感想:海外ドラマ「X-ファイル シーズン4」第9話「ツングースカ Part2」

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 ドラマ「X-ファイル シーズン4」(全24話)の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)

■ディーライフ/Dlife X-ファイル シーズン4
http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s4/

 BSデジタル放送「Dlife」での視聴です。

第9話 ツングースカ Part2 TERMA

■あらすじ

EP9 ツングースカ Part2
ダレス国際空港に男が運んできたロシアの外交郵便の宛先は、著名なウィルス研究者だったが、彼は事故死していた。モルダーは強制労働をさせられていた収容所を脱出する。

 お題は「地球外生物、政府の陰謀」。


 8話「ツングースカ Part1」の続き。モルダーは地球外生物「ブラックキャンサー」を浴びせられるが、あらかじめ打たれていたワクチンのせいで体を乗っ取られずに済んだ。この収容所では、捕らえた人間を実験台に、隕石の中から発見した寄生生物ブラックキャンサーの治療薬を研究しているらしかった。クライチェックは、収容所の幹部たちに取り入って彼らの仲間になっていた。


 モルダーは隙を見て脱出に成功し、現地の住民の助けを得て、なんとかアメリカに帰還した。クライチェックも同様に逃げ出すが、収容所の近くではブラックキャンサーの実験台にされないためには左腕を切り落とせばよい、というデマが蔓延しており、クライチェックのその犠牲となり左腕を切断される。


 一方、アメリカではロシアからやって来た元KGBエージェント・ぺスコフが暗躍を開始していた。ぺスコフは外交郵袋を受け取るはずだった医師カーンセイヤ博士を殺害し、続いてブラックキャンサーに寄生されたNASAの学者を殺して隕石の欠片を持ち去る。ウェル・マニキュアード・マンは、組織の一員のカーンセイヤが殺されたことから、ロシアが秘密組織の計画を妨害しようとしていると考え、動揺する。


 スカリーはカーンセイヤが関わっていた老人医療施設で不審な死者が出たと知り、モルダーと共にその施設に乗り込むが、収容されていた老人は既にぺスコフに毒殺されていた。老人たちはブラックキャンサーの宿主として実験体にされていたらしかった。


 モルダーたちは、先に捕まえたテロリストたちから、クライチェックがテロ組織によってミサイル基地から助けられたと言う話が全てウソだったと知る。テロリストたちの言葉を手がかりに、モルダーたちはぺスコフに追いつくが、結局隕石は爆弾で破壊され、ぺスコフは逃げ去った。


 最後、ロシアに戻ったぺスコフを、「片腕の」クライチェックがねぎらうシーンで〆。



監督 : ロブ・ボウマン
脚本 : フランク・スポトニッツ&クリス・カーター


■感想

 前回に引き続き「地球外生物+政府の陰謀」エピソードだが、今回は話が非常に込み入っており、一見しただけでは良くわからない理解し辛い話となった。場面が「ロシア」「アメリカの議会」「フロリダの老人療養施設」「カナダ」「秘密組織サイド」「KGBエージェント視点」と数が多く、それらを次々と飛びまわる上に、謎ばかり振りまいて話が要領を得ないため、視聴することにかなり疲労するエピソードとなってしまっている。



 振り返って整理してみると、


・ロシア政府は、ツングースカの隕石から寄生虫「ブラックキャンサー」を発見し、人体実験を行なって治療法を開発しようとしている


・スモーキング・マンたち秘密組織は、その隕石をこっそり入手し、アメリカに持ち込んでいる。そしてブラックキャンサーを老人療養所の入居者に(マイルドに)寄生させて研究している。冒頭の一連のシーンは、療養所で暮らしている老女を娘が安楽死させようとしたら、体内からブラックキャンサーが出てきて驚愕、というシーンと推測される。


・クライチェックは自分なりの組織を持っており、秘密組織のブラックキャンサー研究を妨害するため、ぺスコフを送り込んで、カーンセイヤ・寄生された科学者・療養所の老人たち、を殺害させ、隕石も破壊させた。


 という事になるのだろうか。今回の話はムダに話が込み入っており、上記の様な筋立てがすんなりと頭に入らなかったのは辛かった。



 前回から登場している謎の黒い生物は「ブラックキャンサー」という地球外由来の寄生虫だと判明した。やはりシーズン3・15話「海底」&16話「アポクリファ」で登場した真っ黒な地球外生物とは赤の他人(?)ということだったようである。


 秘密組織の一員(のはず)カーンセイヤ博士が「天然痘」研究の第一人者という設定は、第1話「支配者」でアメリカ国民は天然痘接種にかこつけてカタログ化されている、という話とつながりそうで、ちょっとニヤリとさせられた。


 今回は珍しくウェル・マニキュアード・マンがタバコをふかしているが、それを見たスモーキング・マンが「悪い習慣だ。健康を害するぞ」とアドバイスするのには笑ってしまった。


 最後にクライチェックの左手をやたらとアップで映すので何の意図があるのかといぶかったが、じっとみると質感が作り物。つまり義手だと言っているわけだ。もっともこの設定、これ以降に無かったことにされているような気がするのだが……


■一言メモ

 サブタイトル「TERMA」とは、ラテン語で「死」、ロシア語で「牢獄」、チベット仏教で「理蔵された経典」、を意味する。