感想:海外ドラマ「X-ファイル シーズン4」第17話「MAX Part1」

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 ドラマ「X-ファイル シーズン4」(全24話)の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)

■ディーライフ/Dlife X-ファイル シーズン4
http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s4/

 BSデジタル放送「Dlife」での視聴です。

第17話 MAX Part1 TEMPUS FUGIT

■あらすじ

EP17 MAX Part1
旅客機がニューヨーク州北部に墜落。管制官との交信はパイロットが「何かに進路妨害された」と叫んだ直後に途絶えている。乗客たちの腕時計は墜落時刻より9分進んでいた。

 お題は「未確認飛行物体、アブダクション、政府の陰謀」。


 モルダーたちの前に突然シャロンという女性が現われ、兄の「マックス・フェニング」が乗った飛行機が墜落したので連絡したと告げる。マックスは、かつてモルダーがUFO関係の事件( シーズン1の第10話「堕ちた天使」 )で知り合った人物で、過去何度もUFOに誘拐(アブダクション)された経験が有った。シャロンによれば、マックスは何か重要な物を運んでいたらしい。


 墜落機の最後の交信では、パイロットが進路を何かに妨害されたと言っていたことがわかった。モルダーたちは墜落現場に向かい、旅客機が交信を断ったのが19時52分なのに、犠牲者の腕時計は20時1分をさしていることに気が付く。やがて、墜落した機体の破片や犠牲者が放射能を帯びていること、墜落機は飛行中に外部からドアを揺さぶられたとしか思えないこと、などが次々と判明していく。


 モルダーは近くの軍基地の兵士ルイスの証言から、旅客機を軍が監視しており、事故当時第二の機体が近くを飛んでいたことを知る。モルダーは、空軍が旅客機近くに軍用機を飛ばし、レーダーに映っていない「第三の機体」を撃墜、旅客機はその巻き添えになって墜落した、と考える。モルダーはその第三の機体が墜落したと思しき湖に潜るが、突然まぶしい光に包まれる。続く。



監督 : ロブ・ボウマン
脚本 : クリス・カーター&フランク・スポトニッツ


■感想

 X-ファイルではおなじみUFO関係のエピソードだが、いつもとは趣が異なり、スモーキング・マンの秘密組織も、血が緑色の異星人たちも登場しない。モルダーたちが「未確認飛行物体」に関する事件を追っていき、その裏で軍による隠蔽工作が進行する、という、シーズン1の頃を思わせるピュアなUFO話となっていて、非常に懐かしい思いだった。


 本エピソードは、「モルダーたちが、秘密組織との付き合い(?)で、もう異星人の存在ほ当たり前と考えている」という状態を一旦リセットし、UFOや異星人の存在を必死で追い求めている、という状態に戻していることが面白さを生んでいる。機体に残った放射能、乗客が墜落前に体験した失われた9分間、墜落前に外部から力を加えられた非常扉、墜落現場上空を飛びまわる怪しい飛行物体、軍の隠蔽工作、など、「この事件はUFOの仕業なのか?」と思わせる手がかりを次々と見せ、視聴者をグイグイ引きつけてくれた。やはりX-ファイルのUFO話は。今回の様な「UFOはいるかいないのか解らない」レベルで展開するするほうが好みである。墜落現場で飛びまわっていたUFOが、シーズン1の2話「ディープスロート」で軍が運用していた新型兵器、というところもファンには嬉しいサービスだった。


 今回キーマンとなるのは、シーズン1以来の久々の登場のマックス・フェニング。重度のUFOオタクで、墜落したUFOらしきものを調べにやってきてモルダーと知り合うが、そもそも自分自身が気が付かないうちに何度もUFOにアブダクト(誘拐)されていた、という、色々な意味で濃い男である。今回3年ぶりの再会となったものの、それを喜ぶ暇も無く、飛行機事故で死んでしまった訳だが…… 


 そのマックスは、前回登場の「堕ちた天使」の最後で、UFOに拉致されたらしく、モルダーの前から忽然と姿を消し、以後行方不明になっていた。ところがモルダーは、今回そのマックスが戻ってきていると聞いてもまるで驚かないのだから、こっちの方が驚いてしまった。毎日が怪奇事件続きだけに、3年も前の事件のことなど良く覚えていなかったのかもしれない。


 ところで、序盤にモルダーがスカリーの誕生日をサプライズで祝福した際に、モルダーがスカリーに相応しいプレゼントだといって、アポロ11号の月着陸記念メダルを贈ったが、意味が全く解らなかった。スカリーとアポロに何かつながりでもあるのだろうか。


※参考→ シーズン1 10話 堕ちた天使


■一言メモ

 サブタイトル「TEMPUS FUGIT」とは、ラテン語で「時は飛ぶ」という意味。もちろん墜落機乗客の体験した「失われた9分間」を意味している。