感想:海外ドラマ「X-ファイル シーズン5」第2話「帰還 Part2」

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 ドラマ「X-ファイル シーズン5」(全20話)の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)

■ディーライフ/Dlife X-ファイル シーズン5
http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s5/

 BSデジタル放送「Dlife」での視聴です。

第2話 帰還 Part2 REDUX II

■あらすじ

 お題は「政府の陰謀」。


 第1話「帰還 Part1」の続編。スカリーは病状が悪化し、病院に運び込まれた。彼女のガンは末期に達し、もう助かる見込みは無かった。モルダーは病院に駆けつけるが、そのため生きていることがばれてしまい、FBIの査問会にかけられることになった。


 モルダーの前にスモーキング・マンが現われ、スカリーの治療法を教える。それはモルダーが国防総省から持ち出した「治療薬」のカプセルの中に入っていたマイクロチップを埋め込むことだった。しかし医師や家族は、モルダーの提案を全く聞こうとはしない。


 さらに、スモーキング・マンは、モルダーの前にサマンサを連れて来る。サマンサは過去のことははっきりと憶えておらず、今までスモーキング・マンに育てられたと言う。しかもスモーキング・マンこそが実の父親だと言いだす。モルダーはサマンサを母親に会わせようとするが、サマンサはもう今の生活が有るといって激しく拒否し、そのまま去ってしまった。スモーキング・マンは、モルダーにFBIを辞めて自分の部下になれば、またサマンサに会わせるし、知りたがっている真実も総て教えると誘いをかける。さらに、クリッチュガウの言う事は総てデタラメだとも付け加える。


 FBIではモルダーの査問会の前に、クリッチュガウを呼び出して事情聴取を行なうが、クリッチュガウは息子が先日死んだと言うだけだった。


 モルダーは、上司のブレビンス課長から、FBI内の裏切り者はスキナーなので、彼を査問会で告発すれば助けてやると持ちかけられるが断る。モルダーは査問会で、自室で国防総省の人間を撃ち殺したことについて問い詰められるが、逆に政府の陰謀についてまくしたて、さらにFBI内部の裏切り者はブレビンス課長だと名指しする。慌てて逃げ出したブレビンスは、自室で何者かに殺される。同じ頃、スモーキング・マンは、彼を疎ましく思う秘密組織の幹部(声:広瀬正志)の指示で、暗殺者に撃たれ、そのまま生死不明となる。


 最後。スカリーのガンが治癒の方向に向かっていることが明らかになる。



監督 : キム・マナーズ
脚本 : クリス・カーター



■感想


 評価は◎。


 シーズン2最終回(第24話)「ゲッセマネ」・第1話「帰還 Part1」に連なる三部作の最終回。今回は超常現象は登場せず、人間ドラマのみが描かれたが、にもかかわらず見ごたえ十分だった。


 まず、印象的なのは、サマンサの再登場と、彼女の話した内容。大人サマンサの登場は、シーズン2の第16話 「入植 Part1」・第17話「入植 Part2」以来で、登場そのものは「またか」の感が否めないが、父親がスモーキング・マンでビル・モルダーは赤の他人、という証言は、ストーリーに新しい伏線を生み出すこととなった。


 その言葉を裏付けるかのように、今回はスモーキング・マンがやたらとモルダーにご執心で、自分の側に引きいれようと熱心に勧誘してくるし、さらに、モルダーとサマンサが子供の頃の写真をじっと見つめるシーンも有り、視聴者に「実はモルダーもサマンサもスモーキング・マンの子供なのでは?」と疑わせるには十分である。ラストで秘密組織の幹部(名前不明。声:広瀬正志)の指示で狙撃されてしまったが、死んでないのはもちろんであろう。


 謎なのは、三部作のキーパーソンとなったクリッチュガウである。「帰還 Part1」で迷彩服の兵士に連行されたため、そのまま消されたのかと思っていたのだが、今回しっかり無事に再登場する。スモーキング・マンはクリッチュガウのことをウソツキと断定していたが、息子が死んだとうなだれているシーンを見ると、偽装証言をしているとも思えない。彼の言っていることは真実なのか、それともクリッチュガウ自身が騙されているのか、さっぱりわからないのがなんとも言えないもどかしさである。これはスタッフが計算してやっていることなのか、または、単に深く考えずその場その場で適当に話を作っているだけなのか、どちらとも取れるから困る。


 今回、FBI内部にいた秘密組織のメンバーが、ブレビンス課長だったことが判明するが、さして馴染みの無い人物なので全然驚きが無かった。一応、パイロット版の「序章」にも顔を出している古株では有ったのだが……、そしてブレビンスが死んだことで査問会がウヤムヤになったようだが、実のところモルダーが国防総省の人間を殺した件については全く解決されていない。この件は一体どうなったのだろうか。


 最後、スカリーがガンから回復していることが描写されるのだが……、理由はマイクロチップを埋め込んだからか? またはチップの埋め込みは結局拒否されて普通の治療が効いたのか? はたまた土壇場でスカリーが宗教にすがったのが奇跡を呼んだのか? 理由が解らなくて釈然としない。


■一言メモ

 サプタイトルの「REDUX」とは「復活」「再来」などの意味の形容詞。今回はスカリーが死の病から回復したことを表している。