感想:アニメ「キャプテン・アース」第25話(最終回)「キャプテン・アース」


 アニメ「キャプテン・アース」(全25話)の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)

■TVアニメ「キャプテン・アース」公式サイト
http://captain-earth.net/

 BS11での視聴です。

第25話(最終回) キャプテン・アース


■あらすじ

 パックは自分用のエゴブロックを作り出して無敵となり、さらにブルーメ内に移動すると、ハナに自分をインストールして乗っ取り、ブルーメを巨大ロボ「ロビングッドフェロー」へと変形させた。そしてハナの体でライブラスターを使って無限のエネルギーを得ようとするが、精神がハナのものではないためライブラスターが撃てない。セイレーンはパックの行動を見て、自分たちはエゴが強すぎてライブラスターが撃てなかったことを悟る。遊星歯車装置のキルトガングは、ロビングッドフェローを止めるため、自らエゴブロックを爆破して消滅した。ところがロビングッドフェローは無傷で、エネルギー補給のため地球にエンタングルリンクしてしまう。ダイチもアースエンジンで追いかけ、ロビングッドフェロー内に突入すると、向かってきたハナにキスして自我を取り戻させる。そしてダイチとハナはライブラスターを撃ちまくり、パックとロビングッドフェローを破壊した。

 地球ではマシングッドフェローの中で遊星歯車装置が目覚めていたが、アマラはどこかに去っていた。で、地球でダイチとハナがキスしていて、ランドセル少女がリスのピッツだったらしいことが暗示されておしまい。


■感想

※以下、すごい辛口の感想になっておりますので、本作品が好きな方はご注意ください。


 うん、ダメな最終回でした。


 まあ、20話台に入ったあたりで薄々「このアニメのシナリオってダメだよね……」という事に感づいていたのですが、ラストはとどめというかで、作品史上最低のダメっぷりでした。ラスボスが「ウハハ、銀河系を支配してやる」→「そんな攻撃は無駄だ。私は無敵だ」→「なっ、なにぃっ!? こんなバカなぁぁ(大爆発)」とか、もう手垢がつきすぎた展開で、2014年にこんなラストを提供してくるなんて、バ●じゃないかと思えてくるくらい。しかも勝利の切り札は愛でしたとかいうのもどーかと思うし。遊星歯車装置の「改心」も「ハイハイ、そういうこと言い出すと思っていたよ」という予想の範囲内だし、ということで何から何まで予想できていた使い古しの展開でしかありませんで、ほとほと呆れた。そして全2クールなら余裕があるから、「決戦の後の後日談」でも描いておけばいいのに、「STAR DRIVER 輝きのタクト」と同じく、ギリギリなんとか決戦を詰め込んだだけでドタバタしたままでおしまい……、徹頭徹尾ダメでした。



■総括

 スタッフは「STAR DRIVER 輝きのタクト」から何も進歩していなかった。キャラデザもメカデザも声優も作画もイイ感じで揃えているのですが、話作りがまるでダメ。序盤は凝った設定とキャラの掛け合いで面白そうに見えますが、終盤になると「手順を踏んで話を盛り上げる」ということができないのがバレて、稚拙という印象しか残せないまま、ずさんな幕切れとなる。「タクト」がダメだったのであれを反省材料に進歩したのかと思っていたら、全く同じ失敗を繰り返しました。


 以下不満をぶちまけます。


1)ストーリー構成がなってない

 2クールを通じてのバランスの取れた起承転結とかそういうのを殆ど考慮していないように思えました。メインキャラの「ダイチとハナ」「テッペイとアカリ」「ハナとツバキ」とかキャラクターの繋がりは進展しましたが、本筋はおざなり・適当・大雑把に進めたとしか思えない。6話までは設定を隠したまま進め、7話からようやく本格始動したかと思ったら、遊星歯車装置の仲間集めに延々15話まで浪費、そのあとは人類同士の争いでまた浪費、そして唐突に天王星殴りこみ計画が始まり、しょーもないラストへ。もうちょっとなんとかならなかったのかしらん。


 遊星歯車装置のアバターたちは、覚醒話のあとは、それ以降にキャラを視聴者になじませなくてはいけないのに、以降全く出番無しで、そのまま最終決戦へ。バクは「歯車装置の中で人類絶滅に疑問を持つ」とかいう位置づけで動くのかと思ったのですが、そんな話は欠片も無かった。また18話以降くらいからは、迎撃派と方舟派の人類の対立話の前に存在感が薄れ、もはやいてもいなくてもいいただの空気状態へと転落。七人も集めておいて、この体たらく。こんなに大人数を集める話に意味あったのか。アマラとモコの二人だけでよかったんじゃないかと。


 終盤まで影の薄かったパックがラス前でいきなりラスボスの地位に就任。まあ確かに以前に「グローブとキルトガングが手を組んで、ラスボスのパックと大決戦」(http://d.hatena.ne.jp/Perry-R/20140729/p4)とか予想したこともありましたが、それはパックがちゃんと仕事をして、遊星歯車装置を裏切る過程を見せていく、という前提での予想でした。それがやることと言えば秘書やらに手を出して女遊びをしているだけだったのに、最後にラスボス面で「銀河系を征服する」とか言い出して、お前は何を言っているのかとそういう感じ。


 ハナがその後どうなった(ツバキの娘になったの?etc)とか、元遊星歯車装置たちはどうしたか(特にアマラ)、とか、それこそ描くべきことだと思うけど何で皆無なの。


 畑違いかもしれませんが、仮面ライダーオーズとか同フォーゼとか、同じ「バトル物」でキチッとしたラストを見たことがあると、それと比較して「何故ああいう仕事が出来ないのか」と思ってしまいます。



2)謎を残しまくり

ネオテニーとは?

・謎のランドセル少女エーリアルはピッツだったのか? だったら人に化けられるピッツってなんなの?

・そもそもハナとかブルーメは何なの? 遊星歯車装置とのつながりは?

・ライブラスターとは何? 何故ダイチたちだけしか使えないの?

・「(セツナの話に出てきた)人に夢を見せる機械のスポンサー」の伏線はどこに消えた?

・マシングッドフェローって結局何?

・キルトガングたちが、地球人の肉体「アバター」となった経緯は?

・セイレーン様しかオルゴンエネルギーを集められない云々ってあのあたりの設定の説明がないのですけど?

 謎を振りまいて興味をひきつけるのはいいけど、答えを出せなきゃダメでしょ。推理小説で「謎だけばらまいてトリックの解明も犯人当てもなし」なんてもの売らないでしょ?


 ということで、豪華そうに見えて期待の作品に思えて、正体は「とんだ一杯食わせ者」でした。アーア。