ドラマ「X-ファイル シーズン4」(全24話)の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)
■ディーライフ/Dlife X-ファイル シーズン4
http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s4/
BSデジタル放送「Dlife」での視聴です。
第18話 MAX Part2 MAX
■あらすじ
EP18 MAX Part2
謎の旅客機墜落事故が発生。そして墜落とほぼ同時刻に、別の機体が墜落していたことが発覚するが、政府が隠蔽してしまう。一方その頃モルダーは現場近くでUFOを発見。
お題は「未確認飛行物体、アブダクション、政府の陰謀」。
第17話「MAX Part1」の続編。モルダーは湖の底で撃墜されたUFOとおぼしきものを見つけるものの、直後軍に逮捕されてしまった。その後、モルダーは釈放されるが、スカリーから軍が事故の責任を認めたと知らされる。それは、ルイス軍曹が戦闘機の管制ミスで旅客機を墜落させた、というもので、ルイスは責任逃れのためウソをついていると決め付けていた。
モルダーの考えでは、真相は全く別のものだった。マックスは「何か」を持って旅客機に乗ったものの、途中でUFOが接近し、飛行機の機能を停止させ、空中でマックスを誘拐した。しかしそこに空軍のF-15戦闘機が現われUFOを撃墜、旅客機も巻き添えで墜落してしまったのだ。しかし、それを裏付ける具体的な証拠は何一つ無かった。
モルダーたちは、マックスの妹と名乗っていたシャロンが実は赤の他人で、過去に何度も精神病で入院していたことを知る。しかしスカリーは手がかりを求めてシャロンにあたり、彼女がマックスに頼まれて、軍関係の会社から地球外テクノロジーの装置を盗み出し、3つのパーツに分割したことを知る。一つはマックスが持って飛行機に乗ったがアブダクションの際に持ち去られ、シャロンもまたUFOに誘拐されて奪われてしまっていた。
モルダーは、マックスのトレーラーハウスから手がかりを得て、空港の荷物保管所に置かれていた最後の一つのパーツを見つけ、謎の男たちの追跡を振り切ってワシントンDC行きの便に乗りこんだ。そこに政府の暗殺者が現われ、モルダーからパーツを奪おうとするが、直後、機外から謎の光が接近してきた。そして飛行機は空港に着くが、機内からは暗殺者も機械も消えうせ、モルダーの時計は機外のものと9分間食い違っていた。結局またしても真相は解明されないまま終わってしまった。
監督 : キム・マナーズ
脚本 : クリス・カーター&フランク・スポトニッツ
■感想
評価は◎。
前回に続き、モルダーたちが旅客機墜落事故の裏に隠されたUFO関係事件を追う、というスケールの大きなエピソード。墜落原因調査チームが巨大な建物の中に墜落した旅客機の残骸を集めている場面があったり、アプダクトの再現映像の為に飛行機の客席丸ごとをセットとして作り激しく振動させるなど、予算面でも破格のエピソードだったと思われる。
軍がUFOを撃墜してその残骸から地球外テクノロジーを入手し、またそれを隠すために隠蔽工作を行なっている、という都市伝説/陰謀論系のストーリーの映像化で、オカルト好きの琴線に触れる秀作だった。軍が湖から何かを引き上げている際に、死体袋に「グレイ」らしき物を格納しているシーンが一瞬映るなど、はっきり見せないことで雰囲気を盛り上げていた。
マックスの誘拐シーンでは、飛行機の外にまぶしい光が差し込むと同時に、機体が激しく振動、突然揺れが止まったかと思うと、失神状態のマックスがまぶしい光に包まれて飛行機の外に漂って行く、といった一連の流れが、いかにもの「UFOによるアブダクト」で、見ていてゾクゾクするような面白さだった。
ところで、気になったのは、終盤、モルダーがUFOと接触した後、外部に居たスキナーと腕時計の時間を比較する場面。スキナーが「午後10時56分だ」と答えたのに対し、モルダーの時計は「午後10時47分」を示していた。またその直前、モルダーは自分の時計がとまっていることを見て異変に気が付いている。つまりUFOと接触している間は時計は止まる、という設定である。乗客が覚えていない差分の9分間にUFOと接触したはず、という事になる。
しかし前回「MAX Part1」では、犠牲者の腕時計は墜落時刻よりも9分間進んでいた。これはUFOに遭遇した場合には、外部の時間は進まず、対象者の時間のみ余分に進む、という扱いだと考えられる。つまり「機内と機外で9分間の差が生じる」という点は同じでも、前編と後編で全く逆になってしまっているのである。前後編の脚本をつき合わせて確認しなかったのだろうか。
今回は、今まで主役コンビの捜査を助けてきた鑑識課のペンドレルが射殺されてしまい、これはちょっとショックだった。彼はシーズン3の9話「二世」からセミレギュラー的に登場しており、あからさまにスカリーに好意を見せていたのだが……
ラストで、スカリーが前回モルダーがくれたプレゼントのアポロ11号のメダルを見て、「モルダーは人類の素晴らしい力を信じていて、夢は実現するから、諦めるな」というメッセージだと解釈してジーンとなっていると、モルダーが「そんな大層な事は考えてないよ」と水をぶっかけるのがいかにもモルダーらしくて苦笑いした。また、モルダーとスカリーが精神病院に収容されているシャロンに話を聞こうと話し合う場面で、モルダー「僕が行っても良いけど……、監禁されるとマズイな」、スカリー「そうね」、というやり取りには大笑いした。モルダーの自虐台詞も愉快だが、スカリーの返しも結構ひどいな。
さて、軍から命をねらわれ引渡しを要求されていたルイス・フリシュ軍曹だが、冒頭の射殺未遂シーン以降姿を見せなくなる。彼の運命が気になって仕方ないのだが、どうなったのだろうか。