感想:小説「ミュータントの決断」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 484巻)(2014年11月7日(金)発売)


 小説「ミュータントの決断」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 484巻)の感想です。
(※以下、今回の話の内容について触れています。ご注意ください)

-------------------------------------------------

■データ(公式)
http://www.amazon.co.jp/dp/4150119791
ミュータントの決断 (ハヤカワ文庫 SF ロ 1-484 宇宙英雄ローダン・シリーズ 484) 文庫 2014/11/7
クラーク・ダールトン (著), 工藤 稜 (イラスト), 青山 茜 (翻訳)
文庫: 288ページ
出版社: 早川書房 (2014/11/7)
言語: 日本語
ISBN-10: 4150119791
ISBN-13: 978-4150119799
発売日: 2014/11/7


>〈宇宙英雄ローダン・シリーズ484〉アトランやテラナーに《バジス》の指揮権を渡せと要求する強者ケモアウクの目的とは?


>強者ケモアウクはライレの“目”をたずさえて、ただひとり《バジス》へとやってきた。物質の窪地に、ローダンを置きざりにしてきたのだ。ケモアウクはアトランに対して、ローダンを連れもどしたければ船の指揮権を自分にわたせと迫る。一方、宇宙空間を旅している二重コンセプトのエラート=アシュドンは、ハルノが“完全なる静寂の場所”と呼んでいた未知のゴールに近づいていた。じつはそここそ物質の窪地だったのだ!


-------------------------------------------------
宇宙英雄ローダン・シリーズ[484]巻

 日本で発売されている小説では最長を誇るSF「宇宙英雄ローダン・シリーズ」の一冊です。

発売日 = 2014年11月7日(金)
サイクル= 第15サイクル「宇宙の城」


-------------------------------------------------
◇967話 物質の窪地(クラーク・ダールトン)(訳者:青山 茜)

 ローダンは“それ”を求めて「物質の窪地」を放浪するが、謎の人影に遭遇し!?

−>

 ……、前回との繋がりがおかしい……、前回はケモアウクが《バジス》を牛耳りそうになってアトランが必死で抵抗したまま続く、という展開でしたが、今回はケモアウクがメチャクチャちょろいキャラになっていて、アトランたちに圧力をかけられてあたふたしているし……、全てを見切った超越存在ケモアウクのイメージがいきなり消えてます。それに「物質の泉」を探してドリンク星系に来たはずなのに、泉は別の場所にあるような設定に変更されていて、それも戸惑いました。もうちょっと各ストーリーのつながりをキチンと調整してください。


-------------------------------------------------
◆968話 ミュータントの決断(クラーク・ダールトン)(訳者:青山 茜)

 衰弱した超越知性体“それ”がローダンに求めた物とは!?


−>

 シリーズ屈指のスペシャル回となりました。最近「特別コマンドが敵の惑星に潜入する」系の話がめっきりなくなり、グッキークラスのキャラでさえ出番が無くなっているので、ましてや存在感がほぼ皆無だったバルトン・ウィトやメルコシュあたりを大掃除したくなったのは解りますが、いくらなんでもミュータントを減らしすぎ! (ところでタッチャーはミュータント扱いだったのね……、ロルヴィクのサポート役だと思っていた)。それに人類についていくと明言していたケルシュル・ヴァンネまで消すとは、なんてことをするんだ〜。


 P267の“それ”とローダンの対話が良い。「紛争の時代が終わったとは思わないでくれ」「精神の質が重要になる」とか思わせぶりな口ぶりがワクワクする。


 P276〜277の“それ”とコンセプトの融合シーンが凄いインパクト。ローダン・シリーズでこんな壮大なシーンが読めるとは思わなかった。


-------------------------------------------------

 前半はいまひとつでしたが、後半がもう名作!


-------------------------------------------------
★表紙絵

 前半「物質の窪地」から、窪地内部に閉じ込められた“それ”と、“それ”を見上げる宇宙服姿のローダンの後ろ姿。凄いベストショット。


-------------------------------------------------
★あとがきにかえて

 担当は「青山茜」氏。全6ページ。好きな本はベルヌのSF小説やホームズという話。そして最後にこの巻をもって翻訳チームから脱退するというお知らせ。なんてこと! 現翻訳チームで一番数をこなしていた人だったのに! ミュータントたちも去り、青山氏も去ってしまうとは! ダブルショックでぶるぶる震えそうです。


-------------------------------------------------
★予告

 次巻は485巻「最後の深淵の騎士」(ウィリアム・フォルツ)(2014年11月21日(金)発売予定)。


 ついに同人誌で読んだ「贋騎士」と「守護者の最期」にまで追いつくとは……


-------------------------------------------------
★おまけ

 あらすじネタバレ版はこちらへ。

ペリー・ローダンへの道
http://homepage2.nifty.com/archduke/PRSindex.htm

-------------------------------------------------

-------------------------------------------------