感想:海外ドラマ「X-ファイル シーズン4」第10話「ペーパー・ハート」

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 ドラマ「X-ファイル シーズン4」(全24話)の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)

■ディーライフ/Dlife X-ファイル シーズン4
http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s4/

 BSデジタル放送「Dlife」での視聴です。

第10話 ペーパー・ハート PAPER HEARTS

■あらすじ

EP10 ペーパー・ハート
発見された少女の死体は衣服の左胸の部分がハート型に切り抜かれている事から、現在服役中の連続殺人犯の余罪の可能性が。彼はモルダーの妹サマンサも殺したと告白する。

 お題は「夢のお告げ、精神感応」。


 モルダーは夢の中で埋められた少女の死体を見つけ、現地を調べてみると本当に少女の白骨死体が見つかった。被害者は服の胸の部分がハート型に切り取られており、少女連続誘拐殺人犯「ペーパー・ハート」ことローシュの被害者と判明する。ローシュは既にモルダーのプロファイリングで逮捕され、13人を殺した罪で終身刑となっていたが、未知の14人目の被害者が見つかった事になる。


 さらにモルダーはまたも夢を手がかりに、ローシュが切り取ったハート型布地のコレクションを発見し、被害者は16人いた事が解った。ローシュの自供で15人目の死体も見つかるが、ローシュは16人目は1973年に行方不明になったモルダーの妹サマンサだという。


 モルダーは真実を知るため、勝手にローシュを刑務所から連れ出し自宅に連れて行くが、ローシュの発言の矛盾からサマンサ云々はウソだと見抜く。過去モルダーがローシュをプロファイルした際、両者の心の間に「回路」の様なものが作られ、ローシュはそれを利用してモルダーの心に影響を与えていたらしい。ローシュはモルダーが寝た隙に逃げ出し、またも少女を誘拐するが、モルダーによって射殺された。ローシュが殺した最後の一人は果たしてサマンサだったのか、答えは永遠に解ることは無くなった。


監督 : ロブ・ボウマン
脚本 : ヴィンス・ギリガン


■感想

 モルダーが超常現象の当事者となる珍しいエピソード。殺人の被害者からの霊的な交信、と思わせて実は……、というトリッキーな展開を見せた。心霊系の話では、基本的に「普段とは逆に、スカリーが超常現象を信じ、モルダーが頑固に否定する」が定番だが、今回はそれをもう一回ひねって、モルダーがあやふやな心霊的な現象を妄信するストーリーとなった。


 それなりに良くできた一本ではあったが、今までさんざんサマンサのクローンたちを見せて、「サマンサ誘拐は、異星人か秘密組織かどちらかの仕業」と描写してきたにも関わらず、「実は普通の(?)犯罪者の犯行かも」と言われても、心情的に受け入れ辛いものがあった。


 今回の超常現象は、「夜に、レーザーポインター(的な物)で場所を示したり、単語を表示したりする」という安上がりなもの。手間や金をかけなくてもアイデア次第で色々出来る、という見本であろう。


 モルダーのプロファイリングの結果、モルダーとローシュの心の間に精神的な回路が発生した、という説明については、過去にモルダーがプロファイリングのスペシャリストとして多数の事件を扱ってきたことを考えると、そんなに簡単に繋がりが生まれてしまったらモルダーは大変だろう、という気がするが、たまたま両者の「相性」が良かったということかもしれない。


 モルダー母が1話「支配者」以来、久々に登場するが、それなりに元気そうなものの脳卒中の後遺症も残っているとの事。モルダーは病み上がりの母親を放置しているわけだが、同居して助けてあげるべきなんじゃないのだろうか。


 今回特筆すべきは犯人ローシュの記憶力。20年以上前の何月何日にどこで何をしていた、とスラスラ供述できるのである。ちょっと現実離れしてないだろうか。