感想:NHK番組「コズミック フロント」「なんだこりゃ!奇妙な星の一生」(2015年2月5日(木)放送)


 NHK番組「コズミック フロント」の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)

■コズミック フロント | NHK宇宙チャンネル
http://www.nhk.or.jp/space/program/cosmic.html

 NHK BSプレミアムでの視聴です(放送時間 22:00〜22:59)。

なんだこりゃ!奇妙な星の一生


■概要

http://www.nhk.or.jp/space/program/cosmic_150205.html
>長年宇宙を観測してきた研究者でさえ、時として「なんだこりゃ!」と声をあげてしまうような発見があるのが宇宙。そんな中、今まで明るすぎるため見ることが難しかった恒星が、この十数年の観測技術向上によって、想像もしなかった素顔が次々と明らかになってきた。太陽などの自ら光り輝く恒星は、星間ガスが集まり、核融合反応を起こして光輝き、やがて燃え尽きて一生を終える。大きさや年齢は様々でも、その姿や形はあまり変わらないと思われてきた。

>ところが、そんな常識を打ち破る奇妙な星が、次々と発見されている。「土星のような巨大なリングを持つ星」。「まるで彗星のように長い尾を引く星」。「ロープのようなものでつながれた星」。さらに「一度死んだのに、まるでフランケンシュタインのように生き返ってしまった星」など、にわかには信じられない奇妙な星の数々。

>番組では奇妙な星になったメカニズムに迫りながら、その姿を鮮明なCGで描いていく。そして「なんだこりゃ!」という発見者の驚きとともに、今まで見たこともない奇妙な星の天体ショーにご招待する。

■内容

 5つの奇妙な星の紹介。


Front 1 星々の曲芸

 ふたご座の星「カストル」は、18世紀頃には一つの星では無く連星(カストルA、B)であることが知られていた。ところがその後の調査で、カストルAもBもさらに連星だと解った。あまつさえその後「カストルC」まで見つかり、これも連星だった。つまり6重連星である。実は宇宙では連星は珍しくなく、恒星の半分は連星だが、六重は知られている限り最高記録である。



Front 2 華麗に舞う星

 ブレアデス星団の星「プレオネ」は、恒星の回りに二重のリングがある。この星は35年周期で明るさが変動する。その原因は、35年周期でリングが消えて内側から新しいリングが生まれるためと解った。プレオネは連星で、もう一方の星が216日周期で巡っており、その影響でリングが少しずつ倒れて、35年で外側が消え、内側から新しいリングが生まれている。



Front 3 長い尾を持つ星

 くじら座のミラは変光星として有名だが、実は13光年にわたる長いガスの尾を引いていることがわかった。恒星は宇宙を少しずつ移動しているが、ミラが動いた跡にガスが残っていて尾になっている。



Front 4 つながれた星

 かに座HM星は白色わいせい星の連星で、X線を出す星と光を出す星がグルグル互いを回っている。X線を出す方が重力が強く、光を出す方から物質を吸い込み、それが星にぶつかる時に強いX線を放つ、二つの星はあたかもロープで結ばれているかのような状態。


Front 5 生き返った星

 かんむり座R星は、表面に希少な酸素18が観測されたが、酸素18は窒素とヘリウムが高温で反応しないと生まれない。つまり恒星内部でしか生まれないが、普通は表面に出てくる前に蒸発してしまう。おそらくこの星は「炭素型白色わい星」と「ヘリウム型白色矮星」がぶつかって、ヘリウム型が吸収されて反応した、つまり二つの死んだ星(白色わい星)が合体して一つの星として生き返ったと思われる。まるでフランケンシュタイン(博士の作った怪物)の様なものだった。


■感想

 コズミックフロントは当りハズレが激しいのですが、今回はまあ当りの方でしたね。

 ちなみに、「フランケンシュタイン」というのは「人造生物を作った博士」の名前で、あの怪物のほうは「フランケンシュタインの怪物」と呼ぶのが正解です、念のため。