感想:NHK番組「ニューヨーク白熱教室 〜最先端物理学が語る驚異の未来〜」第3回「科学が変える未来社会」(2015年4月17日(金)放送)


 NHK番組「ニューヨーク白熱教室 〜最先端物理学が語る驚異の未来〜」(全4回)の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)

NHK ニューヨーク白熱教室
http://www.nhk.or.jp/hakunetsu/newyork/index.html

 NHK Eテレでの視聴です(放送:毎週金曜 23:00〜23:54)(2015年4月3,10.17,24日)



■番組概要

>4月からの「白熱教室」の新シリーズに登場するのは、世界で最も有名な理論物理学者の一人であり未来学者としても知られるニューヨーク市立大学のミチオ・カク教授。日系3世のカク教授の専門分野は超弦理論と呼ばれる最先端の世界であるが、その興味は今、私たちの未来へと向かっている。21世紀に入ってもなお驚異の発展を続けている現代物理学は、これまでSFとしか思われてこなかった異次元や時間旅行などといった奇妙な世界が、私たちの身近に現実に存在することを解き明かしつつある。現代科学がこのまま進歩したとすると、一体私たちはどこへ行き着くのか?
ハイパースペース(異次元空間)を通っての恒星間旅行や、テレパシーでの交信、さらには私たちの意識や心が肉体を離れレーザービームに乗って宇宙を飛び回り、不老不死が実現する可能性までもが見えてきているという。それは決してSFや絵空事ではない、最先端科学が裏打ちする驚異の未来論である!

第3回 科学が変える未来社


■今回の内容

>人類史の中で物理学の発展は社会を大きく変えてきた。では、このまま科学が進歩すると近未来の社会はどう変貌するのか? コンピューターはコンタクトレンズに組み入れられ人間が意識するだけであらゆる情報の入手が可能になり、医療では常に超小型の医療ロボが体内を巡回し、痛んだ臓器は交換可能となる。そして不老不死も可能になるという。理論物理学者が語る、SFとは一線を画したリアルな未来社会の姿を探求する。

 人類の進化の波は「1 蒸気機関」「2 電気とエンジン」「3 ハイテク」だった。次の波はどのようなものか。それは以下3つと予想される。

人工知能
・ナノテク
バイオテクノロジー

 人工知能。コンピューターはどんどん進化する。この業界には「ムーアの法則」というものがあり、コンピューターは18ヶ月枚に倍の性能になる。1960年代にNASAアポロ計画で使ったコンピューター総ての性能を合わせても、現在の携帯電話一個の能力にかなわない。未来にはコンピューターはどんどん小型化する。たとえはコンタクトレンズ型になる。出会った人や観光名所の情報を視界に表示し、外国語を翻訳して字幕表示してくれる。また薄い紙のようになり、壁紙となる。夜中に体調が悪化した時、壁に話しかければロボットドクターが診断してくれる。また自動車事故を起こした時、腕時計コンピューターに話しかければロボ弁護士がアドバイスしてくれる。トイレにもコンピューターがつき、「貴方の体内にガン細胞が出来始めています」と診断してくれる。


 ナノテク。ガンの治療の化学療法は体に重いダメージを与える。未来の治療はナノテクのカプセルでガン細胞に直接薬を打ち込む。また超小型顕微鏡で体内を見たり出来る。


 バイオテクノロジー。既にいくつかの臓器を培養することに成功している。未来には臓器を店で買うことが出来るだろう。



 不老不死は可能か。既に猿などでは寿命を二倍にする実験に成功している。しかし人間の寿命は長いし倫理的な話もあるので、人体での実験はまだ。実はワニは凄い長生きで、彼らの寿命は正確には解っていない。ある動物園で飼育している人に聞いてみたところ、ワニは死ぬのは怪我とか病気などだけで、歳をとっても老いたりせずどんどん大きくなるだけだとか。不老だという人もいる。クジラも長生きだ。あるクジラに銛が刺さっていたので調べたところ、19世紀半ばに作られたものだったという。

 老化の原因とは何か。それは細胞分裂時のDNAのコピーミスが蓄積することだ。不老不死が可能なら人口が増えすぎないか。実は20世紀半ばに、人類は2000年までに人口爆発で絶滅すると予期した人たちがいた。しかしそれは外れた。理由は、ひとつは農業技術の発達による農作物の増産、もう一つは出生率の低下。発展途上国の農家では子供は多いほうが良い。子供はイコール労働力だし、社会保障が未整備なので老後の面倒を見てもらうには子供が多いほうが安心だからだ。しかし都会にでると話は変わる。子供に教育を受けさせないといけないからお金がかかる。だから子供は二人くらいで良い。日本は出生率が死亡率を下回った。先進国で初めて人口が減り始めているのだ。そのうちヨーロッパの国々もそうなるだろう。アメリカは移民で人口はまだ増え続けるだろう。



 未来の仕事はどうなるか。単純な反復仕事、例えば機械の組み立てなどはコンピューターが取って代わるだろう。既にロボットが工場で働いている。仲介業もなくなる。今はネットの発達でタクシーを客が直接呼んでいる。仲介業者がなくなれば価格が安くなる。消費者の勝利だ。しかし庭師、建築労働者のような、毎回仕事の状況が違う場合、即ち臨機応変さを求められる仕事は生き残る。分析が必要な仕事、あるいはミュージシャンのような創造性が入る仕事もまた生き残る。


■感想

 今まで同様、話の上手い学者の面白トークレベルで、あまり歯ごたえはありませんが、面白いことは面白い。