感想:NHK番組「幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー」(NHK総合版)『File-21 幻のツチノコを追え! Part-2 日本人とツチノコ』(2014年11月15日(土)放送)


 NHK番組「幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー」(NHK総合版)の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)

■幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー - NHK
http://www4.nhk.or.jp/darkside/

 NHK総合での視聴です。(放送:毎週土曜 22:30〜22:50)

『File-21 幻のツチノコを追え! Part-2 日本人とツチノコ


■内容

>日本中で大ブーム!ツチノコは国民的妖怪だった!?神話に始まる各地の伝説・民話から浮かぶのは、あなたの知らない日本人の心の風景。美しい自然と人々の物語へご案内。

>日本人は先祖代々、ツチノコが大好き!?神話の時代から現代まで、ある時は美しい女神、ある時は恐ろしい妖怪、ある時は未確認動物と、ツチノコはイメージを変えながら、日本人に影響を与えてきた。その正体は何か?謎を解くカギ…各地に伝わる伝説・民話をひも解くと、見えてくるのは、あなたの知らない日本人の心の風景。日本人は何を愛し、何を恐れ、何を失ったのか?ツチノコを通して知られざる日本人の物語へとご案内します。

 BSプレミアム版の「File-05」(2013年10月24日(木)放送)から。


 ツチノコは、昭和38(1963)年以前頃は、未確認生物では無く「神」「妖怪」として認識されていた。名前は、江戸時代の文献を見ると、ツチノコではなく「野槌(のつち)」。

・古代神話:イザナギイザナミの娘のカヤノヒメ、別名ノツチノカミがいる。草木の神。
・江戸時代:身長5メートルの寸胴のヘビ
・江戸時代:毛むくじゃらのイモムシ的妖怪。草木の精霊
・江戸時代:農業用具の「横槌」が付喪神と化したもの。コロコロ転がる。
・江戸時代:農作業中に誤って首を切られた蛇が、三年後、首だけの姿で飛びかかってきた

 ツチノコの特徴として語られる「寸胴」「何メートルもジャンプする」「コロコロ転がる」「毛むくじゃら」はこの昔の伝承から来ている。


 随筆家「山本素石(やまもと・そせき)」は、昭和34年(1959年)に山の中で謎の生物と出会い、地元の人に「ツチノコ」だと教えられる。そして全国各地のツチノコの民間伝承を調べると、名前も姿も多種多様だった。そして素石は昭和38年(1963年)に、ツチノコのイメージを集約して一つにまとめ、その姿を書いた「手配書」を作った。この時から、ツチノコは「妖怪」とか「伝承の中の存在」ではなく、「謎の未確認生物」というイメージに変遷してしまった。そして「ツチノコを捕まえたらXX万円」というブームが到来した。

 素石は民話の研究というかそんな感じで進めていたことが、お金が絡むいやらしいブームになってしまったことを嘆き、昭和48年(1973年)に書いた「逃げろツチノコ」という本でツチノコ探しからの撤退を宣言した。


 現在の「未知の生物ツチノコ」というイメージは、神話やあるいは妖怪といった神秘的なものが「世俗化」して生まれたものだといえる。


■感想

 ツチノコ誕生秘話。こういう深いところまでやってくれるからこの番組は好きなのです。