感想:NHK番組「哲子の部屋」「情報過多社会をどう生きるか? 第2回 人はなぜやたらと懐かしがるの?」(2015年5月28日(木)放送)


 NHK番組「哲子の部屋」の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)

■哲子の部屋 - NHK
http://www4.nhk.or.jp/P3233/

 NHK Eテレでの視聴です(放送:毎週木曜 23:15〜23:45)。


■番組概要

>過去3年間、年に一度の放送のたびに話題を呼んだ異色の哲学トークエンタメ『哲子の部屋』が再び!今回は、第31回ATP賞優秀賞(情報・バラエティ部門)に輝いた昨年放送回と新作2回を合わせ、一挙<4週連続>でお届けする。

 哲学者がゲスト二人に哲学を噛み砕いて説明する番組。2012年から年1,2回のペースで放送されています。※過去の放送内容→ 「哲子の部屋」内容・感想まとめ


情報過多社会をどう生きるか? 第2回 人はなぜやたらと懐かしがるの?


■内容

「人はなぜやたらと懐かしがるの?」

>今週の『哲子の部屋』は新作をオンエア!テーマは「情報過多社会をどう生きるか?」。モノや情報にあふれ、はやり廃りの激しい現代社会を豊かに生きるための哲学をお届けする。今回のテーマは「なぜ人はやたらと懐かしがるの?」。目まぐるしい時代の変化の中でふと起こる“懐かしがり現象”を元に、哲学者ジャンケレヴィッチの「時間」と「ノスタルジー」の概念を通して未来への可能性を注目の批評家・石岡良治が哲学する!


>【出演】批評家・青山学院大学他 非常勤講師…石岡良治,清水富美加,マキタスポーツ,【語り】島本須美

 情報過多時代を楽しむ方法を哲学する。


 人は懐かしい物を見たりすると気になる。過去をやたらと賛美する人をネットスラングで「懐古厨」と言ったりする。


 今日のロゴス「人は何かを懐かしむのでは無く、たた懐かしがりたい」。


 これは哲学者ウラジミール・ジャンケレヴィッチの言葉。また彼は「ノスタルジーの対象は(中略)なにもない」とも言った。


 人は夕陽を見ると自動的に懐かしい気持ちになる。それが外国の夕陽、生まれる前の夕陽、はたまたCGで作った実在しない光景の夕陽、でも同じ。なぜかというと、時間は一方通行で、夕陽の時間帯は特にそれを意識できる。「取り戻せない」=「懐かしい」と思ってしまう。つまり、特定の何かを懐かしいと思うというより、過去のものなら何でも懐かしい、と考えるように出来ている。


 しかし、懐かしがることは停滞に繋がってしまう。その対策は「総てのものはタイムカプセルになりうる」と考える。


 SF映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に、実在の自動車「デロリアン」を改造したという設定のタイムマシンが出てくる。しかし映画が有名になりすぎて、今ではもう「デロリアン」と聞けば「実在の自動車」ではなく、「映画のタイムマシン」と思い浮かべるはず。つまり「デロリアン」という言葉は、新しい意味で使われている。


 ジーンズも、最初は作業着だったが、今ではそう考える人は普通いなくて、「普段着」だと考える。また、最近若者の間にカセットテープブームが起きているという。それは昔カセットを使っていた世代が懐かしがっているのでは無く、全く知らない世代が「なんかカッコいいもの」として扱う、つまり別の意味を載せて使っている。これは停滞とか懐古ではない。


 「バック・トゥ・ザ・フューチャー」とは直訳すれば「未来にもどれ」という意味ですが、

 〆のロゴス「『モノ』は未来に戻りうる!!」



■感想

 ……、くっそつまらん……。2012〜2014年の放送は、まず最初に訳のわからないことをぶち上げ、それを哲学の言葉で色々説明して論理を組み立て、最後に無理やり(?)納得させる、という流れを楽しむ番組でしたが、2015年分はぶち上げた命題と途中の流れがかみ合っていない上に、最後の〆の言葉も全く納得出来ず、ひたすらつまらない。


 今回も、冒頭「夕陽は懐かしいでしょう」と言いますが、ちっとも、ですよ。それに「取り戻せないものは懐かしい」と説明していますが、例えば子供の頃に持っていた物を時間が経って今また手にして「うっお、懐かしい」ということだってあるじゃないですか。


 ということで説明に全く納得出来ない不満だらけの回でした(先週分も酷かったけど)。何なの? 何でこんなに内容が劣化しちゃったの? スタッフは猛省してもらいたい。プンプン。