感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第21話(シーズン1 第21話)「拷問監獄の罠」

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放送 BSジャパン

【※以下ネタバレ】
 

第21話 拷問監獄の罠 Snowball in Hell

 

あらすじ

その残忍さで名高い刑務所長が所内にセシュームを隠し持っている。“核兵器を低コストで生産できる”それがその物質の最大の特徴…。


過酷な拷問で有名になったボラドール元刑務所。そのセフラ所長が所内にセシウム138を隠し持っているという。核兵器を低コストで生産できる、それがこの物質の最大の特徴。この保有するセシウムとその製法を知る所長を第三者に渡ることがないよう葬り去るというのが今回のミッション。バーニー(グレッグ・モリス)が元囚人になりすまし所内に潜入、捕まり所長に自白を強いられる…。

※DVD版のタイトルは「セシューム138」。


【今回の指令】
 某国のボラドール刑務所は過酷な拷問が問題視され5年前閉鎖されたが、元所長セフラと看守たちは未だ居残っている。セフラは、セシューム138という低コストで核兵器を製造するためのカギとなる物質を刑務所に保管しており、それを売りたがっている。またセシューム138製造の化学式は所長の頭の中にのみ存在する。IMFはセシュームと化学式を処分しなければならない。



【作戦】
 まずバーニーは、かつての刑務所の囚人で脱獄したジャクソンという男から、刑務所に脱出用トンネルがあることを聞き出す。そしてローランとバーニーは雑誌記者という名目で刑務所に入るが、バーニーはわざとセフラに疑いを抱かせ、自分が脱獄したジャクソンだと信じ込ませてつかまる。

 ブリッグスとウイリーはトンネルを使って刑務所に潜入し、発電機を故障させる。そのため冷房が使えなくなり、セシュームは20度以上になると爆発するため、セフラは慌てだす。バーニーの言葉でセフラはセシュームを病院の冷蔵庫に入れることを思いつき、病院に運ぶが、潜入していたシナモンとバーニーはこっそりセシュームを盗み取る。

 刑務所の発電機が直ったためセフラはセシュームを持って帰るが、ケースの中身がカラだと気が付く。セフラはバーニーを問い詰め、盗んだ相棒(ローラン)は地下のトンネルにいると白状させる。セフラがトンネルに入ったところにIMFがセシュームの入った小型メカを送り込んで、セシュームは爆発してセフラも死ぬ。バーニーは独力で刑務所から逃げ出していた。


監督: リー・H・カッツィン
脚本: ジュディス&ロバート・ガイ・バローズ


感想

 評価は○。

 話の組み立てがかなり粗雑だが、頭を空っぽにして、細かいつじつまなどを考えないようにすれば、そこそこ楽しめる話ではあった。

 まずいきなりおかしいのが、刑務所は五年前閉鎖されたはずなのに、所長も看守たちもそのまま居残っているという設定。彼らはこの五年間刑務所で何をしていたというのだろうか。「中央に反旗を翻して山賊的に居座っている」的設定も考えたのだが、序盤にローランたちは政府の司法長官の許可証を持って刑務所を訪ねているので、その可能性も無くなってしまった。ということでまず舞台設定からして筋が通っていない。

 また一介の刑務所の所長が核兵器開発に関わるような物質の製造法を知っていて、現物も持っている、というのもやはり無理がありすぎである。まあ製造法は『囚人の一人に科学者がいてその人物から入手した』とかいう裏設定を想像して補えなくもないが、現物のセシュームはどうやって作ったのだろうか。麻薬の製造とは訳が違うのだから、最先端の製造設備が必要だと思われるので、これまたおかしな話である。

 とどめで、最後に所長がバーニーにセシュームの隠し場所を問い詰めると、バーニーが「刑務所の地下にトンネルがあってそこにローランが隠れている」と教えたので、所長がそれをうのみにしてトンネルに入っていくくだりである。病院でセシュームを盗んだローランがわざわざ戻ってきて地下トンネルに隠れるなど、どう考えてもありえない話である(あまりに展開がおかしすぎて、何かを聞き落としたのかと、少し前から見直したくらいだった)。まあ所長を吹き飛ばすためにこの展開にもっていかなくてはならないのはわかるが、あまりと言えばあまりの展開にもう失笑してしまった。

 ということで、こういう無理やりの舞台設定/展開を見るにつけ、ドラマのシナリオで「不可能そうな任務とその解決法」を考えるのは大変なのだなぁ、としみじみ感じてしまった。

 ただ、そのあたりのおかしな点に目をつぶれば、IMFメンバーが「刑務所:ローラン&バーニー」「地下トンネル:ブリッグス&ウイリー」「病院:シナモン」と各人で手分けして各地でそれぞれ何やら謎の作業を行い、それが後半に結びついて一つの形になっていく、という過程は結構面白かった。最後にセシュームを積み込んだ自走式カプセルが地下トンネルをとことこ走って行って、所長ごと大爆発するシーンもそれなりには楽しめた。

 しかし刑務所に捕まったままのバーニーは、自力で脱出してくるのを待つ、というのはかなりひどい話ではなかろうか。体を張って拷問まで受けたのだから、きちんと助けに行ってあげるのが当然だという気がする。一歩間違えたら、バーニーはセシュームの爆発に巻き込まれてで吹き飛んでいたところである。

 ちなみに劇中で出て来るセシューム138とは、名前から想像するような金属ではなく、常温では液体である。

 セフラ役は、宇宙大作戦スタートレックで「カーン」を演じたことで有名なリカルド・モンタルバンでした。


参考:今回の指令の入手方法

 ブリッグスが電話ボックスに入り、故障中の札を外して硬貨を入れ、ダイヤルを回すと、電話機の下が開いて資料とテープレコーダーが現れる。テープを再生して指令を確認すると、最後「このテープはあと5秒で消滅する」と言った後、レコーダーから白煙が立ち昇る。ブリッグスはふたを閉めて、また「故障中」の札を下げて立ち去る。


参考:指令内容

 こんばんはブリッグス君。写真はボラドール。過去200年間残虐をもって聞こえた悪名高い刑務所である。5年前に閉鎖されるまでここの所長として君臨していたこの男はジェラード・セフラ。今もって当時の看守とともに居残っている。所長はセシューム138とその化学式を持っており、もっとも化学式は所長の記憶の中にあるが、とにかくその二つをできるだけ高く売りたがっている。セシューム138というのは、コストの安い核兵器製造の鍵となる物質なのだ。

 君の使命は、このセシュームと、所長の頭の中にある化学式を処分することにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。このテープはあと5秒で消滅する。成功を祈る。


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