感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第3話(シーズン1 第3話)「大量殺戮者」

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放送 BSジャパン

【※以下ネタバレ】
 

第3話 大量殺戮者 Operation Rogosh

 

あらすじ

ロサンゼルスで数千人規模の大量殺人をもくろむ男、イムリー・ロガッシュ。彼をとらえたIMFチームは、その殺人方法を聞き出すため大がかりなトリックを仕掛ける。彼らに残された時間は、わずか36時間。

【今回の指令】
 某国の工作員イムリー・ロガッシュがロサンゼルスに過去一週間滞在していることが判明した。ロガッシュは以前に三ヶ国でそれぞれ数千人単位の犠牲者を出したテロの実行犯である。ロガッシュは明日母国に帰還する予定で、その後ロサンゼルスでも数千人の犠牲者が出ることは必至である。IMFはロガッシュの計画を突き止め、粉砕しなければならない。


【作戦】
 IMFはロガッシュを車で跳ね飛ばして意識不明にした後、ロサンゼルス某所に作った施設に運び込む。そこはロガッシュの母国「人民共和国」にある刑務所そっくりに作られていた。IMFはロガッシュに、今が交通事故(1966年10月)から三年経過した1969年で、ロガッシュは母国で、アメリカに寝返ってスパイになった容疑で逮捕されたと思い込ませる。ロガッシュは、事故の後遺症で過去三年分の記憶を失ってしまったと信じ込み焦りだす。

 裁判に引き出されたロガッシュは、自分が祖国に忠実だと証明するため、自分が「三年前」にロサンゼルスで行なったテロ工作の詳細を証言する。それは、ボツリヌス菌を時限装置つきのカプセルに入れ、ロサンゼルスの四箇所の水源に仕掛けたという物だった。ところがロガッシュは三箇所までは証言したものの、裁判室内の椅子がロサンゼルスの家具屋から貸し出された物だと気がつき、自分が一杯食わされて居たことを悟る。IMFはロガッシュを回収してきたボツリヌス菌カプセル三個と一緒に閉じ込め、なんとか口を割らせて四個目も回収した。

 最後、ロガッシュが母国の武官に引き取られて行き、ブリックスが「母国に生きては帰れまい」云々というシーンで〆。


感想

 評価は◎。

 実に芝居がかったエピソードで、それだけに「これぞスパイ大作戦!」という醍醐味が楽しめる回だった。ターゲットとなる人物を閉鎖環境に閉じ込めて情報を遮断した後、偽りの状況設定を信じ込ませて追い込みをかけ、自分から情報を口にするように持って行く、という展開が実に楽しい。50年前(1966年)に作られたにも関わらず、今見ても展開にワクワクさせられた。

 冒頭ブリックスがテープで指令を受け取り、自動車の中で再生するのだが、全く見たことも無いカセットテープなので驚いた。どうやら「8トラック」という種類のカセットテープらしく、調べたところ1965年(放送の1年前)発売とのことで、つまり当時の最新のメディアだったらしい。現在から見ると古臭くて仕方が無いが、当時の視聴者にとっては最新のハイテクメディアを活用していたわけで、さぞカッコ良く見えたことであろう。ちなみに、テープは自動的には消滅せず、「このテープは処分してくれたまえ」とブリックスに頼むというのが、ちょっと不徹底というか、このまま持って帰ることも出来るではないか、と思ってしまった。

 今回のブリックスの役回りはロガッシュの弁護士役で、眼鏡を掛けているひ弱っぽい見た目で、さらにロガッシュに「証人を探したけど見つかりませんでしたよ」とか言ってしまう実に頼りないキャラだった。若山弦蔵氏の渋い声で、こういうコミカルっぽいキャラを演じるギャップが愉快だった・

 しかし、IMFはニセ刑務所の環境を作ってロガッシュを騙して全て計画通り、とか思いきや、意外に隙だらけだった。というのは芝居を演じている建物は、ロガッシュの同僚である工作員ラズロクにばれており、あまつさえラズロクが建物内に侵入してきてロガッシュを射殺しようとする場面すら有るのである。危うくブリックスが直前に気がついてウイリーにラズロフを処理させなければ、作戦は一巻の終りになるところであった。

 さらに、最後の最後、ロガッシュが裁判室の中に置いてある椅子をうっかりひっくり返したところ、「貸し家具屋 ロサンゼルス」とシールが張ってあり、それで芝居が全てばれてしまう、というとんだうっかりミスが露見する。そのため、IMFは最後は力尽くでロガッシュから情報を引き出す羽目になった、というのがちょっとオチとしては弱いと思ってしまった。最後の最後まで綺麗に騙しとおして欲しかった、というのが正直な気持ちである。しかし全体としては実に面白い話であった。


 ロガッシュの声を担当したのは大木民夫氏でした。


参考:今回の指令の入手方法

 ブリックスが駐車場に車で乗り付け、既に駐車してある別の車に乗り込む。ダッシュボードの中には資料と8トラックカセットテープが入っており、車に積まれている大型の再生機器でテープの指令を聞く。テープの指令は最後に「このテープは処分してくれたまえ」とのことだったので、ブリックスは近くの焼却炉の火の中にテープを放り込む。


他のエピソードのあらすじ・感想

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