感想:海外ドラマ「X-ファイル シーズン4」第14話「メメント・モリ」

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 ドラマ「X-ファイル シーズン4」(全24話)の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)

■ディーライフ/Dlife X-ファイル シーズン4
http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s4/

 BSデジタル放送「Dlife」での視聴です。

■あらすじ

EP14 メメント・モリ
スカリーは精密検査を受け、腫瘍を確認する。発病の原因を突き止める為、彼女は自分と同じアブダクト経験を持つ女性たちに会いに行くが、1人を除きガンで死亡していた。

 お題は「異星人の地球侵略、政府の陰謀」。


 スカリーの頭部にガンが発見された。手術は不可能で、ガンが脳に達すれば確実に死ぬ。スカリーは以前(※シーズン3の9話「二世」)で知り合ったUFOサークルの自称「UFOに拉致された女性たち」は、残らずガンを発病していたことを思い出し、再度会いに行くが、メンバー11人中10人までが既に死亡し、残る一人も余命僅かだった。モルダーは、サークルの一員だと名乗る若者カート・クロフォードと出会い、役立つ情報が無いか二人でサークルのメンバーの家捜しにとりかかる。一方、スカリーはこのガンが治療できるという医師スカンロンと出会い、治療を受ける事にした。


 モルダーはUFOサークルの女性たちについて調べるうち、彼女らは全員不妊治療を受けていたこと、またスカリーも何故か不妊治療を受けたことになっていたこと、などを知る。途中でカートは行方不明になるが、実は政府のエージェントに襲われて殺されていた。モルダーは、スカリーのガンの治療のため、スモーキング・マンと取引することを考えるが、スキナーに叱責される。


 モルダーは、さらに情報を得るため、ローン・ガンメンたちの助けを借りて、政府系の医療機関に忍び込む。モルダーはスカンロンもこの施設の医師だと知り、スカリーへの「治療」が信用できないと確信する。やがてモルダーは何人もの「カートたち」が研究者として働いている研究施設に入り込む。


 実はカートたちは、政府の秘密プロジェクト「交配計画」によって生み出された、地球人と異星人のハイブリッドたちだった。拉致された女性たちは、人体実験で無理やり卵子を取り出され、その影響でガンを発病しているという。カートたちはその卵子から生み出された存在だったが、このプロジェクトを潰し、また「母親」たちを救いたいと考えていた。モルダーは研究所から命からがら逃げ出し、スカリーの元に向かう。UFOサークルの最後の一人もついに死亡した。スカリーは真実を見つけるため仕事に戻るという。


 最後、深夜のオフィスでスキナーとスモーキング・マンが向かい合っている場面で〆。



監督 : ロブ・ボウマン
脚本 : クリス・カーター&ヴィンス・ギリガン&ジョン・シパン&フランク・スポトニッツ



■感想

 X-ファイルで定期的に登場する「秘密組織と異星人の陰謀」話だが、冒頭でスカリーが余命僅かなことが描かれるという衝撃的な展開のエピソード。ストーリーは、過去の「異星人絡みの政府の陰謀」の総決算ともいえるもので、シーズン2のスカリーの誘拐と、シーズン3の「交配計画」関係がひとつに集約される、非常に見ごたえがある展開となっていた。


 今回のストーリーの中心となるのが、カートたち地球人と異星人のハイブリッドたち。シーズン2や3でもハイブリッドと思しき生物は登場していたが、それらが地球人とは似ても似つかない姿だったのに比べて、カートたちは地球人そのもので、あの当時から随分プロジェクトが進行していると思わせる。もっとも、例のキリの様な武器で刺されると、緑の泡になって消えてしまうところは異星人譲り?である。


 スカリー母が、娘の病気を知り、「もうあなたしか居ないのだから」と言うのだが、この頃はスカリー家の子供は故メリッサとダナの二人だけという設定だったのだろうか(後に、姉妹の兄のビルも登場する)。


 スキナーがモルダーに「スモーキング・マンと取引するなどとんでもない。弱みを握られる」と叱りつけておきながら、その後自分自身がスモーキング・マンに接触しているのは、嫌な仕事は自分で引き受けてくれる良い上司というべきなのだろうか。最後、モルダーがスキナーに電話で「あいつと取引しようなんて、僕はどうかしてました。真実は自分で暴きます」と明るく宣言するのに対し、スキナーが「君になら出来る」と励ますのだが、そのやり取りを全てスモーキング・マンが聞いている、というのはなんとも皮肉な場面だった。


 序盤で、カートがUFOサークルのメンバーのパソコンから遠隔でデータをコピーするのだが、手段が「電話経由でピーガー音で操作」する「パソコン通信」なのである。放送時期は1997年なので、パソコン通信もモデムも当時としては普通なのだが、おそらくインターネット世代には映像の意味が全くわからないのでは無かろうか。


■一言メモ

 サブタイトル「MEMENTO MORI」とは、ラテン語で「死を忘れるな」という警句。