感想:海外ドラマ「X-ファイル シーズン5」第1話「帰還 part1」

X-ファイル シーズン5 (SEASONSコンパクト・ボックス) [DVD]

 ドラマ「X-ファイル シーズン5」(全20話)の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)

■ディーライフ/Dlife X-ファイル シーズン5
http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s5/

 BSデジタル放送「Dlife」での視聴です。


■作品概要

今シーズンは、自殺を偽装したモルダーが、スカリーの癌の治療法を探るべく国防総省に侵入し、そこで治療に繋がりそうなカプセルを発見するところから始まります。HD リマスター版、日本初放送!


■キャスト
【フォックス・モルダー捜査官】デイビッド・ドゥカブニー/小杉十郎太
【ダナ・スカリー捜査官】ジリアン・アンダーソン/相沢恵子


第1話 帰還 part1 REDUX

■あらすじ

 お題は「地球外生命体、政府の陰謀」。


 シーズン2最終回(第24話)「ゲッセマネ」の続編。話はモルダーの「自殺」の前日に戻る。モルダーはクリッチュガウからの電話で、自分の部屋が何者かに監視されていることを知り、監視者と争いになって相手を殺してしまう。監視者は国防総省の人間オステルホフで、FBIの誰かと連絡を取っていた形跡があった。モルダーは死体の顔面が散弾で見分けが付かないことを利用し、スカリーに死んだのは自分だとウソをつくように頼み、時間を稼いでその間に真実をつきとめようとする。


 スカリーは、「宇宙人の死体」の周りの氷の中に存在した未知の細胞を調べ、その中に含まれていたウイルスが自分の体内にも存在することを突き止めた。つまりスカリーのガンは、何者かにこのウイルスを感染させられたことが原因だった。スカリーはFBI内部の陰謀の加担者がスキナーだと確信する。しかし病気の悪化でついに倒れてしまった。


 モルダーは死んだオステルホフのIDカードを使って国防総省に入り込み、クリッチュガウと再会する。クリッチュガウは、国防総省が軍拡競争から国民の目をそらすため、ありもしないUFOや宇宙人の証拠をでっち上げてきたことを説明する。しかもそのウソに信憑性を持たせるため、宇宙人の仕業に見せかけて国民の誘拐すら行なってきたという。クリッチュガウはその謀略に関わってきた一人だったが、息子が従軍した湾岸戦争(1991年)で化学兵器で病気になったせいで、組織への忠誠心を失ったのだった。クリッチュガウはモルダーの持つIDカードなら、最重要機密を扱う「レベル4」まで行けると教え、そこでスカリーのガンの治療薬があるはずだから、息子の薬も見つけて欲しいと頼む。しかし直後、クリッチュガウは兵士に捕まってしまう。


 スモーキング・マンは、組織がモルダーの部屋を以前から監視していたことを知るが、自分にはそれを教えられていなかったことに不満を持つ。やがてモルダーが実は生きていて国防総省内部の秘密区域を調べまわっていることに気が付くが、何故か自由にさせる。


 モルダーはレベル4で、「多数の宇宙人の死体」や「誘拐された人々」を目撃した末に、ついにスカリーとクリッチュガウの息子の治療薬らしいものを入手する。モルダーは持ち出した薬をローン・ガンメンに分析してもらうが、それはただの水だった。続く。



監督 : R.W.グッドウィン
脚本 : クリス・カーター


■感想

 評価は◎。


 「ゲッセマネ」の続編で、引き続き「宇宙人に関する全てが政府の捏造だった」という疑惑がテーマとして描かれる。さすが「異星人+政府の陰謀」関係の話に外れ無しで、今回も素晴らしい面白さだった。


 今回のテーマは「宇宙人もUFOも全て軍/政府の作り話」というもので、ペンタゴン地下の「宇宙人の死体」や「誘拐された人々」を見て、モルダーはあっさりそちらを信じることになった。しかし、考えてみれば、モルダーは別に漠然とUFOや宇宙人を信じていたわけでは無く、以前に何度も「緑の血を持ち、変身能力のある異星人」たちとの遭遇を体験し、一度などは宇宙人のレトロウイルスで死にかけている。にもかかわらず、モルダーが、クリッチュガウの話と、グレイの死体を見たくらいで、宇宙人存在の話を全部信じなくなる、というのはいささかムリが有りすぎる気がする。


 モルダーが今回歩き回っていたペンタゴンの地下倉庫は、シーズン1の「序章」以降に何度か登場し、スモーキング・マンが宇宙人の証拠を箱の中に収納する姿が描かれた場所で、実に懐かしかった。


 スモーキング・マンは、組織の幹部仲間(名前不明:担当声優は広瀬正志)が、自分の知らないうちにモルダーの部屋を監視していたことを知り「ディーオージーの指示か?」と尋ねるのだが、この一幕はなんなのだろうか。


 情報提供者のクリッチュガウは兵士に連れて行かれてしまったので、彼自身はモルダーを引っ掛けるために送り込まれた工作員、という訳ではなかったようだが、こうなると政府/軍は「宇宙人の地球植民」に協力しつつ、「宇宙人と地球人の交配計画」を進め、さらに「国民向けにニセUFOを飛ばししたりして偽装工作を行なってきた」事になり、いくらなんでも陰謀を企みすぎだろうと思わずにはいられない。


■一言メモ

 サプタイトル「REDUX」とは「復活」「再来」などの意味の形容詞。モルダーが実は死んでおらず、物語に戻ってきたことを示している。