早く動き始めているのは、日本の技術者たちだ。大手建設会社は、2050年を目標に、地球と96,000km先の宇宙を結ぶ宇宙エレベーターの建設計画を打ち立てている。番組では、宇宙エレベーターの要となるケーブルやクライマーと呼ぶ本体部分の開発の様子など紹介。実現したあかつきにはどのような宇宙旅行が待っているのか。


その夢の構想をCGで描き、あっと驚く宇宙エレベーターの旅を紹介する。


【語り】萩原聖人中川緑,【声】幸田夏穂,江原正士樫井笙人高倉有加

 
 

内容

・Front 1 宇宙へのステップアップ

 『宇宙エレベーター』とは、地上と高さ96,000Kmを結ぶ超巨大なエレベーター。イメージとしては、宇宙と地上を結ぶ巨大なモノレール。宇宙エレベーターが完成すれば、宇宙に物を運ぶコストはロケットと比較して1/50となる。宇宙旅行も今より遥かに簡単になる。

 建設会社大林組は真面目にこの施設の建設を考えている(元NASAの技術者がプロジェクトリーダー)。予定では2025年建設開始、2050年完成。地上の駅「アース・ポート」から乗り物「クライマー」で宇宙へ出かける。

 イメージドラマ。『一般人向け一日宇宙の旅。高さ400Kmまで日帰りで行ける。お値段は一人80万円。時速200Kmで宇宙へ。エレベーターに乗っているのと変わりない。高さ400kmとはあのISS国際宇宙ステーションと同じ高度。でも無重力ではない。実はISSは超高速で地球を周回しているので、遠心力と重力がつりあって無重力状態。でも宇宙エレベーターは周回していないので、地上よりちょいと重力が弱い程度。』



・Front 2 夢をつなぐケーブル

 宇宙エレベーターのケーブルの素材として考えられているのが「カーボンナノチューブ」。理論的には鉄より軽くて鉄より遥かに強度が強いが、しかし現物としてはまだ今は鋼鉄と同じ程度の強度のケーブルしか作れず、研究中。

 ところでゲーブルはどうやって宇宙と地上をつなぐ? 答えは「上からたらす」。まず静止衛星軌道(高度36,000Km)に宇宙船を打ち上げ、そこからケーブルをたらして地上に降ろす。そしてそのケーブルをどんどん強化していく。



・Front 3 夢を動かす電力

 クライマーを動かす電力はどうするのか? ケーブル経由で電力を送るのは抵抗が多すぎて不可能。そこで無線送信する。今は「レーザー」「電波」という二つの方向で研究されている。



・Front 4 夢への挑戦者たち

 日本では「宇宙エレベーターチャレンジ」という大会が開かれており、学生や技術者が模型を上空まで往復させる競技に挑んでいる。今年で6回目。今では1000m超えまで行っている。宇宙エレベーター技術は鉄道技術と似ているところが多い。日本は向いている。



・Front 5 さらなる高みへ

 イメージドラマ。『高度400Km以上は研究者たちの世界。重力が弱いあたりでは火星環境をシミュレーションする施設、高度36,000Kmの衛星軌道では無重力なので一番巨大な施設。それを超えると遠心力が重力を上回り、地球から外に降りていくイメージになる。そして最果てが高度96,000Km。そこから宇宙船が旅立っていく』


感想

 10月からのガンダムアニメでもテーマにされていて、旬な宇宙エレベーターの話題です(NHKのことだからそのあたりを見越した企画かもしれない……)。

 カーボンナノチューブとかチャレンジとかは、2011年に見た「WOWOW ノンフィクションW 富野由悠季 宇宙エレベーターが紡ぐ夢(http://d.hatena.ne.jp/Perry-R/20110124/p2)」で見た内容でしたが、イメージドラマがさすがのNHKという感じで良しでした。

 ところで大林組の建設計画ですが、自分でロケットを打ち上げなきゃ建設も出来ないと思うのですが、そのあたりどーする気なんだろう?